参考資料 

  [ML談義]  「ムーブの疑問」への疑問


 西村氏が登場してメガネを診断


 岡本 「眼鏡新聞」(2008.11.25)から引用します。

     (引用はじめ)
     11月19日夕、大阪ABC朝日放送「ムーブの疑問」で
     メガネが取りあげられた(10分弱)。

     番組のタイトル は「安心のメガネ選び術」。
     50代の女性が老眼と視力の低下により初めてメガネを作ったが合わないので
     病院で診てもらうと「左右のレンズでランクが違う。
     もっと、ちゃんとした店で作ってもらった方が……」と言われた。

     そこで作ったメガネ店に行き聞いてみると「そんなはずはない」と言われたので、
     番組にメールで不満を送信。テレビ局が取りあげたというもの。

     番組では、大阪市北区の西村眼鏡店・西村日眼連会長代行の店を取材。
     女性に来店してもらい、西村会長代行が処方箋とレンズを比較した結果、
     グレードの違うレンズが入っているわけではなく、価格が違うレンズではないこと
     が判明。 レンズ度数が弱いことで見えにくいと説明し、理解が得られた。
     (引用おわり)


     私はこの番組を見ていなかったのですが、この話は下記のどちらなのでしょうか。

     1)そのメガネは「ランクが違うレンズウンヌン」と言った病院の眼科で
      処方されたもの。

     2)そのメガネは「そんなはずはない」と言ったメガネ店で処方も調製もしたもの。

     ご存じのかたがおられましたら、教えていただけないでしょうか。

                            ●


 保田 10月の中頃だと思いますが、この番組の朝日放送の担当者から電話で
     問い合せがありました。

     その説明では、どこかの眼科の処方箋で作ったメガネの調子が悪く、
     その眼科でメガネを調べてもらったら、「そのレンズは左右でグレードの違う
     レンズを使っている」のが原因だと言わた。
     そして、作った眼鏡店に持って行ったら、「そんなはずはない」と言われて
     困っている人から番組に相談のメールがあった。

     はたしてどちらの言っていることが、正しいのでしょうか?
     そちらの店(当店)では、検査をしてくれるのでしょうか?……というような内容
     だったと思います。

     たまたま京都在住のかただったので、当店に問い合わせがあったのでしょう。
     その話を聞いて、眼科もその眼鏡店も「どっちもどっちですね!レンズのグレード
     の問題よりも処方の問題でしょう」と答えておきました。

     そして「そのかたがお困りなら、もちろん検査は致しますが番組向けのパフォー
     マンスを期待されているならお断りです」と申し上げました。
     (テレビ嫌いなもので……)
     これでは、番組になりませんよね。(^_^;)


 なぜこの話に認定眼鏡士が?


 
岡本 へえ〜、この話に保田さんも一枚噛んでおられたのですか……。
     このあとで西村氏は認定眼鏡士の宣伝をしておられますが、少なくともこの話に
     おいては、眼科の眼科処方のとおりにちゃんと作ってあったのですから、認定
     眼鏡士ウンヌンは関係ありませんね。

     この話ならむしろ、「眼科で測ってもらうとこんなことになりかねないから、眼科では
     眼に病気があるかどうかだけを診てもらって、メガネの度数は眼鏡店で決めたほう
     が……」という教訓になるのが自然だと思いますが、西村さんは、そんなことは公
     には言わないでしょう。(西村さんの店は眼科処方による調製が多い店ですが、
     以前西村さんは私に「度数は眼科で決めずにこちらにまかせてくれたらいいのに」
     とこぼしておられました)

     この番組ではどういう説明がされたのかというと、

     (引用はじめ)
     番組では、メガネは使用目的に合ったレンズ選定や一人ひとりのフレーム調製
     など、専門的で複雑な技術が必要だと解説し、一般消費者には技術レベルの
     判断が難しいとして、認定眼鏡士制度を紹介。
     (引用終わり)

     この文中の「フレーム調製」はこの記事を書いた出版社の人間が「調製」と「調整」
     の区別がわかっていないことからくるもので、「フレーム調製」はおかしな言葉であり、
     文脈からしてここは当然ながら「フレーム調整」でしょう。

     そうであれば、ここには、眼鏡処方技術についての眼科と眼鏡店の比較論的なこと
     はまったく含まれておらず、ただただ眼科を刺激しないために、レンズ選びだの、
     フレーム調整だのと西村氏が言ったのだと解釈せざるを得ません。

     そうではなく、もし 「眼科処方ではこのような結果になることがあるので認定眼鏡士
     の店で測ってもらえばよい」とでも西村氏が言ったのであれば、「よく言った!」と
     ほめてやりたいのですが、それはまあ、無理でしょう。

                           ○

     それでこのユーザーは眼科処方のメガネで見えにくいと思ったときに、まずメガネ
     店に相談に行って、そこで「ウチは眼科の処方どおりに作っただけ」と言われたの
     で眼科へ行ったのか、あるいは、メガネ屋へは行かずに眼科へ行ったのか、
     おそらくは前者だと思うのですが、いずれにしても、このメガネ屋が、「見えにくい」
     という訴えや、眼科からの「グレードが違うウンヌン」という見解をそのお客さんから
     聞いたときに、自店で測ってみて、なぜ見えにくいのかを探ろうとしなかったことにも
     問題なしとは言えませんが、それ以上にこの眼科はひどいですね。

     自分の不手際を他人のせいにするなんて! これではそのメガネ店に対する営業
     妨害だとも言えます。

     それで、保田さんが、その番組に出られなかったのは、惜しいことをしました。
     テレビで日眼研とネットチェーンの宣伝をしていただいたらよかったと思います。
     う〜ん、残念!

     それで、作り直しのレンズの費用を誰が負担したのかということが、眼鏡新聞には
     書かれていません。
     西村眼鏡店が特別サービスをしたのかどうかはわかりません(テレビで自店の宣伝
     もできたでしょうから、そのくらいのサービスをしてもよいとは思います)が、おそらく
     テレビでもそこまではやらなかったのでしょう。
     でも、そこが肝心なところなんですけどね。

     今回、テレビ局と西村氏がその眼科へ行って処方責任を追及すればおもしろかっ
     たのですが、西村氏は、2か所の大学病院と仲良くしているかたですから、どこの
     眼科へでも、文句をつけに行くということはできないでしょう。

     それでもし、保田さんが、今回の西村氏の役割を演じておられたらどうされました
     でしょう。 眼科へ乗り込んで行かれたでしょうか。
     そうしたら眼科はどう言うか、そこが見所ですね。


     眼科   「眼鏡処方は医療である。医療は結果責任ではなく、行為責任である。
           だから結果が思わしくなくとも眼科に責任はない。この処方をするときに、
           患者さんはこの度数で近くのものを見て『これで見えます』と言ったの
           だから、眼科には責任はありません」

     メガネ屋 「でも、レンズのグレードウンヌンと言って、メガネ屋にヌレギヌを着せた
           のは、営業妨害という明白な不法行為ですよ」

     眼科   「う……」


 苦しまぎれにメガネ屋のせいに


 
保田 今度もしテレビ出演の機会があれば、なるべく受けるように心がけます。(^^ゞ
     それで、このかたがもし当店にこられていたら、作り直しの場合の説明をしてから
     の話になったと思います。

     そして、もし私がこの番組に出ていたとしても、今回のケースでは、眼科へ乗り込む
     まではしなかったでしょうけど、当店で作成したメガネに対してクレームを付けられ
     たのなら、場合によっては、そうするかもわかりません。
     私の場合は、眼科に何のしがらみもありませんので……。


 岡本 この眼科でメガネ屋に対する営業妨害的なことを言った人が、医師なのか検査員
     なのかはわかりませんが、どちらにしても、根っからの悪人ではないでしょう。

     そのメガネで見えにくいことの原因は自分の処方の手落ちだと言ってしまえば、
     レンズ代を弁償してくれないのか、と思われると困るし、そうかと言って、「あんた、
     あのときに、これでよく見えると言ったじゃないの!」 とか 「眼鏡処方は医療です。
     医療は結果責任を問われません。私は求めに応じて検査をして処方箋を発行する
     ことにより、医療従事者の責務を果たしています」 などと開き直るようなことは、
     経営的に大事な「患者様」には言いにくい、ということで、苦し紛れにその場には
     いないメガネ屋のせいにしたわけです。

     それで、なんでこういうことになるかと言うと、それは当然、いつも私が言っている
     ように、眼科でやるべき理由がない眼鏡処方を眼科でやるからです。

     眼科と眼鏡店のごちゃごちゃの原因はすべてここに帰結します。
     眼科の眼鏡処方は、メガネ屋とは違って、その結果もしうまくいかなかった場合に
     処方者が自分で後始末ができません。

     もっとも、眼科での眼鏡処方がすべて医療であるのなら、その医療の行為が普通
     の水準で行われていれば、結果を患者がどう思うかということは、原理的というか、
     少なくとも法的には関係がないから、法的には知らぬ顔でもよいわけで、そういう
     あと始末はいらないから、あと始末ができなくても良いのだとも言えますが、それで
     は患者さんは納得できないでしょう。

     一方、メガネ屋の場合には、商売として眼鏡の処方や調製をするので、その結果
     に対して文句が来た場合には、もっと良さそうな度数に無料でレンズ入れ換える
     とか、最悪は返品を受け取るとかすることによって一応は治めることができますが、
     眼科はそんなことをできるだけの報酬をメガネの処方によって得ていないのです
     から、普通の眼鏡処方を眼科がやることが、そもそもおかしいのです。

