[対論]  うちの眼科の眼鏡処方をやめることはしません
                            岡本隆博 × HARI


2007.9.29 から 10.1 に行われたメールによる議論を紹介します。
小見出しは、岡本が入れました。(【 】と番号は岡本による)

  

          
差出人不明のメールが来た 

はじめまして。
私は、眼科専門医です。
貴会の会員のご意見として、「自分で責任をとりたいので、メガネ屋でできる処方は、
メガネ屋にまかせていただきたい。その方がはるかに国民の利益になる。」と頂きました。

私の意見では、一般の眼鏡屋は、
1.必要ないのに、コストが取れるから0.25の度数が加入されていたり、
2.近視が進む(調節力低下)のに、強い度数の眼鏡を処方されていたり、
3.緑内障で視野が狭く、視力の出も悪いのに、合ってない眼鏡を処方されていたり、
4.矯正しても視力の出が悪いのに、そのまま放置されていたり、
5.田舎への訪問販売で、安価なレンズを20万円で売りつけていたり、
6.術後早期で視力が安定していないのに、処方されたり、
7.白内障手術適応があるのに、眼鏡を処方されていたり、
8.眼科医でない者を雇い、コンタクト処方し多くの合併症を出していたり、
9.遠視性乱視の子供なのに、違う度数のレンズを処方し、弱視になってしまった例。
があります。

全ての眼鏡屋が、ある一定の技術と知識を持っていない現時点では、「まず眼鏡屋で問題ない」は、
人道上オカシイと思いますが、如何でしょうか?
また、全ての患者(客)が、まず眼鏡屋に行くべきと考えることの弊害は、診断していないので、
初期の疾患を見逃してしまい、治療の時期が遅れて取り返しがつなかくなる場合がある事があります。
緑内障は40歳以上で6%も居るのですよ。
基本的に、眼鏡屋で処方されている事自体は、法的にはいささか問題があるかもしれませんが、
(眼科でもOMAという同様の問題もありますし)反対はしていません。

しかし、そういった悲しい症例があるのを知っておきながら、「まず眼鏡屋でありき」と、
考えられているのでしたら、公衆衛生的には如何なものか?と疑問を覚えます。
この彼の意見が、団体の意見として理解して宜しいのでしょうか?



2007.9.29に、私あてに、上記のメールが来ました。
それで私は下記の返事を出しました。



岡本です
私のことは、「岡本隆博」とネットで検索していただければ、いろいろおわかりいただけると思います。
上記のメールは、どこの誰から来たものであるかがわかりません。
本当に眼科医なのかどうかということさえわかりません。
ゆえにこれは怪文書と見なさざるを得ません。
あなたが自分の意見に確信があるのなら覆面を外して正々堂々と明るい所へ出て話をすべきではありませんか。
なぜ物陰からつぶてを投げるのですか?
私は逃げ隠れをしません。正々堂々とした議論ならいつでも受けて立ちます。
貴殿がどこの町の何という眼科の何というお名前の医師であるかを明らかにされたのなら、
私は貴殿の異論や疑問にどんどんお答えいたします。
なお、上記の貴殿の意見に対して私はその10倍以上の反論ができます。
それと、私の主張をどこでどう読まれたのかは知りませんが、上記の貴殿の意見における私の論への受け取りかたには、
誤解や曲解が非常に多いということを付け加えておきます。
きちんとした議論は、まず、正確な引用から始めるべきです。



HARI
この文章が、どういった形で表記されるのかが判りませんでしたもので、ハンドルネームとさせて頂きました。
名前等の個人情報の公開はせず、お互いのやり取り希望です。
私は、○○○○○病院の眼科医師 ●●○○○と申します。(本名が書いてある)
ご意見をお待ちしております。



