Q. 「子供用の目が乱視なのですか、ふつうにメガネが作れるでしょうか」
A. 子供さんの目と乱視について、ご説明させていただきます。
私たち眼鏡士が、子供さんのメガネをお作りする場合。
そのときはいつも、『眼鏡処方箋』というキーワードが問題になります。
お客さまがまず眼科さんに行かれて、そうして眼科さんから出された処方箋。
それを眼鏡店に見せていただいて、眼鏡店がその度数で子供さんのメガネをお作りする。
そんな“処方箋でのメガネ作り”は、小さなお子さんになればなるほど、そのケースが多くなります。
というわけで、お子様の一回目のメガネ作りはたいてい処方箋頼りとなり、
眼鏡店で測定して度数を決めてお作りするのは、
そのお子さんにとっては2回目以降のメガネとなる場合がほとんどです。
どちらにしても、そのメガネの度数は、
“近視や遠視の他に乱視も入っている場合”と、
“乱視はまったく入っていない場合”の2とおりがあります。
そして、乱視が入っていたとしても、
成人の場合よりも、お子さんの場合には度数は弱めであることがほとんどで、
1D(ディオプトリー)を超える乱視は少ないものです。
では、なぜ子供の目には、その強さはあまり強くないのでしょうか。
l子供さんの目が、大人の目に比べて乱視を持つ割合が少なめで、仮に乱視があったとしても。
乱視とは、分かりやすく説明しますと、
眼の角膜(俗に黒目と言われている部分の表面)が、
ややいびつになって起こる屈折異常の一種であり、
角膜の横方向と縦方向の丸みが違うことによって、
物を見た場合に、縦方向と横方向のものがぼやけて見える現象を引き起こします。
よく誤解されるのですが、「乱視があるので物が歪んで見える」とおっしゃるかたがおられます。
しかし、その場合の“物が歪んで見える”というのは、
乱視のせいで歪んで見えているのではないのです。
乱視を矯正したメガネでものを見ると、乱心の度数によっては物が歪んで見えることがある、
というのが本当なのです。
それはともかくとして、子供の目には、
何らかの原因から来る「ひずみ」が、
大人よりもまだ少ないのだと理解すればよいと思います。
乱視は程度が少なければ、
近視や遠視を矯正するだけで、視力はそこそこに出ますし、
“メガネには乱視を入れない方が、なんとなく物は自然に見える”、ということもあって、
眼鏡処方の時点で、乱視が検出されても、遠視や近視だけの処方としてある例も多々あるようです。
それが一概に悪いとは言い切れないのですが、
たとえば、下記の二つの度数を比べてみましょう。
5m完全矯正値
RV=(1.5×S−2.00 C−0.50 Ax180)
処方度数
(1)R=S−1.50 C−0.50 Ax180
(2)R=S−1.75
この場合、(1)(2)のどちらでも、5m検査で視力1.0を得るのだけれども、
(1)よりも(2)の方がものが自然に見える、ということで、
お子さんの場合に限らず大人の場合でも、
(2)の度数で処方がなされる場合があるようです。
これも、一つのやりかただとも言えるのでしょうけれど、
近見のときには、(1)の方が(2)よりも、より鮮明な像が網膜に映りますし、
無理なくピント調節をして見れる場合が多いので、
誰に対する眼鏡処方の場合でも、なんとなく、というか、
単に「いつもそうしているので」とかいう理由で、
乱視を抜いてそれを球面度数(近視や遠視の度数)で調整して視力を出して処方する、
という方法を安易に行なうのは考え物だと、私は考えています。
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