     眼科が「この眼に対しては眼科で眼鏡処方する必要はない。病気ではない単なる
     屈折異常とか老眼に対する処置は医療にはならないから」ということで、その眼に
     対しては眼科では眼鏡処方をしなければ良いのです。

     たとえば、眼科が上記の私の主張通りに、眼鏡処方をメガネ店に委ねるのなら、
     今回の話では、患者さんから 「このメガネでは見えにくい」 という相談を受けた
     のであれば、そのメガネを調べて、屈折検査もしてみて 「度数がゆる過ぎますね。
     メガネ店でもう一度測ってもらってください」 と言って、メガネ店にその患者さんを
     返したらそれでおしまいなのですが、そうでなくて今後も同じように眼科で処方を
     していたら、もしそれでもうまくいかなかった場合には、また 「グレードウンヌン」 と
     言わざるをえなくなるかもしれませんよね。

     前にネットで私と議論した(会誌にも載せました)HARI医師(さる地方都市の
     病院の眼科に勤務)は、私との議論以後、そういう普通の眼鏡処方は眼科では
     しないそうです。

     「既成概念から脱却して楽になった」とおっしゃっています。
     (そのことに関する私とHARI医師の話は、本会会誌今号に載せています)


 差別化できる絶好のチャンス


 保田 自店では通常、処方箋持参でメガネをお求めに来られるかたには、
     まず、どのような目的でメガネをお求めになるのか、また、その処方箋の作成に
     当たって、ご本人の意向をきちんと伝えて、そのような処方になっているのかどうか
     を、まず確認させていただきます。

     そうすると、遠方用か近方用かの区別ぐらいで、ほとんどおまかせ状態で測って
     もらわれたかたばかりだということがわかります。

     当然ながら、ご本人は通常のメガネを作成するためのものなのか、何らかの治療
     目的の処方なのかなどという意識はありません。(ほとんどが、通常のメガネのため
     の処方ですが)

     そして、処方箋の確認のため、当店での検査を致しますが、そうすると様々な処方
     の問題点が見つかることが多いです。

     当方としては、その相違点についてひとつひとつ説明をする手間が増えますが、
     多くの場合、当店での処方どおりにお作りすることになります。

     当店では、できるだけ最終メーカーである当店の責任においてお作りしたいと
     思っておりますので、今回のような眼科処方に関するトラブルは最近ではほとんど
     なくなりました。


 岡本 こういう対応は当店と、ほとんど同じですネ。
     眼科の処方箋をご持参の場合、(小さいお子さんは別ですが)そこでひとつの
     「差別化」ができるのです。(^_^)

     たいていの店は、眼科処方箋を持ってこられたお客さんには、「手間が省けて
     楽だ」 とか 「ヘタに度数をいじるとあとでばれたらやばい」 と思って、
     ごちゃごちゃ言わずにそのまま作るでしょう。

     それで、もし、うまくいかない場合には、

     1)自店で測って無料でより良い度数に入れ替えてあげるつもり。
     2)眼科へ行ってくださいとつっぱねるつもり。
     3)そこまでは考えていない。とにかく楽して目先の売上げが立てばよい。

     上記の3つのうちのどれかだと思います。

     ですので、この3つのどれでもない、別の対応をすれば、それで立派な差別化に
     なり、お客さんに「この店へ来てよかった」と思ってもらえるわけです。


     たとえば、私の場合には、下記のことを申し上げます。

     (1)眼科は眼の病気の診療が本業で、眼鏡処方は得手ではない場合がほとんど
      であること。
     (2)眼科処方箋のとおりに作ってうまく見えなくても、当店は責任はとれない旨
     (3)それで眼科へ苦情を言いに行かれて、再度処方箋が発行されても当店では
      無料で入れ直しはしないということ
     (4)再度処方のとおりに作っても、またうまくいかないかもしれないこと。
     (5)当店で測って作れば、その眼鏡の使用目的に添った使い勝手の良いメガネが
      できる可能性が高いということ

     そうすると、ほとんどのかたは「ではここで測ってください」とおしゃいます。
     それで、検査のときには、当然ですが、眼科では行なわれていない偏光視標に
     よる両眼開放屈折検査や近見RGなどをして、その説明もして、なるほどと思って
     いただくわけです。

     結果として、当店でお客さまが選ばれた度数が眼科の処方箋の度数とまったく同じ
     になることは非常に少ないです。(皆無ではありません)


 保田 この(1)〜(5)あたりの説明は私も必ずします。そして、実際に検査をしてみると、
     眼科での検査との違いを実感していただけます。(^_^)
     いかに、眼科の検査が"テキトー"なものかがよくわかっていただけます。

     まっ、こちらは眼鏡処方を専門としているのですから、こういうふうになるのが
     当然だとも言えるわけですが……。


                 http://www.optnet.org/namanokoe/move.html




   [アンケート結果]
   眼科の眼鏡処方をどう思いますか?

  平成13年6月に、日本眼鏡技術研究会の会誌編集部では下記のようなアンケートを実施しました。
  72名の会員のかたから回答が来ました。ご協力いただきました方々には改めてお礼を申し上げます。

    ============= アンケート ==============
  1.貴店は眼科から指定を受けておられますか。(複数回答可)
         (  )組合単位で指定を受けている。
         (  )自店に指定を受けている。
     その場合、いくつの眼科から指定を受けておられますか。
         (  )軒の眼科

         (  )どこの眼科からも指定は受けていない。
     その場合、今後はどうですか。
         (  )できれば指定を受けたい。
         (   )今後も指定を受けたいとは思わない。

   2.あなた(貴店)は眼科の処方箋による眼鏡調製において、次のようなことはありますか。
         ◎:よくある ○:たまにある △:めったにない ×:まったくない
     ・眼科処方箋持参の顧客が、この店でも測定してほしいと言った。       (  )
     ・眼科の処方箋の通りに作ったら、見えにくさで苦情を受けて自店負担で作り直した。  (  )
     ・眼科の処方箋の度数を変えて作ったら、あとで眼科から直接注意を受けた。   (  )
     ・ 〃   眼科で顧客に注意をされたと聞いた。 (  )
     ・ 〃 あとで顧客から喜ばれた。 (  )
     ・眼科の処方箋の度を変えて作ったので、そのことを眼科に知られたらと、心配した。  (  )
     ・眼科の処方箋のとおりに作ったが、眼科で正確にチェックしてくれるかと心配した。  (  )

   3.眼科処方箋に関する「タテマエと実態の違い」や「ケースバイケースの対応」をどう思いますか。
        (  )このままでよい
        (  )どんな場合でも処方箋の通りに作るべきである。
        (  )普通の眼鏡であれば眼科で処方せずに眼鏡店に任せてもらうのがいいと思う。
        (  )顧客から望めば店での測定処方も構わない、との眼科医会との合意をはかるべきだと思う。
           その他

   4. 眼科処方箋に関するその他のご意見↓

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− │
         ではこのアンケートの集計結果を以下に示す。

   1.貴店は眼科から指定を受けておられますか。(複数回答可)

     組合単位で指定を受けている。  7 !!!!!!!
     自店に指定を受けている。 22 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
     その場合、いくつの眼科から指定を受けておられますか。
     1軒(7) 2軒(3) 3軒(3) 6軒(1) 9軒(1) 17軒(1) 30軒(1) 50軒(1)

     どこの眼科からも指定は受けていない。   28 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
     その場合、今後はどうですか。
     できれば指定を受けたい。    7 !!!!!!!
     今後も指定を受けたいとは思わない。    17 !!!!!!!!!!!!!!!!!

     回答をされた方々の中では、指定を受けていないかたの方がやや多かった。
     そして、「今後指定を受けたい」かたよりも「受けたくない」かたの方がずっと多いという点は、
     いかにも本会の会員らしという印象がしないでもない。
     すなわち、「眼科の処方箋をもらうとかえってやりにくいので、それはいらない」というわけであろう。
     なお、この欄に次のような添え書きをされたかたもおられた。 

     ・処方箋などへの指定の印刷などは行なっていませんが、複数の眼科医とは手紙・電話などで
      連絡を取り合い、紹介したりされたりしております。
     ・指定を受けていますが、実際には処方箋を置いてもらっているだけです。
     ・この地域でしたら、この店なら心配ないと眼科が推薦してくれる程度で十分で、契約はしたくないです。
      ただ、眼科からあそこはダメだと言われるのは怖いです。

   2.あなた(貴店)は眼科の処方箋による眼鏡調製において、次のようなことはありますか。
        ◎:よくある ○:たまにある △:めったにない ×:まったくない

     ・眼科処方箋持参の顧客が、この店でも測定してほしいと言った。      
       ◎ 14 !!!!!!!!!!!!!!  
       ○ 43 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
        これを見ると、眼科の処方箋をもってきても
       △ 21 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
         それを信頼できずに、眼鏡店での測定を望む人    × 1  ! が少なくないことがよくわかる。

     ・眼科の処方箋の通りに作ったら、見えにくさで苦情を受けて自店負担で作り直した。  
      ◎  4 !!!!  
       ○ 31 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
           この設問に回答されたかたのうち、こういう    
      △ 19 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!  
        作り直しは1度もなかった人は、約2割であ
      × 13 !!!!!!!!!!!!! った。

