埼玉県さいたま市・メガネのヨコタ御中
さいたま眼鏡技術研究所御中
横田進様
2014.2.3 眼鏡公正広告協会 岡本隆博
貴殿がネットに掲出しておられるサイトにおける記述について
疑問を感じた点について、お尋ねします。
質問1
横田流の認定フィッターには、
プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ
の4クラスがあり、
その個別紹介ベージがあります。
http://yokotamegane.com/saigan/fit2.html(2014.2.3)
そこにおいてトップに紹介されている、古川馨さんは、
札幌のドクターアイズトライアル手稲店のかたのようです。
そこで、その店はどういう店かと思って・・・・
74店舗あるチェーン店で、お店のチラシを見ますと、
http://www.shufoo.net/shxweb/site/shopDetail/133019/(2014.2.3)
枠レンズ一式5000円でした・・・・・
横田流のフィッターの認定においては、
その人物が所属する店が
極端な価格訴求をする店であるのかないのか
ということは斟酌せずに、技術レベルのみの判断で
認定をなさるようですが、
横田さんが業界に向けてフィッティングの教育を始められた
ころは、教本のタイトルも「大型店に負けてはいけない」
というものであり、小規模店の繁栄に協力したいということだったのですよね。
その後おそらくフィッター養成の趣旨が変わってきたのでしょう。
しかし、薄利多売のメガネ店で、次々とお客さんをさばかないといけない状況では、
横田さんが教えておられるような丁寧で徹底したフィッティングが可能なのでしょうか。
質問2
横田流の認定フィッターである辻村正幸氏がおられる
グラスアーカスさんのサイト
http://www.glass-arcus.com/fitting.html(2014.2.3現在)
において、「横田流フィッティング理論6項目」というのが
紹介されています。
その1.テンプルフィッティング
その2.クリングスフィッティング
その3.角膜頂点間距離
その4.前傾角
その5.反り角
その6.モダンフィッティング
2−1
この6項目のうち、1.2.6は、手や工具で調整すべき
「場所」を指すものであり、
3.4.5は、調整の結果において、この点においては
どうなっているべきなのかということを見るべき「状態」を
名づけた用語なわけです。
そういうふうに性格の違うものを、このように同列に並べて
「フィッティング理論6項目」とするのは、適切ではないように
思いますがいかがでしょうか。
2−2
この6項目の内容からしますと、「理論」というよりも「実技」ですから、
この名称から「理論」は抜いて、「フィッティング作業●項目」か「フィッティング●項目」
でよいかと思うのですが、ここにあえて「理論」と入れたことの
理由をお尋ねします。
2−3
手や工具で調整すべき箇所としては、上記で挙げられている
部分のほかに、ブリッジや智があるのですが、
ここに「ブリッジフィッティング」も「智フィッティング」も入っていない
ことの理由をお尋ねします。
2−4
なお、ご存知だと思いますが、
私は昔からフィッティングにおいてチェックすべき点を
「3力6光」と言っております。
3つの力学的要素
1.鼻横の当たりが適切かどうか
2.耳よりも前の圧迫がないか
3.耳の後ろがうまく抑えてあるか
6つの光学的要素
(正面から見て)
・フロントの左右の傾きがないかどうか
・フロント全体の上下位置が適切かどうか
(上から見て)
・角膜頂点間隔距離の左右バランスが取れているか
・そり角は適切か
(横から見て)
・角膜頂点間距離は適切か
・前傾角は適切か
これらを参照してもわかるように
貴殿の「横田流フィッティング●項目」に、
チェックすべきこと、を並べるのであれば、
「フロントの上下位置」と「フロントの左右の傾き」
「鼻の当たりかた」などが足りないのではないかと
思いますが、いかがでしょうか。
質問3
貴店のHP
http://yokotamegane.com/fit/(2014.2.3現在)
に、
(引用初め)
釣りは「鮒に始まり、鮒に終わる」と言われますが、
メガネの場合は「フィッティングに始まり、フィッティングに終わる」
と言っても過言ではないでしょう。
(引用終わり)
と書いてあります。
「フィッティングに終わる」はわかります。
出来上がりメガネをお渡しのときに最終フィッティングをしますし、
それから後でもときどき調整をしたりしますから。
しかし、「フィッティングに始まり」ということがよくわかりません。
メガネ店へ来られたお客様に対しては、いろんな聞き出しとか、
検眼とか、枠選び、レンズ選びなどの前に、
まず最初に枠のフィッティングから始めるということでしょうか。
それとも、別の意味でしょうか?
