東京都中央区・東京眼鏡販売店協同組合 片山敬三様
東京都中央区・東京眼鏡販売店協同組合 片山敬三様 2014.12.7 眼鏡公正広告協会 岡本隆博 貴組合は、その公式ネットサイトの記事において、 ユーザーを啓蒙すべく、フィッティングについての説明を しておられます。 その意図はわかるのですが、記述内容に疑問を感じた点が ありますので、ここにお尋ねいたします。 (文中《 》でくくった文章は、当該サイトの記事から 原文のまま引用したものです) 質問1 《自分でできるフィッティングチェック》 http://www.megane.or.jp/index.asp?patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在)の記事についてお尋ねします。 《個々のお客様にフィッティングする前のメガネは 「メガネを作る材料」でしかないのです。 これをお客様のお顔に合わせてフィッティングするのも メガネ店の大切な仕事です。》 《フィッティングは本来、販売したメガネ店がメガネ本体と一緒に、 お客様にお渡しする「無形の商品」です。》 《「フィッティングされていない」場合はお求めになった メガネ店が未完成の商品をお渡ししたことになります。》 このお説は「まことにごもっとも」なのですが、では貴組合の 加盟店では、枠のみを販売するときに、必ずフィッティングも なさるのでしょうか。 実際のところそれをしない店が多いようですが、加盟店に対して 必ずそれをするようにという通達か何かを、組合長から出された ことがあるのでしょうか。 質問2 上の質問と同じページに 《掛け具合が気になる方、メガネの正しい掛け方を知りたい方、 何度求めたお店に足を運んでも直らない、という方・・・ ぜひこの機会にご自分のメガネをチェックしてみませんか。》 としてあります。 その「何度足を運んでもうまく直してくれない店」は おそらく貴組合の加盟店ではないのでしょうが、 では、このチェック方法で「ここがいけない」とわかったときに、 貴組合の加盟店なら、どこでもきちんと直してくれるのでしょうか。 このサイトには組合員の一部の店のリストもありますが、 http://www.megane.or.jp/index.asp?patten_cd=12&page_no=75 (2014.12.7現在) 住所も電話番号も書いていないので、いまいち利用しにくいのです。 質問3 http://www.megane.or.jp/index.asp?page=4&disp_page=4&patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在) ここにおいては、左右の目とフロント部が平行にかかっているか どうかをチェックする方法として、左右の瞳孔中心を結ぶ線と 左右のリムの上辺との平行度合いを見る方法を説明されていますが、 実際のところ、こんなにフロント部全体が下がっている例は少ないので、 そういう方法でのチェックは難しいです。 また、目の上瞼とリム上辺との間隔のそろいかたで見るのも イマイチです。 なぜなら、瞼裂の縦幅(上瞼のかぶりの程度)が 左右で違う人が多いからです。 我々メガネ屋でも、一般ユーザーでも、この傾きを見るには、 下瞼とリム下辺との縦方向の間隔がそろっているかどうかを 見るのが一番わかりやすいのです。 ここの説明をそのように修正されたらいかがでしょうか。 質問4 http://www.megane.or.jp/index.asp?page=5&disp_page=5&patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在) このページに二つ横に並べてある写真のうち、 向かって左の写真が「望ましい例」であるのなら、 その下に書いてある《 出来上がったメガネフレームも (特殊なデザインの場合を除き) 瞳の中心がフレームの上下の中心より1〜2mm程度 高い位置になるようにフィッティングします。》 という記述と合致しないのですが、それはともかくとして、 《上下の中心より1〜2mm程度高い位置》 というのは妥当でしょうか。 これを論ずるにおいて、重要なこととしては、 フレーム視野の上と下での面積配分なのですが、 それからしますと、遠常用では「上1:下2」、 近用では「上1:下3」くらいが 上下の視野のバランスがよい位置となります。 (玉型の縦寸が短くなればなるほど、 アイポイントが天地中央に近くなると下方視野が足りなくなります) ですので、この《上下の中心より1〜2mm程度高い》 というのは不適切だと私は言いたいのですが、いかがでしょうか。 質問5 http://www.megane.or.jp/index.asp?page=6&disp_page=6&patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在) 《遠くを見るためのメガネでは、左右のレンズの光軸は おおむね平行くらい、近くを見るためのメガネでは おおむねやや内側を向いているのが正常です。 