     ・眼科の処方箋の度数を変えて作ったら、あとで眼科から直接注意を受けた。  
      ◎  1 !  
       ○ 7 !!!!!!!      
        眼科で、処方箋とは違う度で作られた眼鏡 
      △ 9 !!!!!!!!!   を発見しても、直接そのことを眼鏡店には  
      × 45!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
        言わない場合が多いようだが、なぜだろう。
     ・眼科の処方箋の度数を変えて作ったら、 眼科で顧客に注意をされたと聞いた。
      ◎ 1 !  
      ○ 10 !!!!!!!!!!
        顧客に注意をしていても、それが店にまでは伝 △ 9 !!!!!!!!! わらない
        ケースも多いと思うので、実際にはもっ
      × 42 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
       と注意がなされているのだろう。

     ・眼科の処方箋の度数を変えて作ったら、あとで顧客から喜ばれた。
      ◎ 7 !!!!!!!
       ○ 31 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
        この場合の「度数を変えて作った」のは、いったん処方箋   
       △ 12 !!!!!!!!!!!!  どおりに作ったけれど、それでは不満が出て、という場合と
       × 10 !!!!!!!!!!      初めから違う度数で作ったのと、2とおりあるようだ。

     ・眼科の処方箋の度を変えて作ったので、そのことを眼科に知られたらと、心配した。 
      ◎   1 !
       ○ 17 !!!!!!!!!!!!!!!!!
        度数を変えて作ったことのある人の多さの割に、心配する
      △ 18 !!!!!!!!!!!!!!!!!! 人が多くないのは、眼科へは持っていきませんと言う人にだ
       × 28 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  け作り変えているとうケースが
       多いからかもしれない。

     ・眼科の処方箋のとおりに作ったが、眼科で正確にチェックしてくれるかと心配した。 
      ◎   4 !!!!
       ○ 21 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  
       ここでは◎や○がもっと多いかと予想していたが、案外少な   
      △ 14 !!!!!!!!!!!!!! なかった。たとえば、累進の場合などはわかりにくいのでか
      × 29 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!    
        えって心配はなかろうが、単性乱視などではPDが合ってい ないと言われてしまいそうで心配して当然だと思う。
        また、乱視軸にしても、1°や2°くらいはズレて入りがちだが、よほど乱視が強くない限り、それ で実際に
        どうということはない。それでも、眼科でそれを見て何かお客さんに言われやしないかと、よ けいな心配を
        することになる、といったことはないのだろうか。

   3.眼科処方箋に関する「タテマエと実態の違い」や「ケースバイケースの対応」をどう思いま すか。

     (1)このままでよい   4 !!!!
     (2)どんな場合でも処方箋の通りに作るべきである。  6 !!!!!!
     (3)普通の眼鏡であれば眼科で処方せずに眼鏡店に
         29 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!任せてもらうのがいいと思う。
     (4)顧客から望めば店での測定処方も構わない、  
         39 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
       との眼科医会との合意をはかるべきだと思う。

      これに関しては、(3)と(4)の両方を選択した人も多かった。

    そして、この設問の「その他」の欄に書かれていたコメントは以下の通りである。
    ────────────────────
   ・眼科医はメガネのことを知らなさすぎる。フレームやレンズのことはほとんどと言ってよいほど分っておられない。
    この3と4も良い方式だが、利益の結びつきでいま指定を受けている店と眼科は処方箋が意味ををなくすこと
    になる方式には反対するだろう。
   ・処方は眼鏡店に任せてもらうのがよいが実際には無理だろう。
   ・処方箋を見ておかしいと思ったら直接眼科に電話をします。
    そのまま作ってくださいと言われたら、そのまま作ります。
    どんな場合でもそのまま作るという堅苦しい考えはしません。
    眼科にも間違いはありますので。
   ・+−が逆と思われる場合、もう一度眼科に行っていただき、PDにかなりの差がある場合はお客様に
    そのむね話し、処方どおりに作るようにしている。
   ・原則的には眼科医の処方どおり作るべきだと思いますが、顧客の希望で処方箋の度数を変えることになった
    場合には、ある程度の範囲内であれば眼鏡技術者の判断で変更してもいい、というようになればいいと思います。
   ・遠用と近用の度数を書いた処方箋で、顧客が遠近を望まれる場合に苦情が出ることが多く、そのため度数を
    変えて作ることになりがちなのではないか。
                                  ○
   ・10歳以下なら眼科の方がいいと思う。調節まひ剤などを使用できるので。
     ただ、眼科のレベルもいろいろで、眼科で弱視と判断された8歳のお子さんを自店で検査をして
    矯正視力1.2が出た時がありました。この場合は前眼鏡が内藤先生のところで作ったプリズム処方つきの
    メガネでしたので比較的簡単だったのですが、眼科さんでは前眼鏡のチェックもなさらないのかと不思議でした。
    お母さんも、検査のときにハッキリ視力が出るのを横で確認され、安心しておられました。
   ・せっかく認定眼鏡士の資格を作ったのだから眼科医会や消費者にアピールすべきだと思う。
   ・私は指定眼科へ手伝いにいくことが多いので、眼科処方は私の処方であることが多いです。
    指定眼科では眼病が無ければ私に処方を任せてくださっています。
   ・眼鏡処方は薬品の処方と同様な慎重さが求められる。処方箋は医師自身が安易な気持ちで出さないでもらいたい。
    未熟な看護婦さんの処方に医師がハンコを押すだけだと何も知らない患者さんはかわいそうです。
   ・処方箋と言っても、ただ度数のみが書かれているだけで、瞳孔距離も60mmとかくらいで、まったく疑問。
    患者さん自身がこのメガネでの視力を知らないし、遠近両用と言っても患者さん自身が何に使いたいのかを
    わかっていない有様で、こちらで改めて相談説明する。子供の場合にも、授業中にだけに使うのか
    日常用なのかという説明を受けていない。
   ・すべて個別に勝手に判断しなさい!
   ・自店では元々眼科の処方箋が少ないせいもあるのかもしれませんが、プリズム処方のある眼科処方箋を
    まったく見かけないのも不思議なことです。
   ・設問にある文章で「普通の眼鏡」というが「普通」の定義が難しい。また、眼科医会と合意を図れるような
    信頼関係は難しいと思います。ただ、当社の店の中で眼科併設の店は、それに近い形で「院内処方箋」を
    発行してもらっています。
           ───────────────────
    以上のご意見の中に、設問にある「普通の眼鏡」というものの定義が難しいというご指摘があった。
    それについては、私は、患者から苦情がきて再検査再処方となった場合に、次に示すような何らかの理由により、
    眼科の処方における結果責任をまったく感じなくてよい眼鏡処方や、患者からもし文句が来ても再検査や再処方の
    必要がない眼鏡処方は、普通の眼鏡ではないと思う。
    たとえば次のごとし。
    * 医学的その他の見地により、本人は不満でもそれしかしかたがない、というような処方。
    * 何らかの理由で度数が不安定で、再処方の可能性が非常に高いと事前から分っているもの。
    * 何らかの理由により、医療機関でないと的確な処方が無理なもの。    …… etc。
    あるいは、平成元年の厚生省通達による「医療費控除となる、治療のために必要な眼鏡」以外のものを
    「普通の眼鏡」と考えるのもいいだろう。
    その具体的な病名などに関しては、野矢正氏が『眼科処方箋百年の呪縛を解く』(日本眼鏡教育研究所)
    において解説しておられるので、そちらをご参照願えれば幸いである。

    調節まひ剤を使用してこそ可能となる眼鏡処方などはもちろん、この中に含まれるのだが、上のような処方では、
    その処方の性格からして、できたメガネに対して処方した眼科へ苦情として言って来ることもめったになかろうが、
    それでも説明が不十分だと苦情が来るかもしれない。
    そんなとき、上記のような処方では、内心「しまった」と思いながら再度検査や処方をするなんてことはないわけで、
    もし違う度数に変えたとしても、処方者がその「変えた」と言うことに関して「レンズ代を当方で弁償すべきだろうか」
    なんて、まったく気にする必要はないはずである。
    そういう処方は眼科で行ない、それ以外の普通のものは眼鏡店(眼鏡技術者)に任せるのがよいと、
    私は以前から主張しているのである。