       
では私とHARIさんで討論を

岡本
○○○○○病院の●●先生ですか。では●●先生の名前も所属も伏せて、私と先生の議論をいたしましょう。
先生は便宜上、HARIと名乗ってください。
 * 私は雑誌編集者というジャーナリストでもありますから、取材源の秘匿というマナーは心得ています。
   私とHARIさんとの議論は「ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会」のHPに、議論が終わったあとで、掲載することにいたします。
   そして私が編集する「日本眼鏡技術研究会雑誌」の来年3月発行の分にも載せます。その雑誌は出たらお送りします。
   では、まず、先生から、こちらの論の一部を正確に原文のまま引用をされて、それに対する反論をお願いします。
 * 引用部分とそうでない部分の区別をはっきりとわかるように書いてください。
   引用は「ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会」のネットサイトからになると思いますので、そうであれば、
   そのサイトのどのページからの引用であるかということをわかりやすくお示しいただくとよいと思います。

   なお、私は別に急ぎませんので、先生がもしまだユーザー本位の眼鏡処方を推進する会のHPの全てに
   目を通していただいていないのでしたら、それに目を通していただいてから、話を始めた方がよいと思います。
  (岡本註:あとでわかったことだが、HARIさんはこのHPの一部しか読まないままで私との議論に入られた)


HARI
お忙しいのでしょうか?情報が混乱していませんか?先ほどメールしましたが、私が異論を述べているのは岡本さまの文章に
関する事ではなくて、貴会の会員のメンバーと私とのやり取りで、疑問に思った事を、HPの覧から申し込んだ訳です。
今回の論点は、岡本さんが既に述べている事とは少し違います。
私に来たメールについては、相手あっての文章ですので、そのまま紹介する事はできません。お伺いしたい要点は、
「眼鏡処方する際に、眼科に行く必要は無いか?」です。
私見では、殆どの場合は必要ないと思います。しかし、そうでない場合も実際にあり、一律に決めつけるのは、オカシイと思っています。

その理由として、
1.全ての眼鏡屋が、ある一定レベルの技術を要していない現時点では、全ての患者(客)に、初めから眼鏡屋に行けば良いですよと、
 公の立場で言う事は出来ません。今は、患者の知識の中に、『眼鏡士』は通常ありませんので。
 また、下記の1〜9にもありますように、ヒドイ処方を受けている場合も少なくありません。眼科でもあるのですがね。

2.全ての患者(客)が、まず眼鏡屋に行くべきと考えるのは、診断していないので、初期の疾患を見逃してしまい、
 治療の時期が遅れて取り返しが つなかくなる場合がある事。
 これは、実際に経験しているからです。医師でないと判らない事もあります。
 患者が、実際どれだけ苦悩しているかを。我々は、毎日のように診察していますので、そのリスクを減らそうとするのは
 当然だと思っています。

 特に恐いのがコレです。
 「40歳以上の緑内障の有病率は 6%もおり、自覚症状も無く決して判らない。放置は失明につながる。」
 いかがでしょうか?



岡本 
では、その会員の名前は伏せていただいていいですので、彼の書いた文章の一部を(議論に必要なところだけでいいです)
正確に引用してください。そうでないと私は何も言えません。
なお、自分の議論のために個人メールの一部を引用するのは、その話題が誰かのプライバシーと関係のないことで、
公的な話題に関することであれば、法律的にはもとより、マナーとしてもまったく問題ありません。
しかも今回の場合、その引用された文章の筆者の名前は伏せるわけです。ご心配なく、引用してください。
原文のままで……。



       
私も医者だが、医者は嫌いだ

HARI
あまり時間にゆとりがありませんので、誠に勝手ながら、意見を述べさせて頂きます。
個人的には、1stチョイスとしての眼鏡屋で良いと思いますが、貴会員である眼鏡士ほどの知識を持っている所は
皆無に等しいと思います。
ただ、疾患が潜伏している場合も否定出来ませんので、法的に可能であれば、緑内障のパンフレットを店内に置いたり、
矯正視力で例えば0.9以下の場合は、「一度眼科に行って検査してみて下さい。
OKならその後処方しましょう。」と精密検査を勧める様に指導されたら如何でしょうか?
今回、お話しさせて頂いた方の、知識と技量はかなりのもので、正直ビックリした程です。
近所に店があれば、多くの患者様にとって非常に有益なのですが、とても残念です。
患者様の為にも、こういった店が多くなると、処方箋代が勿体無いから、直接店に行った方が良いですよ。
と言えますので。

