視力不同の人(44歳・男性)
岡本隆博


視力不同の人(44歳・男性)


大阪病院へ糖尿病で通っている44歳の男性が、
「眼科で『最近近くの文字が見えにくい』と言ったら
『それならどこかのメガネ屋で測ってもらって
メガネを作ればよい』といわれまして、
ネットで調べてここへ来ました」
とのことで来店されました。

検眼してみますと

5m完全矯正値
R=0.8(1.2×S+0.50 C-1.50 Ax100)
L=0.2P(0.2×S+2.50 C-0.25 Ax45)
              R:1△BD  PD69


でした。このかたの場合、不同視には違いないのですが、
むしろ強度の「視力不同」が問題といえます。
  
  *視力不同については、下記の拙著書の
    P230に解説があります。
    『眼鏡処方の実際手法』
     http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/books.html

ご本人から「左は子どものころから遠視弱視であまり見えない」
とお聞きしましたので、
まず、左右別に裸眼視力を見て
眼位を測定して矯正し、
次に右眼の屈折測定ですが

両眼開放で、このかたの場合には
両眼視でも左の視力が麦眼に干渉しないので
偏光フィルターもオクルージョンも他眼雲霧もなしで、
普通の融像視標を見せて
右眼の完全矯正を測りました。

両眼に偏光フィルターを入れて
左右別の偏光視標で右眼を測るよりも
今回の方法の方がより自然でベターなのです。

次に左眼は、
左右に偏光フィルターを入れて
林式の偏光視力表で
左眼用の0.2と0.3のラ環状を見せて
測りました。

それで、パソコンと本を見るメガネとして

R=S+2.00 C-1.50 Ax100
L=S+3.25
              R:1△BD  OCD60

としました。

まだ老視の初期なので中近両用にしなくても
パソコンも本もOKでした。

左眼の加入度を右眼よりも少なめにした理由は、
みなさまお察しのとおり、上下プリズム誤差を減らすため、です。

お選びになったフレームは、跳ね上げの丸メガネ、
エンボルグ、42□30 グレー でした。
レンズは、軽くするために、1.6プラで受注しました。

この大阪病院は、元は国立で、いまは独立行政法人です。
大きな病院の眼科では、メガネ屋でもできる眼鏡処方は
やめとく、というところがときどきありますね。

このかたの場合、眼科でのその判断は正解だったようで、
さらに、ネットで当店を見つけられたのも
正解だったと思います。

不同視の眼鏡矯正例
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