   4.眼科処方箋に関する、その他のご意見。

    この欄にはかなり多くのかたが書き込みをしてくださった。以下にすべてを紹介する。

    患者はカゲで泣いている

    ・お客さんが眼科でクレームを言いにくい現状があると思う。
     多少見えにくくても医者のすることだからとあきらめるかもしれないし。
     その点、眼鏡店では文句を言いやすいのではないでしょうか。
    ・自店ではプリズム処方は、処方箋のみという方針になっているため、プリズムを入れた方がより快適な
     メガネができそうなかたに、眼科で眼鏡処方箋をもらってきてくださるようにお願いしたことがあります。
     しかし、それで来た処方箋にはプリズムはありませんでした。プリズムに対する考え方の違いもあるの
     かもしれませんが、小規模開業眼科などでは上手に眼位を矯正できるかたが少ないのかもしれません。
    ・当店は組合単位で眼科医会からの指定を受けており、処方箋を持って来られるかたがけっこう多いです。
     ただし、組合単位の指定はあるものの、実際には処方箋の中に特定の眼鏡店のご優待カードなどが
     入っていることが多く、組合単位での指定を受けていることのメリットはあまり感じられません。
     私は、基本的に、普通の眼鏡であれば眼科さんの処方は不要(?)で、眼鏡店での処方で問題はないと思います。
     しかし、実際には眼科さんの処方を望むお客さんもいらっしゃいますので、すべてを眼鏡店で処方するのも無理でしょう。
     眼科か眼鏡店か、どちらを選択するかはお客様の自由ですので、やはり眼科処方による調製は
     今後もなくならないと思います。でも、眼科の処方があっても、お客様の希望に添えるように度数変更や
     その他の点について眼科さんと話会える等、気軽に意見交換をできるようになれば、それだけでも今よりも
     トラブルが減るのではないでしょうか。
    ・処方箋には完全矯正値のみを記入するものとし、調製度数は眼鏡店で決める、この方式がよいと思います。
    ・処方箋を持参しても自店で測定を希望する人は、処方の度に不安があるからでしょう。お客さんの目に病気などが
     無ければ、処方箋を見なかったことにしてこちらで測定処方をするとか、ときによっては処方箋を破いてしまう
     こともあります。
     何より良くないのは眼科内でメガネを作らせてしまうこと。これは患者の弱みにつけ込んだやりかたとも言え、
     あとのアフターケアーもおぼつきません。 自店の近くの眼科に1週間に1度販売に来る眼鏡店の店員は
     道具などもほとんど持たずに来ているので修理もできず、困るのは患者さんです。
     そういう、自分の利益しか考えない眼科は、カゲで泣いている患者さんのことは知っているのでしょうか。
     当店ではそういう人にも丁寧に修理をして上げます。
    ・2〜3の眼科で視力測定の実態を観察してみましたが、治療にかかる時間がほとんどで、患者をさばくのが
     せいいっぱいの状況で、検眼については、設備、環境が不備であり、測定値についてもあまりにも責任感が
     希薄であるようです。医師という名の既得権のもとで眼鏡装用者が被害に遭っているという一面があるので
     はないでしょうか。
    ・眼科は、普通の眼鏡は眼鏡処方をせずに、検査結果を診療情報提供書という形で眼鏡店に示し、眼鏡店は
     眼鏡調製報告書を返信する形がベターだと思います。
    ・普通のメガネを眼科処方で作りたくないです。単焦点のメガネはまだよいとして、累進を作るときはヒヤヒヤもんです。
    ・顧客がどうしたらよいか迷わないようにしたい。最近の新しい眼科は「眼鏡部」を充実させようといろいろやって
     くれるので(院内に堂々と白衣のメガネ屋を入れる)やりにくい。
    ・顧客の身になってお作りして顧客の満足が得られる仕事をすれば、眼科のDrの眼を気にすることはないと思います。
     (会誌はいつも楽しく読ませていただいております)
    ・小児の処方を除いて、眼科の処方箋ご持参のかたの度数は自店で再検査し、眼科処方の度数と自店処方の
     度数を見比べてもらって調製度数を決定しています。
    ・原則としては眼科の処方箋の通りに作らないといけないが、顧客が「メガネ屋さんで測定してくれ」と言われたら、
     別にメガネ屋で測定してもかまわないと思う。(処方箋も持っておられなければ)
    ・処方箋の中での「装用目的」が「遠用・近用・常用・両用」という区分になっているが、もっと具体的に書いて
     もらうほうがいと思う。
     建て前として眼鏡処方箋は他の薬の処方箋と同じに考えるならば処方箋の改竄は好ましくない。

           眼鏡店の指定は不要

    ・単に視力補正のためなのか、治療的な処方なのかを処方箋に明記してほしい。
    ・眼科が、処方箋のとおりに作りなさいと考えているのであれば、眼鏡店の指定は必要ないと思う。
     店を選ぶのはお客さんの自由だし、処方箋通りに作ってなければ再作の指示もできるから。
     おかしな店は自然に淘汰されていくのではないでしょうか。
    ・これからは近用メガネは累進系が大勢なのに、新たにできた眼科(自店は挨拶には行きましたが
     指定は受けておりません)は単焦点レンズの信奉者のようです。また、眼鏡店でプリズム処方をするのは
     とんでもないことで、眼科でもめったに処方をしないくらい難しいものだという考えをお持ちです。
    ・眼科処方箋の度数に疑問を持つことは少なくない。しかし、眼科との協調は顧客のためにも経営的にも
     どうしても必要だ。眼病の疑いがあったときには眼科診療をおすすめする。
     処方どおりにメガネを作って具合が良くなく、顧客の希望により、眼科に内緒でもう一本自店測定で
     作ることもある。それが実状で解決方法はよくわからない。
     処方箋持参のお客さんがいらしてメガネを買っていただくのは、売上げが上がってうれしいという気持ちと、
     うまくいくかどうか不安な気持ちが半々である。
    ・自店には何軒かの眼科の処方箋が来ますが、いまひとつ信頼のできる処方箋が少なく、ある眼科の場合は
     ほとんどのものにおいて矯正視力が0.8くらいまでの処方をしており、学生の場合だと半年以内でレンズの
     交換をする場合が多いので、一応点検して度数を変えることがあります。

          当方で必ずチェックします

    ・処方箋ご持参の場合には、この処方で問題がないかどうかをまず疑い、必ずチェクさせてもらいます。
     少なくと、矯正視力だけは見てみます。そして、この処方で作ったら何が問題になるかということも話しておきます。
     それでいったん処方通りに作っても、うまく見えないために結局作り直すことも多く、眼科の処方箋に
     期待するのは無理があります。
    ・新米の看護婦さんやパートの人が測ることも多い、眼科の眼鏡処方箋。たぶん我々の方が上手だと思います。
     でもそれを大きな声で言ったらカドが立つのではないでしょうか。先生の責任で処方箋を出しているのですから、
     あくまで信用しませんか。
    ・大正生まれや昭和初期生まれの先生がたには意外と処方ミスや問題が多く発生するケースがありました。
     現在は世代交代などもあり、今のところ私どもの地区においては、あまり大きな問題は発生しておりません。
     つまり、しっかりした処方箋を書いてくれる眼科医が増えたように思います。
    ・眼科の眼鏡処方箋の有効期限は、発行してから1か月、3か月など眼科によってマチマチで、いまひとつ
     統一されていないようです。全国ではどうなのでしょうか。
    ・自店の近隣地域に「指定眼鏡店へ行かないと処方箋を発行しない」という眼科ができて、私はあきれかえりました。
    ・処方箋の度数は作る前にいつも装用テストで再確認します。書き間違いもあるかもしれませんので。
     顧客が自店での測定処方を希望されたら眼科さんに連絡を取ります。
    ・眼科の眼鏡処方箋の内容が悪いからトラブルになる。内容の悪さは形式の悪さから来る。
     眼鏡処方箋はかくあるべしという処方箋の型式を日眼研が、眼科界、一般消費者に示して、
     適所に記入漏れのあるような処方はダメであるということを広く喧伝すべし。

           眼鏡処方箋の型式改革なくして消費者を救う道なし。

    ・遠用と近用のPDの差が2ミリしかない。どちらが正しいのか。
     遠用と近用で乱視が異なる。遠と近が別なら作れる。
     左右の加入度に0.50も差がある。この場合、近点が6センチほど差がつく。
     備考欄に「遠近両用でお願いします」と書いてあるのに、遠と近で乱視軸が異なっている。
     総体に加入度が強すぎる。慣用近業距離30センチ一点張りのようだ。

           トラブルは飽きるほど

    ・当店も眼科との付き合いは多く、売上の2〜3割は眼科処方箋によるものです。
     トラブルは飽きるほどあります。お客(患者)は当店と眼科をたらい回しにされます。
     当地では眼鏡店が眼科処方箋ご持参のお客様に違う度数で作ることはご法度になります。
     喧嘩を覚悟ならば別ですが、明らかにヘンな度数でも処方どおりに作らなければなりません。
     岡本さんが提唱されている「処方は眼鏡店で。それがダメでも最低でも処方箋には完全矯正の記入を」と
     働きかけはしているのですが、ズバリ申し出るとまず喧嘩(又は取引停止)になると思います。
     生活の掛かっている眼科処方売上ですので毎日ジレンマです。
    ・処方箋の有効期間を明確に統一したものを設定すべきである。現在それが表示されている処方箋も
     あるようですが、ない場合がほとんどで、各店の判断でやっているのが現状です。1か月とか、
     なるべく短期間の有効期限とすべきだと思います。
     たとえば、かぜを引いて処方箋をもらって3カ月後に薬局へ行くのはナンセンスです。
    ・自店の近隣の眼科は、最近内部にメガネ屋が常駐しており、処方箋は発行していないようです。
    ・どの眼科の処方箋でも、完全矯正が記入されていないので処方度数との比較説明に困ることがある。
     なぜ記入されないのだろうか。
    ・開業医が一方的に眼鏡店を指定されるのには困る。
    ・眼科ではテストレンズの種類が少ないと思う。
     眼鏡の使用目的を細かく問診しているのかどうかわからない。
    ・処方箋の形式がいまだに統一されていない。PDは左右のトータル数でしか書いていない。
     加入度の書き方もバラバラ。医師が検査された処方がごくわずかです。
     疑問点などがあって眼科に電話で尋ねると、ほとんどの場合に「おたくで測定した度数にして
     いただいていいです」と言われます。
    ・眼鏡処方箋には法的な拘束力はないことを、まず消費者に知ってもらう必要がある。
     現状の問題認識があいまいなままでは先には進めない。

     ─────────────────── 

     以上のような様々な意見や不満や疑問点が寄せられた。
     眼科の発行する眼鏡処方箋に関しては、昔からいろいろな問題が指摘されているが、
     この業界の団体の首脳には、それを本気で(いや、ポーズだけでさえも)解決しようとする姿勢が見られない。
     その理由として、次のようなことが挙げられよう。
      ・医師には注文を付けにくい。眼科とは事を構えない(刺激をしない)方がよい。
      ・業界のお偉いさんは現場にはいないから、切実な問題としては実感しない。
      ・お偉いさんは「自店は眼科と仲良くやっているので、何も問題はない」と思っている。
       (それでも知らない眼科の処方箋が来ることもあるから、ホントはそう安心していいものではないのだが)