あとは、私も医者ですが、医者は嫌いです。
彼等は、非常にプライドが高く、私も率直に言うタイプなので、こちらに非が無くても、嫌な思いをする事は良くあります。
送付する文章に、心からの文章でなくても、上手に書かれたら、もっと良いかもしれません。
メンドクサイですがね。



岡本
メール、拝読しました。
彼のメールの一部を正確に引用をお願いしますと言っているのに、なぜそれをしていただけないのかがわかりませんが、
彼は、「メガネの処方を望む人はみな眼科へ行くのではなくメガネ屋へ行けばよい」などと言うはずがないと思います。
「眼科で『この場合は眼科で眼鏡処方をするべき格段の理由がない』というのであれば眼科では処方しないのがよい」
ということは言うかもしれませんが……。

自分自身何らかの理由で見え方に不審を感じたら、メガネ屋へいくか眼科へいくかは、その人が判断すればよいという、
そういういまの我が国のやりかたが、メガネ屋や眼科の実情からして、それがベストか、と言えばそうではないでしょうが、
では、ベストの状態とは? と考えた場合に、そのベストの状態にするにあたっての別な問題がいろいろに出てきそうです。

アメリカ、ドイツ、フランス、いろんなやりかたがありますが、およそ世の中に、理想で完全無欠な社会制度なんて存在しませんよね。
要は、どうすればいまの欠点を比較的少なくできるのか、いまの不備な点をどうすれば少しでも減らせるのか、
というふうにやっていくしかないわけです。
もちろん、我が国のメガネ屋にもいろんなメガネ屋があり、まじめで高い技術を持つメガネはあまり多くないのも実際そのとおりです。

そして、眼科にもいろんな眼科があり、屈折矯正に秀でた眼科が非常に少ないのも事実です。
だから、結果としてその人が選んだ先が正解となることもあれば、そうでないこともあるでしょう。
それで、諸般の理由から、いまの眼鏡処方の状態、すなわち、患者(ユーザー)がどこへいくかを自由意思(自己責任)で決めるということ、
それを根本的に変えることはできないのであれば、この状態を少しでもベターにする方法として、少なくとも、眼科のまずい眼鏡処方で
苦しむ人を少なくするための方法として、比較的やりやすいこととして、われわれは「眼科では、これは眼科でしかできない眼鏡処方だと
判断したものでなければ、それはメガネ屋の任せた方がいいのでは?」と言っているのです。

そして、われわれがそういう主張をする自由を持っているのですから、眼科のかたが「メガネ屋では目の病気の見逃しがあるかもしれない
から見え方がおかしいと思ったら、まず眼科へいらっしゃい」と広く述べるのも、もちろん自由です。

なお、眼鏡業界の技術的な指導団体である社団法人、日本眼鏡技術者協会は技術者教育を常にしており、「視力が出にくい」とか、
「なんかおかしな見え方を訴える」とかの疑問を感じたら眼科受診を勧めるでき、ということは、昔から当然のこととして指導はしています。
でも、そういう指導をいまさら聞かなくても、普通のメガネ屋なら「おかしいな」と思えば、当然のように眼科受診を勧めるでしょうが、
中にはそういう当然のことをしない店もあるでしょう。

ただ、そういう店は、屈折矯正の勉強を真剣にしない眼科よりも割合として多くはないと思うのですが……。
なお、緑内障の件については、私は以前に広島の平野医師と下記のような議論をしましたので、紹介しておきます。
http://www.optnet.org/namanokoe/gankai.html
それと、先生がいろいろ挙げられた「眼鏡屋で処方されて困った事になった例」は、ではそれをどうやってなくすのか、
となると、なかなか難しいでしょう。
しかし、眼科でヘタな処方をされて困った例、のうちの何割かは、眼科で「これなら眼科が処方する必要性がない」と
判断したら眼科で処方をしない、という、簡単なことにより、なくせるのです。
メガネ屋の眼鏡処方のレベルはAクラスからEクラスまで、眼科の眼鏡処方は、ほとんどがCクラスとDクラス、と私は見ています。