人間の視線は遠くを見るときは平行になり、 近くを見るときはやや内側を向くので、 その時の視線とメガネの光軸を合わせることで 処方どおりの見え方になります。 ……中略……「左右のレンズの光軸が平行より やや外を向いている」、 この二つは正常ではないとお考えください。》 とのことですが、この説が成り立つためには、 光学中心位置が玉型の水平方向における中央に 位置しているという前提が必要ですが、 実際のメガネではそれが成立していなくて、 中央よりも鼻側に光学中心が来ている例の方が ずっと多いわけです。 それで、たとえば遠用では、少し外そりがあれば、 その方が、鼻側に寄った左右の光学中心を 通る光軸は互いに平行に近くなります。 また、近用では一見左右でそりがないように見えても 鼻側に寄った光軸は実は輻輳している、ということもあります。 また、《左右のレンズの光軸が平行よりやや外を向いている》 ということを、外見でユーザーがチェックすることは難しいです。 ゆえにこのそり角についての記述は校正をされたほうが よいのではありませんでしょうか。 質問6 http://www.megane.or.jp/index.asp?page=8&disp_page=8&patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在) 《メガネ処方は通常、この角膜頂点距離が12mmに なることを前提に行われます。 つまり、角膜頂点距離が12mmでなければ、 そのメガネは処方通りの見え方にならないということです。》 角膜頂点間距離が12mmになっていないと 見え方が処方どおりにならない、とするのはおかしいですね。 現にこの記述の上で、あなたは、《12mm以下が標準値》と 書いておられますよね。 歪曲などは別にしても、 少なくとも矯正効果の点においては12mmがよい、 と言うのもおかしいわけで、 眼鏡処方の検査で、仮枠での最終チェックのときに、 頂点間距離を12mmに合わせてある……わけがないでしょう。 そんなもの測る手段もないのですから。 目とレンズの距離について、ユーザーに説明するのなら、 離れすぎたらダメ、左右で違いすぎるのもダメ、 ということくらいが妥当だと思われませんか。 参考 拙著『眼鏡処方の実際手法』のP292に 「角膜頂点間距離12mmのウソ」という記事があります。 http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/books.html 質問7 http://www.megane.or.jp/index.asp?page=10&disp_page=10&patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在) 《テンプルの先端は耳の付け根に沿って曲がっているのが正常です。》 耳の付け根に沿うように曲げると、ややもすれば、 付け根が痛くなります。 腕先は、耳にひっかけてメガネのずり落ちを防ぐのではなく、 頭を抱くことによってずり落ちを防ぐのですから、 (だから、腕先は、耳に向かうほうの幅よりも 頭部に当たるほうが幅が広いのです) 腕先は耳のつけ根の角度よりも少し浅くまげて、 腕が横から頭部をしっかりと抱くようにフィッティングを するのが良いフィッティングだと思いますが、いかがでしょうか。 質問8 http://www.megane.or.jp/index.asp?page=11&disp_page=11&patten_cd=12&page_no=138 (2014.12.7現在) 《顔と平行にレンズが立っていたり、 逆にレンズの上側が顔に向けて傾いていたりしたら異常です》 としてありますが、運転だけに使うような「遠見専用」であれば、 顔と平行(前傾なし)でよいのではありませんか。 また、度数が弱度であれば、天地が深い枠の場合に リム下部と頬との接触をさけてレンズをほとんど垂直にした ということでも光学的に特に問題はないと思いますが、 いかがでしょうか。 質問9 http://www.megane.or.jp/index.asp?patten_cd=12&page_no=15 (2014.12.7現在) ここにおいて超弾性フレームについて 《これらのメガネは、「曲がりにくい・型が崩れにくい」 フレームではあっても絶対に壊れないものではございません。》 としておられますが、この種のフレームの問題点は、 フィッティングがほとんどできない、 という点にあるのではないかと私は思いますが、 いかがでしょうか。 (貴サイトの他のページには《フィッティングが できない素材で出来ている」これが一番の問題です。》 と書いてあるのです) 貴組合の多くの店は、そんなフレームを品揃えしておられるのでしょうか。 |
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