     なお、私は以前から次のように言っている。
     「国民のためには眼科と眼鏡店は互いに良き協力者となるべきだ。
     そのためにはもめごとはなくすべきだ。眼科が普通の眼鏡の処方をしなくなれば、
     眼科と眼鏡店がもめる要素は何もなくなる。
     それでもし眼科医が「レベルの低い眼鏡店があるから、それでは心配だ。自院へ来た患者さんには
     良い処方のメガネを掛けさせてあげたい」とおっしゃるのなら、普通の眼鏡の場合には、
     完全矯正値(度数と視力)を書いた「眼鏡調製連絡書」を発行すればよい。
     そうすればたとえ低レベルの眼鏡店でも、それを生かしてそこそこの処方ができるはずである。
     これは眼科医さえその気になれば、明日からでも実行できることである」    (岡本隆博)a



 
                 [ML談義]  なぜ眼科は薬とメガネで対応を変えるのか

     眼鏡の再処方のときに眼科は

 岡本 たとえば、眼科で点眼薬を処方して、患者さんがそれを買って、ずっとそれを使っているけれど、
     いっこうに効果があるようは感じられない……それで、では次はこちらにしよう、ということで、
     別の薬に替えた、という場合に、もちろん、効かなかった薬の弁償など眼科はしないし、
     医師も患者も、それで当たり前だと思っています。

     ところが、処方したメガネが不調で患者からクレームをうけて眼科で再検査再処方をした場合、
     検査代を患者さんに負担させることは割合平気でしょうけれど、(患者の中には、金額は少しでも
     それをまた取られるのは不満の人もいるでしょうが)しかし、二回目のレンズ代を患者さんに
     負担させることは、眼科もけっこう気兼ねなようで、それゆえに、初めの処方のときから、
     「保証のある店でメガネを買いなさい」と言ったり、店を指定したり、あるいは、再処方のときに
     そのメガネを作った店に無料のレンズ入れなおしを頼んだりするわけです。

     ではここで、クエスチョンです。

      薬なら相当な金額になっても、効かなかった薬代を患者に負担させることが苦にならないのに、
     メガネなら、なぜ「不調だったレンズ」の代金を患者さんに負担させることに眼科は気兼ねをするのでしょうか。
                                 ●
 浜田 「投薬は治療の一環として有意義だから、薬が効かなかったとしても苦にはならない。
     しかしメガネは治療目的ではないことが圧倒的に多いので、治療目的でもないものを患者さんに
     負担をさせるのは気兼ねをする」のではないでしょうか。

     話は変わりますが、先日、サングラスをお求めのお客さんが、こんな事を言っていました。
     「眼科の看護師さんに、メガネ屋でサングラスを買うと4500円するから、高いのでメガネ屋で買ったらダメ。
     200円か300円のサングラスで上等です」と。

     おもわず苦笑しましたよ。そこまで具体的によー言うわ。ホントに。
     病院以外で使うお金には、気を使っていただいています。

 岡本 サングラスを実用本位のものとみなして、それを一時的に使うだけで、どれでもフィッティングなしで
     気持ちよくかけられる、というのだったらその意見はある程度当たっていますが、それでも、
     2〜300円のものなら、目的に応じたコンサルティングがあるとは考えられないので、
     やはり感心できる意見ではないですね。
     その看護師さん、まぶしさよけと紫外線よけの区別がつかず、サングラスの色は薄い方がいい、
     というマスコミ説を、おそらく信じているのでしょう。

     それから、メガネのレンズ代の弁償の件ですが、眼科では、一応メガネによる矯正も医療(治療)の一環
     という姿勢というか、そういう考え方でしょう。

     単純な屈折異常や老視の矯正でも、医療のうち、という、少なくとも建前を持っているからこそ、
     眼科で処方をするのだと思います。
     ということは、処方したメガネでうまく行かずに再処方した場合でも、薬のときと同様に、
     涼しい顔をしていてもいいはずなのです。

     薬とメガネのレンズでは価格がちがう、メガネには保険は利かない、という違いもありますが、
     薬で保険を使っても、長期にわたって使っていれば相当な金額になります。
     まあ、少しづつだからあまり負担に感じないということは、あるかもしれませんが……。
     でもたとえば、入院して何らかの治療をしても効果がなく、別の治療法にかえたという場合だったら、
     結果としては相当に無駄な出費を患者さんに強いたことになります。それでも、医師は涼しい顔。
     でも、メガネは、その入院治療費のたとえ何十分の1であっても、処方後すぐに再処方となると
     涼しい顔はしにくいわけです。では、それはなぜでしょうか。

 浜田 涼しい顔がしにくいのは、メガネの場合、結果の良し悪しが直ぐにわかるという点もあるのではないでしょうか。


 
     メガネ屋というイヤらしい競合者が

 岡本 この場合、レンズ入れ替え費用を患者負担とするということで涼しい顔をしていられるということはない、
     という意味で私は書いたのです。
     ですから仮に、二度目の処方でもう大丈夫、今度はOKとなることは間違いなし、となって、実際に
     再処方で作ったメガネはOKだった、という場合でも、やはりそのレンズ代金を患者負担とすることには、
     平気ではないでしょう、ほとんどの眼科は。

     薬や治療費ならそれは平気なのに、なぜレンズ代は平気ではないのか、ということなのです。

     では、私の考えを言いましょう。
     もちろん、「レンズは薬代よりも高い」とか、「医療という建前はあっても、商品購入の性格が強いから」
     という理由もあるでしょう。しかし、その他に次のようなこともあるのではないかと思うのです。
     薬の処方や入院治療などは医療機関だけがなしえることであり、他では無理です。
     そして医療機関では、医師の能力は国家資格で一応保証されており、ある医療機関で処方された薬や
     そこで受けた治療に対する疑問も、患者がまったく感じなくはないのでしょうが、同じことをやってくれて、
     結果がダメなら、ただでやり直しの薬の処方販売や入院治療をしてくれる、なんてところはあり得ません。

     たとえば、薬の、ある意味での競争相手である健康食品にしたところで、それを飲んできかないからと言って、
     ただで別の健康食品をくれる、なんてことはないわけです。
     ところが、メガネの場合は、検査も処方も無料でやってくれて、使ってみてダメだったら、たいていは
     もう一度検査して(その料金はもちろん無料)ほとんどの場合、1度らいであれば、別の処方のレンズを
     無料で入れ替えてくれるという、眼科にとっては、ある意味で、まことにイヤラシイ競争相手があるわけです。

     だから、眼科は文句が来て再処方した場合のレンズ代の負担を患者にもたせることに気兼ねをするのだ、
     という点があるのではないかと私は想うのです。

 
 
 
 

     [ML談義] 眼科処方で近用度数のみが書いてあった場合に、
             眼科に無断で累進で作ってもかまわないのだろうか?
   NEW

                   真のSSS眼鏡士とは?

岡本
皆様に、次のような想定でアンケートをします。

眼科の眼鏡処方箋を持ってこられた初回客にメガネを作って販売しました。
「この通りに作ってください」とおっしゃったので、特に自店での検査は勧めません
でした。装用テストは勧めましたが「そういうのは眼科でやってきたのでいらない」
とのことでした。

単焦点のプラスの近用でしたが、販売後2〜3日して、度が強すぎる感じがしてしん
どい、と言ってこられました。
念のために調べましたが、処方箋どおりにPDは入っており、フィッティングにも問題はなさそうです。
そのお客さんは、「初めての老眼鏡だったので、念のために眼科へ行っただけで、
その眼科へ今後通うということはない」とのことです。

 問1.ここであなたはどうしますか。

(1)自店で検査をする。
(2)自店で検査はしないで、眼科へ行ってくださいと言い、
    自店での検査を強く要望されても自店では検査はしない。
(3)その他

 問2.(1)を選んだかたにお尋ねします。

   検査の結果、違う度数にすると良くなる、PDももう少し狭くした方がよい、となったら、どうしますか。

(4)その結果を書いたものを持たせて眼科へお客さんを送る。
      自店ですぐにレンズの入れ替えをすることはない。
(5)有料でよいなら、レンズ入れ替えをする。
(6)無料でレンズ入れ替えをする。

 問3.(2)か(4)を選んだかたにお尋ねします。

 その眼科へお客さんが行かれて、その結果眼科から「無料でレンズを入れ直してくれませんか」
 と電話がかかってきたら、どうしますか。

(7)承諾する。
(8)拒否する。

 問4.(5)か(6)を選んだ人にお尋ねします。

レンズを換えたことを自店から眼科に連絡しますか。

(9)連絡する。
(10)連絡しない。

これについて
次のA眼科とB眼科にわけてお答ください。

A眼科
距離的にやや離れていて、たまにしかその眼科の処方箋を持って来られない眼科で、
院長についてもあまりよく知らない。

B眼科
自店ではない店を指定店を持っているが、近隣なので、ときどきその眼科の処方箋を
持ったお客さんがくる。
院長については詳しくは知らないが、評判的には、普通の感じ。
たとえば、「A眼科なら(2)(7)で、B眼科なら(1)(5)(10)」、とい
うふうにお答いただければ幸いです。
なにかコメントがあれば、それも書いてください。