●私の分類、眼鏡処方のレベル
  眼鏡処方をするときに
  Eクラス 自覚の完全矯正値も求めない
  Dクラス オートレフに頼るが、一応自覚の完全矯正は求める
  Cクラス オートレフに頼り、緻密さに欠ける。斜位測定をしない。
  Bクラス 緻密な自覚検査をし、両眼視機能検査もする。
  Aクラス それに加えて両眼開放屈折検査もする

メガネ屋でBクラス以上は1割あるでしょうか。眼科では、さらに少ないと思います。
なお、眼科では眼鏡処方の前に病理検査もするからメガネ屋の眼鏡処方とは違う、というのは当然のことです。
それをしなければ眼科でなくなります。
また、メガネ屋では病理検査はしない、というのも当然のことであり、そういう出過ぎたマネはしないのが非医師の常識です。
それで、諸般の理由から、いまの眼鏡処方の状態、すなわち、患者(ユーザー)がどこへいくかを自由意思(自己責任)で決めるということ、
それを根本的に変えることはできないのであれば、この状態を少しでもベターにする方法として、少なくとも、眼科のまずい眼鏡処方で
苦しむ人を少なくするための方法として、比較的やりやすいこととして、われわれは「眼科では、これは眼科でしかできない眼鏡処方だと
判断したものでなければ、それはメガネ屋の任せた方がいいのでは?」と
言っているのです。



         
こちらではメガネ屋を指定しません

HARI
当眼科では、眼鏡屋を指定している訳ではありませんので、眼鏡屋の技量が判りません。
あなた方の眼鏡士であれば、問題ないと思っておりますが、そうでない場合、ヒドイ処方を散見します。
それは、イケテナイ眼科以上にヒドイ。そういった内容は具体的にご存じないのでしょうか?
任せれる眼鏡屋は、非常に少ないのです。患者がどこに行っても、良いように、処方しております。
それは、最高Sクラスではないかもしれませんが、最悪のクラスを防ぐ事は可能でしょうし、責任の所在がはっきりして、より良いと思います。
自覚症状のない緑内障は多いですよ。
私の親友も、緑内障でした。
これは本当にビックリしました。
まったく自覚症状は無いのですから。

平野医師とは、一緒に仕事をした事がありますので、その人柄も、性格も良く存じております。
我々の病院では、県では数少ない手術まで施行する緑内障専門病院である事を補足します。
あなたは、眼科で「これなら眼科が処方する必要性がない」と判断したら眼科で処方をしない、という、簡単なことにより、なくせるのです。
と書いておられます。
私もそうしたいです。

心からそう思っていますし、95%の患者は必要ないと思っています。
しかし患者は、望むのです。主治医である私の処方を。
ORTの居ない当院では、一般の患者の場合、おそらく眼鏡士の処方がより良い可能性が高いと思います。
フレームの種類等、ファッション性の問題は別ですが。望まれた場合、答える必要があります。

法律に詳しいので、ご存知でしょうが。
それから、病理検査とは?
私が認識する病理検査とは、組織学で異常があるのが病理学で、細胞レベルの話だと思いますが?
ちょっと判りません。スミマセン。

それからあなたは、「普通の屈折異常(近視・遠視・乱視)や老視(老眼)は、>疾病ではありません。
それは「世界の眼科学の常識」だと言えるでしょう」と書いておられますが、
1.生活保護の方が、国(県)から眼鏡処方に関して補助金を貰う時上記の病名などが無いと、お金はおりません。
2.国が定めるICD10の病名分類にもしっかり入っております。
3.例えば近視性乱視の病名で、患者は保険を使って受診しております。
つまり日本では、「疾患」として位置づけていると考えております。
ただ、LASIKによる近視矯正は、保険は使えませんが、生活保護の方々が、一般にCLを使えない事と似通った理由かもしれません。

どのみち日本は、オカシイ国だと思っています。OMAも眼科医会だけで認めている資格で、国の監査では、必ずこの件をチェックしています。
「警察でも行っている裸眼視力検査や、眼鏡処方箋の通りの度数を入れて視力検査をする事、 現在使用している眼鏡視力を測定するのは
医療行為ではないので、OMAだろうが素人だろうが測定は順法。
屈折検査・矯正視力検査ができるのは医師・看護士・ORTのみ。」