質問4
前問で示したページには、他店で購入のメガネのフィッティングに対する
対処について、
(引用はじめ)
当店では、他店でお求めになったメガネフレームのフィッティングは
原則としてお断りしておりますが、特にお困りの際は、ご相談下さい。
(引用終わり)
としてあります。
ということは、場合によっては他店購入のメガネの調整だけでも
承りますよ、ということですよね。
それで、貴店では、他店購入のメガネのフィッティングを
なさる場合には有料でなさるのでしょうか、無料でなさるのでしょうか。
また、貴殿のフィッティングセミナーの受講生に対して
その件について何らかの方針の指導などをしておられるのでしょうか。
なお、参考までに申し上げますと、私が代表を務める「メガネフィッティング調整研究会」
のサイトでは、その件については下記のように述べています。
http://usukal.biz/fitting/1202193.html(2014.2.3現在)
質問5
メガネを装用した場合のパッドの正面高さについては、
パッドの下端がどの位置にあるかということにより
フィット感や装用の安定感などが左右されるので、
フィッティング論の観点からすれば、
「パッドの正面高さ」というのは、とりもなおさず
「パッド下端の正面高さ」のことだと言ってよいのです。
ですから、U字のクリングスで、やや高めについているパッドを
無理して(カラーメッキなどをボロボロにして)下に下げることを
せずとも、パッドをより下に長いものに換えることにより
同じ効果を得ることがけっこう多いわけです。
たとえば、下記のAをBに換えるだけで、パッドの下端が5mm下がります。
こうすれば、U字クリングスの形状変更は
ほとんど必要でなくなるのではないでしょうか?
A サンニシムラ 141−324 ドングリ型、 回転中心から下が7.5mm
B サンニシムラ 83−93 通常型 回転中心から下が12.5mm
(Bは場合によっては上半分を横に細く削るのもよい)
質問6
貴殿は、角膜頂点間距離について、私の著書での説明を踏襲しての
ことだと思いますが、12mmよりも短めのほうがベターである
と説いておられます。
http://yokotamegane.com/fit/48.html(2014.2.3現在)
さて、貴殿は、パッドが当たる位置をなるべく下に
もってくる方針を打ち出しておられるようですが、
たしかにPDの狭い人ほど、パッドが上で当たると
目頭に違和感を感じやすいので、
パッドが目に近い上寄りの位置で当たるのは、
あまり好ましいことではありません。
しかしながら、
鼻は下に来れば来るほど太くなりますし、
鼻側部は下に来ればくるほど、前にせり出してきます。
ということは、
フロント部の目に対する正面高さが同じとした場合、
パッドを比較的下で当てても角膜頂点間距離を無駄に長くしない
ということのためには、
広めの鼻にあわせてパッドの左右間隔を広げざるを得なくなり、
前にせり出した鼻側部に対処するために
パッドをレンズのほうに近づけざるを得なくなります。
ところが、それをするとパッドがレンズの内側の鼻側にところに
進出してきて邪魔になり、レンズの裏側の全面を拭くのが無理と
なることが生じるおそれが出てきます。
こういうことを踏まえた上で、貴殿は、パッドの当たる位置に
ついて「下めが良い」とおっしゃっているのでしょうか。
【参考】
貴HPの中の「クリングスフィッティング」のページ
http://yokotamegane.com/fit/26.html(2014.2.3現在)
の写真2aと4aを比較してみましょう。
瞳孔付近の左右の光点の間隔と、メガネのフロント部の
レンズの端から端までの距離との比率をとりますと、
2aでは[ 1 : 1.788 ]、4aでは [ 1 : 1.82 ] となり、
4aのほうがこの比率が大きい・・・・ということは
すなわち、パッドを下に下げた4aのほうが、
角膜頂点間距離がやや長くなっているとわかります。
質問7
玉型の縦寸が25mm前後しかない、いわゆる
天地が浅めのスマートなメガネのフィッティングにおいては、
瞳孔位置の正面高さがシビアになってきます。
すなわち、装用者本人のフレーム視野の上下の配分という
ことからすれば、遠見にも近見にも使う常用メガネの場合
正面から見て上まぶたが上リムに一致するくらいまで
フロント部を下げてフィッティングすると、手元を見る場合に
下方視野はなんとか確保されます。
しかし、それでは外見は美しくないということで、
瞳孔中心が玉型の天地中央からやや上にくる
外見上好ましいフィッティングにすると、
手元を見る場合の視野がかなり不足で
首を強く下に曲げないといめなくなり、
それも望ましくないわけです。
これを私は「スマートメガネのパラドクス」と読んでいます。
このパラドクス(二律背反)を止揚(アウフヘーベン)し得る方法の
ひとつとして、角膜頂点間距離を極力短めにすること、
があるのですが、まつ毛が長いと、それができません。
では、その場合の解決方法として、どんな方法があるのか……、
貴殿はその方法を実行されたことがあるのでしょうか。
質問8
貴殿のサイトの「前傾角」のページ
http://yokotamegane.com/fit/42.html(2014.2.3現在)