永光
A眼科でもB眼科でも、(1)(5)(10)です。

堀田
私も、(1)(5)(10)ですが、お客さんの出方次第で、一部負担か無料でレン
ズ入れ替えをするかを判断します。
全額お客さんに負担させることはないですね。
今回のお客さんとしては、その眼科へ今後通うということはないので連絡はしません。
例えば B眼科の場合では、お客さんが今後通院するというのであれば、処方箋で分
かりにくいところが有れば電話で連絡することもあります。とにかく、そのお客さん
が納得するように努力しています。

浜田
私は(1)で、基本的には再度、眼科に行っていただくか、自店で検査するかをお客
さんに選んでいただきます。
度数に関するクレームを、直接自店に訴えられておりますので、ほとんどの方が自店
での再検を希望されます。
その場合は、自店処方で眼科処方とは関係なしに、新たに作製します。
眼科処方のレンズはお客さんに返しますので、なんかの時に使っていただきます。

岡本
その「新たに作製」の場合、レンズの価格は最初のままですか。
それとも初めよりもいくぶん安くしてあげますか。
それと、A眼科でもB眼科でも、「具合が悪かったので作りなおした」旨の通知はなさいませんか。

浜田
この場合なら、定価の半額程度をいただきます。
眼科に通知はしません。
眼科の今後のタメには、知らせてあげた方がいいとは思うのですが、近隣の眼科が素
直に処方度の反省をして、自店に感謝してくれるとは思えません。
眼科に従属ではない自店には、眼科にお客さんを紹介してもお礼の言葉ひとつありません。

富山
問1では、A眼科であれB眼科であれ基本的には再診を勧めます。
お客さんが強く要望されたらしょうがないので検査をします。
問2では.違う度数でPDも狭く割引価格で新しく入れ直す事を提案します。
状況次第では無料にするかもしれません。
問3は、今までそのような経験がないので、想像で答えます。
相手の言い方にもよりますが、A眼科であれB眼科であれ、
1,命令調で言われたら頭にきますので、たぶん「どうして、私共が損しなければなら
ないのですか?」と聞き返すと思います。その後の相手の出方により拒否するか承諾
するか決める事になると思います。
2,すまなそうに言われたらたぶん承諾するでしょう。
問4は、「連絡しない」です。

岡本
まず眼科での再検査、ですか。
このかたは、既に述べていますように、単なる老眼だと眼科で言われたかたですが、
その事情で、このかたを再び眼科に生かせるのはどういう目的でしょうか。そして、
眼科へ行かれたら、それからどうなる事が予想されますでしょうか。

富山
この方には気の毒なのですが、私は、医師には処方箋なるものの不完全さを再認識、
患者には認識してもらう事に意義があるように思うからです。
その根底には、今回のように眼科でしか出来ない処方以外は、眼鏡店に任せて欲しい
と思う気持ちがありますので、眼科へ行かれた場合にどうなるかということですが、
「そのうち慣れるから」と言われるか、再度違う度数で処方されるかどちらかでしょ
うか。どちらにしてもお互い気持ちよいものではないでしょうがしかたありません。
お客さんには、病気は眼科、メガネの度合わせはメガネ店と使い分けていただければ
と常日頃から考えています。

岡本
なるほど……。目的はわかりましたが、ただ、眼科へ送ると富山さんもおっしゃった
ように次のようなことになる可能性があります。
1.再度検査をして「そのうちに慣れるから辛抱しなさい」と言われておしまい。
こうなった場合には、患者さんは、あきらめるか、店に来て店での検査を依頼するか
のどちらかでしょう。
 あきらめたら、かわいそうです。それで、どこかで既製老眼の弱度のもので見てみ
ると、そちらの方がましということで、そちらを使うとかいうことになったら気の毒ですね。
2.再処方があって、「レンズの代金についてはメガネ屋さんと相談してください」
と言われる。
 再処方があった場合に、こう言われるケースの他も当然あり得るわけです。
「なんでウチが指定した店へ行かなかったんだ!あそこならレンズは無料で入れ直
してくれるのに」と叱られる、とか、自店へ「タダで入れ直しをしてくれませんか」
と電話で言ってこられるとか、患者さんに「こういう場合、たいていは店でレンズ代
金を補償してくれるよ。店の人には眼科でそう言ってたと言いなさい」と言うとか、
中には「では眼科でそのレンズの代金を出すので、領収書をあとで持ってきてくださ
い」とか、(それを聞いたメガネ店が気を聞かしてタダにしてくれることを期待しての言かも)
あるいは、「指定の眼鏡店へこれから行きなさい。そうすれば、レンズは無料で入替
えてくれるから」、ということになったり、まあ、いろいろ有りそうです。
商売的に考えれば、眼科へ行ったそのお客さんがそれきり自店には足を向けなくなっ
てしまうことは避けたいのですが、眼科へ行ってもらうという措置にすると、そのおそれはありそうです。
それも覚悟の上とおっしゃるのなら、富山さんは、眼鏡商人というよりも眼鏡技術
者、眼鏡士、という名がふさわしいかただと思います。
それから、眼科へ行ってくださいと言って、「わかりました」と言ってお客さんが店
から出られたら、それっきり、眼科へも行かないし店へも戻ってこられないという可能性もあります。

どっちにしても、眼科へ行ってもらう場合には、眼科での検査結果による自店の対応
を予め言っておくべきでしょうね。「慣れなさい」と言われたら自店で測ってレンズ
を入れ直しします、とか、再処方があれば、どういう条件でレンズの入れかえをさせてもらいますとか。

富山
なるほど。こういう場合、安易に「眼科へ」と言うと、患者さんにとって色々面倒な
ことが起きる事や、思いがけない行動に出る可能性のある事もよく解りました。

岡本
このアンケートは昔に自店で実際にあったことをモデルにしてみなさんにお尋ねして
みたのですが、眼科の近用処方は、本人の近業距離を斟酌せずに視距離30cmでな
されていることがままあって、老視の初期の人の場合には、それでも加入は2Dまで
いかないから30cmで一番よさそうな度でも40cmでも見えるので少しくらいの
装用テストでは結果が出ないことがあるわけです。
眼科処方の近用度数の場合、本人の近業距離できっちり装用テストをやったかどう
か、とか、加入度が年齢のわりに強くないかとか確認するのがよいと思います。
ただ、処方箋に遠見の全矯正度数が書いていないので実質加入度がいくらなのかとい
うことは処方箋だけではわかりません。何かと不足が多いものです、眼科の眼鏡処方箋には。
また、自店処方の場合でも、単焦点の近用眼鏡では、使用開始後クレームがつく場合には、
「強すぎる感じがする」という訴えの方が、その逆の場合よりも多いです。

その場合、中近や近近を使えば、そういうクレームは少なくなるわけです。
その理由は、目的視距離に対する度数がやや強かったということで単焦点で不満が出
ても、中近や近近を使うと、中距離を見たときのぼけが少なくなるからでしょう。


ではここで、追加アンケートをします。
眼科処方で、単に近用度数が書いてあったとして、それを元にして中近か近近を調製
販売したら、それは眼科処方に従わなかったことになると思いますか。
そういうものを販売する場合に、処方箋発行眼科の許可を得るべきだと思いますか。
その場合は、お客さんさえ納得(要望)されたら、眼科の承諾を得ることは不要だと思いますか。

(先日のメガネの○○の店長さんからの相談で、眼科に無断でそれをして眼科からし
 かられたという話がありました)

永光
累進で、と書いていないのに中近か近近を使ったら、そりゃ厳密には「従わなかった」となるんでしょう。
ただ中近は遠用度数が必要ですから、当然従わなかったことになりますが、
近近は意見が分かれるかと思います。

眼科の許可がいるかどうかというのは、お客さんが要望されたら不用と思います。
それからいろんなレンズができて呼び分けが多様になっています。

私は、遠中近汎用型累進とBFは「遠近」、累進帯長が長いものか加入度数を弱めたものを
「遠中」、セイコーキャスターのように遠方明視部が僅かにある室内専用は「中近」、
セイコーファンクリックなどパソコン用のものは「近中」、トーカイのウノのようなものは「近近」と呼んでいます。
みなさんはどう呼び分けなさっているのでしょうか。
それから、つい先日この話題にドンピシャリの書き込みが、ネットのORTの掲示板にありました。
ご参考までに紹介します。

(http://menbers.tripod.co.jp/ort)

*********引用開始************

 近用ワイドレンズの処方箋 
投稿者:メロン 投稿日:2003/11/20 01:43 1327
教えてください。
近用ワイドレンズを処方したい場合、近・近レンズのように、
(中)近距離と近距離の処方箋記入が必要ですか?
それとも近用のみで良いんでしょうか?