これは、眼科側と、厚生省との話し合いで、厚生省からの指導があった内容で、全国の眼科に伝えられた内容です。
その大元にあったのは、OMAを国家資格にして欲しいとの陳情だと思いますが、結果は、「否」でした。
つまり、現存する、多くの眼科は違法であると思います。
皆はその事を認識しながらも、暗黙の了解と言うか、現状維持みたいです。慣習法による合法性が確立しているのかも知れませんが、
裁判まで発展していないので、真意は不明です。

このようなはっきりしない事は、他にも万とあります。要は、患者にとって有益になる様に、考え行動する事が大事だと思いますので、
現在の法的解釈は、さほど重要とは考えていません。
【私は平野先生の言う、月に1度はやりすぎで、個人病院の考え方だと思います。私は、90%の患者は検査は1〜2年に1回で充分と思います。
ただ、厳密に健康診断となると、保険は使えないのが残念ですが。本来は、乳がん検診のように、県や国が補助を出して、
もっと啓蒙活動するのが本筋でしょう。】(1)

それが一般化すれば、まず眼鏡屋でも問題ないと思います。私は一生開業しません。開業すると、今までの様な患者第一の医療を行う事は、
よっぽどの金持ちでないと、極めて困難になるからです。
【あなた方の主張は非常に良く理解出来ます。でも、あまり偏り過ぎずに、固執せずに、柔軟な考え方も持ち合わせて下されば幸いです。】(2)



岡本
【眼鏡士であれば問題ないと、私がどこで言いましたですか。】(3)
眼鏡士なら、まあ、そうでないメガネ屋さんたちと、その平均的なレベルを比べれば比較的ましだとは思いますが……。
眼鏡処方をメガネ屋に委ねる場合には眼科の近隣のメガネ店の中からもっとの眼鏡処方にすぐれた店を紹介すればよいのです。
市内のメガネ屋の中から優秀な店を選ぶ方法があります。
http://www.ggm.jp/ngk/news/examination.html
市内(あるいは県内)のメガネ屋にこの問題をやらせてみればいかがでしょうか。
私が採点してさしあげます。そして上位の店を眼鏡処方店として紹介すればよいのです。
もしそういう店が見あたらないのなら、眼科で処方してもよいと思いますが、
【その場合、処方された眼鏡がうまくいかずに再処方となった場合のレンズ代をメガネ店に負わせるのはおかしいです。】(4)

【また、眼科に来た人の眼鏡処方をメガネ屋に委ねるにあたり、過矯正などのまずいメガネが出来上がらないようにということで、
拙著書『眼科処方箋百年の呪縛を解く』のなかで、私は、眼科で測定した完全矯正値の値を患者さんに渡して、それを参考にして
メガネ店でもう一度測定してメガネの度数をきめてもらえばよいという調製依頼書のことを書きましたが、それはお読みいただい
ていないようですね。】(5)

それと、先生は主治医自ら単なる老眼鏡でも、処方なさるのですか……。
【「あなたの眼鏡処方の場合は目の病気に対する治療ではないから、眼科はこれ以上タッチしません。
もし、作った度数ではうまくいかずに短時日のうちに再処方になった場合には、眼科ではレンズ代を弁償できません。
メガネ屋に電話でなんとかしてくれと頼むのもイヤですし。」と言って断ればよいのです。】(6)

散瞳剤を用いる眼鏡処方以外で、技術的に眼科でなければできない眼鏡処方ってあるのでしょうか?
逆に、たとえば、累進レンズを使う処方などは、メガネに用いるのと同じ種類の累進レンズのテストレンズを使って
装用テストをしないと、確実性はかなり落ちるのです。

単焦点レンズで決めた遠用度数と近用度数の処方箋で累進眼鏡を作るのは、リスクが多いものです。
なお、眼科での眼鏡処方の結果に対してクレームが少ないのは眼科へ文句を言いにいくのが気が引ける人が多いからだ
ということは当然ご存じですよね。

【それと、貴眼科は先に私が挙げたA〜Eの5つのクラスのどのクラスですか?ぜひぜひ答えてください。】(7)