の一番初めに、手書きのイラストで横顔が載っており、
その右に前傾角に関する説明文が書いてあるのですが、
8−1
このイラストは、貴殿が描かれたものでしょうか。
それとも、どこかからの転載でしょうか。
もし転載であれば、イラストの下に出典を示すべきではないでしょうか。
8−2
このイラストにおいて、おでこの傾斜角とメガネレンズの傾斜角とが
なす角度を「前傾角」としてありますが、
これは明らかに誤りですね。
そのような「前傾角」の測定方法を、私は聞いたことも見たことも
ありませんし、実際、この絵の角度は、30度前後あり、
貴殿が説明されている前傾角の数値とは、かなり違いますから。
8−3
その下に、前傾角を変えた写真が上下に3つ並んでおり、
その一番上の写真においては、見たところ3度くらいの前傾角が
ついており、決してまっすぐ(垂直)ではありません。
ところが、これについて下記の説明になっています。
(引用はじめ)
角度はほとんど無し。逆傾斜にも見えるぐらい。
よほどの例外でない限り、使用に耐えない眼鏡でしょう。
見ているだけで、ため息が出そうです。
(引用おわり)
この前傾角であれば、老視がある人の遠用などで、
あまり手元を見ないメガネなら、光学的に別に問題はありませんし、
また、たとえ遠見にも近見にも使うメガネの場合であっても、
たとえば、レンズ下辺を頬につかないようにするために
この程度の前傾角ですませたとして、
度数がよほど強度でなければ、見え方についても問題なく
使える場合が多いものです。
ですので、これが「使用に耐えない」ものだというのは、
明らかに事実に反する記述だと思いますが、いかがでしょうか。 |
質問9
貴店のサイトの
http://yokotamegane.com/fit/52.html(2014.2.3現在)
のページの、モダンの落ち込み角についての記述において
モダンの屈折点から先が下に30度ほど曲がっている状態を
写真で示し、その下に
(引用はじめ)
この手の形状の人はアンラッキーの見本です。どう合わせてもズリ落ちやすい。
何か良い方法はないのだろうか?(知っている方は教えて下さい)
(引用終わり)
と書いておられます。
しかし私は「この程度落ち込角になることはときどきあるけれど、
これだけの落ち込み角がつけられるのであれば、
ずれにくいフィッティングは、さほど難しいことはないのになあ・・・」
と思いました。
だって、たとえストレートテンプルでも、うまく合わせれば、
ずれにくくできるのですから。
それと、ずり落ちにくさは、落ち込み角だけではなく、
それとともに抱え込み角も関係するのですから、
抱え込み角に言及せずして、落ち込み角が少し弱め
ということだけで、このようにあきらめの境地に達してしまうことにも
疑問を感じました。
9−1
貴殿は、本当に、こういう角度でしか下に曲げられない場合に
お手上げになってしまうのですか?
9−2
それが本当であれば、この程度の落ち込み角の場合には、
常にメガロックなどをつけてずりおちを防ぐのですか。
9−3
http://www.ggm.jp/float/(2014.2.3現在)
この「浮きメガネ」には、腕先に特殊なフィッティンクをするのですが、
どのような調整をするのか、貴殿はおわかりになりますでしょうか。
質問10
モダンのフィッティングを説明したページ
http://yokotamegane.com/fit/52.html(2014.2.3現在)
の「形状」の項に、
モダンを上から見た写真が並べてあり、一番左の写真の下に
(引用はじめ)
通称クランク型。
この形と右の写真の組み合わせのケースが最も多い。
モダンの先端を少し浮かすぐらいの気持ちで力を逃がしてやる場合もある。
(引用おわり)
としてあります。
10−1
この場合の「右の写真」においては、腕の屈折点から先は、
上から見て内側に少し曲がってはいますが、カーブがなくて
直線的です。
それで、上記引用文における「この形と右の写真の組み合わせ」
というのが何を意味するのかが不明です。
どういうことなのでしょうか。
10−2
この、(貴殿の命名による)「通称クランク型」のような感じに
することはたしかに多いのですが、
人間の耳の後ろのへこみの形状からして、
この写真のように、下への屈折点から先の部分の
中間当たりまでが直線的で、そこでクッと外へ曲げ、
そこからまた先も直線的、とするのではなく、
下に曲がる屈折点から先の部分の全体にわたって丸く
曲げる(丸く外に逃がす)とうまく合うことがほとんどなのですが、
貴殿は、このように、上から見て、屈折点から先の部分の
途中でクッと曲げることの方が多いのでしょうか。
質問11
以前に私は、自分が主宰していますネットサイト
「眼鏡技術者のナマの声」に
「横田流フィッティング術とは?」と題する意見を掲載しました。
http://www.optnet.org/namanokoe/yokotaryu.html
これに対する貴殿の反論なり主張なりがありましたら、
ぜひご披露いただきたいのですが、いかがでしょうか。
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