 Re:近用ワイドレンズの処方箋   
投稿者:のらくろ 76851 投稿日:2003/11/20 13:43 1328
いろんなレンズ が発売されていますが
注文に必要なデータは遠用度数と近用度数と思います。
近用ワイドを処方箋で指定してしまうと、ほかの近用に適したレンズ を薦めること
ができなくなります。
細かく指定するより備考欄に『近業に向いているタイプ』とでもコメントする程度の
ほうが、レンズ の知識豊富な店員さんが患者さんからよく話を聞いて適切なレンズ
を選んでくれると思います。
もし、処方箋でどうしても指定しなくてはならないのなら、眼鏡店の店員と同等の商
品知識を得るようにしたほうが患者さんのためと思います。

*********引用終了************

岡本
のらくろ掲示板の書き込みの紹介をありがとうございました。
のらくろさんも、レンズのことをあまり詳しくご存じないようですね。近近レンズと
メロンさんは言っているのに「遠用度数と近用度数」だなんて……。
「眼鏡店の店員と同等の商品知識」なんて言ってますが、そんなの無理です。
我々が眼科の検査員と同等の眼疾患の知識を持てないのと同じことです。
同等まで、なんてことに努力する時間があったら、本職にもっと勉強時間を費やすべきでしょう、お互いに。

眼科で、眼鏡処方箋に近用度数だけ書いた場合には、累進(中近や近近)でもいいの
かどうか、その旨を備考欄に書いておくべきでしょうネ。
そうでないと、累進にしてよいのかどうか、メガネ屋で判断は難しいですから。
もちろん、一番よいのは、眼科では、メガネ屋でもできる処方はせずにメガネ屋にまかせることですが、
それはできないと言うのなら、累進可、なのかどうかをその都度処方箋に書くか、あ
るいは眼科の総意をまとめていただくか、どちらかでないと困ります。
それと、たとえば、眼科の処方箋では遠用と近用を別々に書いてあるものがほとんど
ですが、それでもって遠近累進を作ってよいとすべての眼科が認めているわけでもな
さそうで、遠用と近用を別々に作らなかったと言ってしかられたという話もあります。

眼科の方としても、そういうことを処方箋の備考欄にいちいち書くのも面倒でしょう
し、眼鏡店の方も、いちいち眼科に問い合わせるのは面倒です。
今後ますますこのことが問題化してくるのではないかと思います。
この件については、眼科の統一的な見解がほしいところですね。
                       ○
それから、永光さんは「中近なら処方箋に従っていない」とのことですが、そうでも
ないと思います。
なぜなら中近と言っても、遠用度数の設定一つで近近のようにもなり、場合によって
は構造も目的も同じことになります。注文方法は違いますが。
言い忘れましたが、私は、「中近」と「近近」とを、前者は遠用度数と加入度で注文
するレンズ、後者は、近用度数のみで(場合によってはマイナス加入の度数も選ん
で)注文するレンズという意味で書いたのです。
この両者はレンズの構造的な違いでは、きっちりとは線引きはできないと思います。
それから、永光さんがおしゃった分類は、用途別の分類になるのでしょうか。あるい
は構造的な分類なのでしょうか。どちらでもなければ、何を基準にした分類なのでしょうか。

私は、累進レンズの分かりやすい分けかたとしては、下記の3つでどうかなと思います。
これは構造と注文方法をミックスした分類だと言えます。用途別の分類では、まったくありません。
遠近を中近に使うこともできますから。

遠近累進  明視横幅は、近用部が遠用部にくらべて短く遠用度数と加入度で注文する。
中近累進  明視横幅は、遠用部と近用部であまり変わらず
        遠用度数と(プラスの)加入度で注文する。
近近累進  近用度数単独で、あるいは所定の(マイナス)加入度の中から選んで注文する

この基準だと、どの累進レンズでも、分類者の主観や分類の目的などによる違いは起
こらず、誰でもこのどれかに迷うことなく分けられます。ただ、今後もっと種類が増
えてくると、これでも間に合わなくなるかもしれません。
ただし、もちろんですが、累進の分類方法は現在これが最上というわけではなく、
ナンのための分類か、誰のための分類かということで分類方法(種類わけ)は違ってきて当然だと思います。


永光
私が述べたのは、お客さんに説明するときの用途別の分類です。

岡本
お客さんに5種類の分類を説明なさるのですか!?もっとも、それをみな説明して覚
えてもらうわけでなく、このレンズは中近用です、とか言うわけですね。なるほどなるほど……。

浜田
追加アンケートへの回答です。その場合は「従わなかった」ことになると思います。
が、眼科からクレームがあったら「近用度数は処方通り作製しております」と従ったことにします。
それから、眼科の許可を得た方がいいとは思いますが、簡単に許可が得られるとは思
えませんので許可なしでやります。ただし、お客さんの要望があれば眼科に問い合わせをします。
眼科の承諾は不要だと思います。眼科処方箋を換えるのもお客さん次第です。


岡本
このケースでも、その人が眼科へメガネを検査に持っていくとおっしゃる場合と、も
うあの眼科へは当分行かないとおっしゃる場合でかなり事情がかわってくると思うのです。
眼科へ検査に持っていかないのであれば、割合気軽に当方とお客さんとの相談で自由
にできるのですが、眼科へ持っていくとおっしゃれば、気が重くなります。

こういう場合、眼科に何も言わずに累進で作ると、眼科で中近や近近メガネを検査した場合、
お客さんからの説明がなければ、それが累進だと気が付かずに「度数が違う」と見な
されてしまうおそれが多分にあります。

それで、眼科から当方に何か言ってこられればよいのですが、普通は言ってはこられ
ずに、患者さんに文句を言うケースが多いようです。
何にしても、メガネのことをよく知らない眼科が、メガネの処方をされるわけですから、
眼鏡ユーザーにとって困ることが出てくるのは避けられないわけです。

近業用メガネ、といえば、単焦点の近用を意味した時代は、もはや過去になっています。
累進の近用眼鏡は、ほとんどのレンズメーカーから実に多くの種類のものが出ています。
その種のレンズがすべての点において単焦点を凌駕しているとは言えないまでも、用
途に合わせてうまく使えば明視域をぐっと広くできて、単焦点の近用よりもたいへん
便利で快適なものとなります。

そういうものを従来どおりの形式の眼科処方箋で的確に処方するのは無理というものです。
こういうケースの場合、眼科の処方者が、その処方度数を基礎データとして作った応
用作品をレンズメーターで調べて検査評価する能力を持たないわけで、それならいっそ、
基礎データ(近用の度数)から眼鏡店にゆだねるのが賢明というものです。

しかし、永年の習慣上、そうもいかないということであれば、時代に合わせて、せめて、
眼科の眼鏡処方箋には、すべて下記のような選択肢を印刷しておいてどちらかに
○をつけることを必須としてほしいですね。

(   ) 累進レンズ可
(   ) 累進レンズ不可

眼科での処方者がこれを選択記入することが習慣になれば、遠用と近用の両方を処方
したときにはもちろんのこと、近用度数だけ処方して、それにより調製されたメガネ
を調べるときにも、累進で作ってあるかもしれないということを忘れないで検査で
き、「これは処方度数とかなり違う」という誤解をするおそれがぐんと減ると思うのです。

倉敷
遅ればせながらアンケートにお答します。
積極的に当店を推薦して頂けない眼科は、お客さんの希望を優先します。
反対に、当店を積極的に推薦していただいている眼科ですと、お話だけ聞いて、眼科に戻します。
ですから、答えとしては(1)(5)(10)になります。
本来は、お渡し2〜3日でのクレームですと、もう少しの期間の装用を勧めて
(例えば1〜2週間)います。それで使いにくかったら………の場合で、答えています。
追加アンケートについては、累進を使うのはかまわないし、それに関して眼科の許可
を得る必要はないと思います。

富山
追加アンケートに対する答ですが、単焦点の度数が書いてあった場合に近近などを使
うのは一種のアレンジ(レンズの下方には処方度数が入っていて上に行くに従い徐々
に度が抜けてるレンズと考えれば)ですから単純に「従わなかった」とはならないと思います。

眼科に許可を得るかどうかということでは、お客さんが単焦点処方を近用累進に変更
してあとあと眼科医と問題が生じないか心配されてて、眼科に電話してくれと希望さ
れたら私は眼科に電話するでしょう。 

眼鏡処方に至るまでの経緯をお客さんに伺い、単に視生活改善のための眼鏡であれば
眼科も眼鏡店もお客さんの視生活向上という同じ目的なのだから、眼鏡店が更に細か
い目の使い方をお伺いしテスト装用し、選ばれたレンズを処方眼科に承諾なしに作っ
たとしてもさほど問題にならないと思うので、お客さんが特に眼科のことで気にして
おられなければ眼科の承諾は不要だと思います。

岡本
では、富山さんも含めてみなさんに、今回の第三のアンケートをいたします。

 問1.近用度数だけの処方箋を見たら、お客さんの方から近近などのことを言い出
     されない限り、話をややこしくしないために、単焦点で調製されるのでしょうか。
     あるいは、相手から言われなくても、明視域の確認かたがた単焦点と累進の両方を見
     せてみて、後者のメリットを説明する、というようなことはなさいませんか。
     (私は少し前に実際にそれをして近用累進を販売したことがあります)
 問2.また、眼科の処方箋とは関係なく、自店に近見専用を求めて来られて測定方も自店で、
     という場合ならどうでしょうか。

富山
つい先日、当店で60代の男性に前より+1.25くらい強くして+4.00D位で作製した老
眼鏡に対して、近くは鮮明に見えて大変良いが、今までの老眼鏡で見えていた少し離
れた所が見にくいので困ってるという相談が来ました。(眼科の処方箋は関係ありま
せん)そのメガネの測定処方のときに老眼鏡希望をそのまま受けてしまい、結果とし
ては失敗したわけです。

早速再検査をしまして、近用累進におとり替えすることにしました。単焦点の方は返
品を受けるということで差額のみいただきます。(それはまだ出来てなくお客さんには渡していません)

私の場合、処方箋がらみであってもなくても、たいていは2回目3回目の老眼鏡希望
者(処方箋持参者も含め)には明視域の確認から単焦点と近用累進の両方を見せてみ
ているのですが、今回の場合はそんな話には乗って来ないだろうと勝手に推測してし
まいました。なぜなら15年以上前と思われるフレ−ムにレンズ交換を希望されたので、
説明して高いのに誘導してると思われて拒否反応を示すだろうと思ったからです。

