眼鏡レンズには実は、中心の点がある!
眼鏡レンズの中心点、つまり「光学中心とアイポイント」についての論考です。
最近、ネットの眼鏡関係のホームページで、
メガネレンズと光学中心の関係をことさらに強調して、
風変わりな器械の宣伝をしているものがありますが、
私はあれには疑問を持たずにはおれません。
あんな特殊な器械で測定しなくとも、
光学中心とアイポイントの関係が適切にできているかどうかはわかります。
また、
光学中心とアイポイントの関係が適切であれば、それでもう十分だというわけではなく、
レンズと眼の距離(角膜頂点間距離、頂間距離、装用距離などと言われる)や、
レンズ光軸と頻用視線の角度の関係など、他にも大事なことがいろいろあるのです。
また、
自分がいま使っているメガネの光学中心位置の正しさをセルフチェックする方法として、
両眼を交互に遮閉して、
見えるものが上下に動いたらダメ、という説明がありますが、あれも感心しません。
なぜなら、左右の度数が違えば、
光学中心の(正面から見た)高さを遠方を見る視線の位置に合わしていない限り、
あの方法では見えるものの上下の動きは多少は生じるのが普通なのです。
メガネの光学中心は、それが遠くも近くも見るメガネであれば、
遠くを見る視線の位置には設定せずに、
そこよりもやや下に設定するのが普通ですから、
そうなると左右の度数が少し違えば、
交互遮閉によるセルフチェックは誤解を生むだけのものとなります。
そういうことを私がそのホームページの作者にアドバイスしても、
聞く耳を持っていただけません。
また、あのホームページでは、
良いメガネを作るには、まず眼科へ行くことだと言っていますが、それもおかしいのです。
なぜなら眼科は眼の病気を診たり治療したりするのが本職なのであって、
普通のメガネ(調節まひ剤を使用しなくても処方できるメガネ)の処方は本職ではないからです。
眼科で上手な処方とは言えない眼鏡処方箋をもらって、
その通りにメガネ店でメガネを作ってうまくいかないで困っているかたの話はいくらでもあるのです。
眼科は医療機関ですから基本的に結果責任を負うものではなく、
加療責任を果たせばそれでいいのです。
すなわち、処方をしたこと自体で責任を果たしているのです。
しかし、眼鏡ユーザーはそれでは困ります。
眼科処方でうまくいかず、
眼鏡店でそれをカバーしたという実例は私が最近書いた
『快適眼鏡処方マニュアル』
にもいくつか掲載しています。
あのホームページの作者のかたは、
そういうことは知っていながら、あんなことを書いておられるのは、
すぐ近くの眼科と昵懇だからでしょうか。
(あのホームページの作者のかたは私からどんな質問をしても応じられないのです)
なお、
眼科が特定の眼鏡店を指定することに関しては
昔からそのおかしさが指摘されていまして、
つい最近も公正取引委員会が日本眼科医会に、
特定の眼鏡店を指定するという自由競争を阻害する行為を自粛されたい旨を申し入れしています。
この件に関しては、
ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会 http://www.ggm.jp/ugs/ をごらんください。
また、『快適眼鏡処方マニュアル』については、
眼鏡学とは(日本眼鏡教育研究所) http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/をごらんください。
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