浜田
第三のアンケートの答としては、いままで、近用度数だけの処方箋で近近累進レンズ
を何組かは販売していますけど、たいていはお客さんの方から明視域のことや、強い
感じがするとの訴えがあり、累進をお勧めしました。
特に、ナニも訴えがない場合は「こちらの処方箋は近見専用のお近くしか見えない度
数になります。ちょっと離れたところは、この度数ではあまりハッキリ見えないと思
いますが、この処方度でよろしいでしょうか」とお聞きします。
それで、「この度数でいい」ということならば、処方度で作製します。
「あ、たしかにこの度数ではちょっと離れたらボヤケる」とおっしゃれば累進レンズ
や、自店での再検をおすすめしていきます。
また、眼科処方箋と関係がない場合には、必ず近見専用と累進の説明をキッチリしています。

永光
第三のアンケートにお答します。
だいぶん前より単焦点老眼鏡は特殊なメガネと考えています。
眼科では明視距離の個人差も用途もよく斟酌しないで処方箋を発行していることが多
いのが実情ではないでしょうか。
お客さんは基本的にレンズの知識はありません。
事細かく、何を、どんな時に、どんな姿勢で、どのくらいの時間見るのか、何に一番
困って、どうして欲しいのか尋ね、こちらの判断で最適のレンズを選択すべきと思います。

その結果単焦点になることもありますがその割合は少なく、ほとんどが、累進あるいは累減レンズになります。
お客さんが言い出さない限り何の説明もなしに、ハイハイと単焦点を売っているよう
では不親切というもので、そこらの安売り店の店員と同じレヴェルと思います。
以上は眼科処方による場合でも、そうでない場合でも同じです。

岡本
永光さんのお考えはよくわかります。私も同感です。

                          ○

みなさんにいろんなご意見をいただきまして、ありがとうございました。
おかげさまで実のある談話になったと思います。

おわりに一つだけ申し上げますと、処方箋の度数を変えて作った場合に、初めから
処方箋の度は参考として自店処方で作った場合であっても、一旦処方どうりに作って
あとで不満を聞いて別の度で作った場合でも、どちらにしても、その処方眼科に連絡
するかしないかということについて、私は次のように思います。(ただし、そのお客
さんがもうその眼科へは行かないからお客さんには迷惑は掛からないという前提での話です)

1.その処方眼科が、自店の近くにあっても遠隔地にあっても、連絡はしない。
   これは、眼鏡士というよりも眼鏡商人としての処置だと思います。こういう連絡を
   してもナンの得にもならないし、近くの眼科の場合であれば、その眼科から悪く思わ
   れることによって自店の商売に差支えが出そうですから。
2.処方眼科が遠くても近くても、どちらであっても、連絡(報告)はしておく。
   これは、眼鏡商人というよりも、まったくの文字どおりの眼鏡「士」のやりかただ
   と言えるでしょう。「誠」の文字を掲げて士道を貫こうとして新撰組を思い起こします。
   商売的にどうであろうが、正しいことは断じて行なうというわけです。
   社会的な意義としては、これを励行することにより、それらの眼科の処方能力のアップを意図
   するということがあります。たとえその眼科が反省などせず前のままであっても、
   とにかく、こそこそせずに堂々と眼鏡士としての見識を示すわけです。

   これをするには、技術的な自信はもとより、眼鏡士とは何かということに関する志と覚悟が要ります。
   これができる人が本当のSSS眼鏡士だと私は言いたいです。
   真のSSS眼鏡士は我国に何人いるのでしょうか。

そして、ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会のHpの紹介もしておきたいものです。

3.遠方の処方眼科には連絡する。
  これは、眼鏡商人と眼鏡士の妥協的な方法だと言えます。連絡を受けた眼科は、自
  身の処方の力量の不足を知り、以後より注意して処方するようになるかもしれません。あくまでも「かも」ですが……。

こういうことも含めて眼科の眼鏡処方箋には、困惑させられる点が多々あるわけですが、
今後これに関してどうしていけばよいと皆さんは思われますでしょうか。

(  )(1)社団法人日本眼鏡技術者協会が眼科の代表と話し合いをすべきだ。
(  )(2)個々の店と眼科の話し合いで解決すればよい。
(  )(3)いまのままでよい。
(  )(4)その他(                 )  

 
 
 
 
 

[ML談義]     左まぶたに痙攣が起きて    光岡和之・岡本隆博

 岡本 光岡さん、先般光岡さんのお店にほど近いところに眼科ができて、光岡さん
が、普通なら「先生、眼鏡処方箋をよろしくお願いします」ということで訪問される
ところを、そうはされずに「ユーザー本位の眼鏡処方」の趣旨を説明に行かれたとこ
ろ、医師は「考えておく」ということだったそうですが、その後どうなっているので
しょうか。その眼科がどこか指定店を作ったというようなことはお聞きになりました
ですか。


 
光岡 今年の3月頃、左まぶたの痙攣がおさまらなくて、様子見をかねて診察して
もらいに行きました。
 検査機器はすべてニデックで、看護師か、ORTか,OMAが視力検査、眼圧検査
など型通りのことをやってから、先生がスリットランプ、倒像鏡検査をやり、「なに
も問題ない」とのご宣託でした。
 納得いかないので、原因はわかりませんか?と尋ねると瞼を反転して観察しました
が、やはり分からないようです。目薬を二種類出しておくのでそれで様子見をしま
しょう、ということでごまかされました。
 ただし、そのうちの一種類は私が指定したものですが。
ほどなくして痙攣はおさまり再発はありません。
 あとでいろいろ調べてみました。私の眼瞼痙攣はどうやら、片側(へんそく)顔面
痙攣の前兆の疑いが大きいようです。動脈硬化が原因で血管が蛇行しそれによって
顔面神経が圧迫を受け発症するものです。
 こういう推測ができないようでは他の面も少々不安です。患者は非常に少なくて、
6名ほどのスタッフを抱えているようですが大丈夫なのでしょうか。
 開院前、挨拶に出向いた時の話では、当分白内障の手術はしない、ということでし
た。それはすでに近隣の4眼科が手術を行なっており、いま機材に投資しても回収で
きないからということでした。
 近隣には眼科はあと2機関ありますが、どちらも外科や内科を併設しておりますか
ら、特段手術をしなくても十分やっていけるのです。
 しかしあの眼科は若い先生で研究意欲も旺盛なはずです。白内障手術は、ますます
簡便になっているにもかかわらず手術点数が高すぎる、と他科の先生から批判が出て
いるほどなのに、その手術をしなくていいのかなと思います。そうでなくても昔のよ
うな眼病が減少した現代で、診療だけでやっていけるのなら、眼科はやはり結構な商
売です。あるいは手術に自信がないからかもしれませんが、前の勤務先での仕事振り
はわかりませんので何ともいえません。
 なおあの眼科が指定店を作ったという情報はありません。一度だけ単焦点老眼鏡の
処方箋を持ってこられた方がいますがその人は当店の重要顧客で、百均メガネのよう
な度数でした。C−2.00あるのにどうしたもんでしょう。
 そのお客さんはお金持ちの社長さんで、気はおおらか、無頓着な方です。トイレに
置くメガネにするというのでめんどくさいからそのまま作りました。

 岡本 それで、光岡さんは他の医療機関での受診はなされていないのですか。ま
た、光岡さんは定期的な健康診断はどうされています?私は近藤誠医師の「自覚症状
がなければ医療機関に近づくな」を励行しています。
 その眼科の眼鏡処方のレベルは高いとは言えないようですね。それはしかたがない
かもしれません。眼科のORTの中でも優秀な人が書いた本の内容が眼鏡処方に関し
ては、以前私が会誌で批判した程度なのです。
 とにかく、眼科の医師もスタッフも、ちゃんとした眼鏡処方の教育を受けていない
のですから、上手にできるほうがおかしいとも言えます。
 その中で、本会に入っておられる眼科のかたなどは、例外と言えますね。ただし、
眼鏡店でも、眼鏡処方が上手、というところはさほど多くないと思います。


 光岡 その眼科に行く前に知り合いの眼科の先生に相談しました。ところが回答が
どうもとんちんかんでした。
 彼は心臓外科を目指していたようですが死人を見るのはいやだとかで、眼科に転向
したと話していました。
 今は国立病院眼科の勤務医をやめて開業しています。
もし症状が長引いて難儀をするようでしたら神経内科に行くことは考えていました
が、その後何ともないので気にしていません。
 私も基本的には自覚症状がなければ受診はしません。
市の集団検診も受けません。2,3年前、夜明けに尿路結石の自覚症状が出たときは
友人の内科医をたたき起こしましたが、そのくらいですね。
 とにかく年寄りはやたら医者に行きすぎです。お客さんには、「白内障で眼科に通
院するな」と言っています。

 岡本 老人が医療機関へよく行くのは、老化で体のあちこちに故障がくるというこ
との他に、@ヒマがある、A長生きをしたい、B人に面倒を掛けるような状態になり
たくない、ということがあるようです。Aについては、トシをとればとるほど、長生
きへの欲求が増すそうです。若い人は「60まで生きたらいいや」なんて云ってます
が、60になったら「80まで生きたい」と思い、80になったら「100まで生き
るんだ」と思うそうです。
  Bに関しては、そりゃあ、誰でも、死ぬときはポックリ死にたいです。家族の重荷
になりたいとは思いません。ですから、ポックリ寺はどこでもはやっているのです。
老人性白内障で眼科に通うのは、ま、医師に従順、なんでしょうね。