それと、「病理検査」については専門用語を私がうかつに使ったのがまずかったようです。
失礼しました。では言い換えます。
「目や身体の病気に関する検査」です。
【それで、平野医師と私との緑内障に関する話を読まれて、私の論に対する具体的な反論はないのですね?】(8)
それから、屈折異常が書類などにおいては「病気」に含まれるというのは、それはそういう場合に便宜的に、
「病名」の中に入れてあるというだけのことです。
【屈折異常や老視が病気なら、国民の大半は病人です。眼科医の大半も目の病気をかかえた人ということになってしまいます。
常識でものごとを考えて下さい。】(9)

【「病的近視」という言葉があるのは「近視」それ自体は病気ではないからです。】(10)
「病的肺ガン」と言わないのは「肺ガン」が病気だからです。

それで、「現在の法的解釈は、さほど重要とは考えていません。」とおっしゃるのなら、「眼鏡屋で処方されている事自体は、
法的にはいささか問題がある」などと私に言ったり、本会の会員に最高裁のあやふやな判例などを持ち出してメガネ屋に
オドシをかけたりすることはやめてください。

【眼鏡処方に関して眼科の患者にとって有益なことは、眼科は眼科でなければできない眼鏡処方以外はしないですますことです。
それで節約できた手間と時間は眼科本来の病気の診療にむけてください。】(11)
【 】(1)について
【公費のムダ使いはやめてください。】(12)
【 】(2)について
【柔軟に考えてどうせよとおっしゃるのですか。】(13)


                  
結局はお金の問題?

HARI
【 】(3)については、【これは、私がそう感じている事です。
岡本さんが述べているかどうかは知りません。】(14)
【 】(4)についてですが、【結局の所、ココ(金)が、発端なのでしょうか?文章を見たら、そう感じてしまいます。】(15)
【 】(5)については、岡本さんの存在を知ったのは、昨日ですし。著書の事に関して、どうこう言うつもりもありませんし。
【私側から見ると、過矯正眼鏡は、飛び込みで眼鏡屋で作った場合が、圧倒的に多いと思います。】(16)
【 】(6)については、それでは、医師として、法に触れる事になります。

近視など屈折異常についての私の見解は既に述べました。しかし、ここでも代金問題を述べていますね。
わたしは、そのままの度数で作った場合、【再処方の責任は、病院にあると思いますので、これは、病院に言えば良いのではないでしょうか?
「先生が指定した通りの度数なので、直接先生に聞いてみて下さい」と。】(17)
それから、累進レンズの処方のリスクについては同意致します。
【ただ、累進眼鏡を使用している人を診察する機会は、非常に少ない。単焦点レンズと比べると、見え方は悪くなるからでしょうか。】(18)
もう少しすると、多焦点眼内レンズが普及します。
【7】については、検査自体は、看護士など検査員が行っていますが、
【オートレフを基本情報とし、自覚検査を重視しながら、両眼視機能検査までだと思います。

斜位検査は、したりしなかったり。検査員の技量で様々だと思います。】(19)

【緻密の定義が判りませんので、どのクラスかは判りませんが。眼鏡処方のレベルは眼鏡士ほどは高く無いと自覚しています。】(20)
当県では、斜視弱視専門病院は、○○医療センターになりますが、おそらく?ここも、Aでは無いでしょう。
病理検査の用語については了解です。
【 】(8)については、正直メンドクサイので、そこまで広げたくありません。
両方とも、?って部分はありますが。
【 】(9)については、常識的に考えて、法律とはそんな変なものだと思っています。
他にも、いろいろあるでしょう?
【 】(10)については、【病的近視は、ICD10には無く、正確な名称では無いと思います。所謂一般名。強度近視はあります。
例えば、中心性網膜炎という一般名に対する、中心性獎性網脈絡膜症という疾患名みたいな。】(21)
【 】(11)については、本当に、そんな世の中が一般的になれば嬉しいです。

ご存知だと思いますが、
第 19 条
診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、
正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
第 20 条
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならない。
便宜上でも、現在の法律で「近視」等がアリ、それに対して、患者から要求があった場合、それを拒否する事はできません。
訴えられたら、敗訴になります。
岡本さんの言っている事は理解出来ますが。
現在の法律が、世の中に沿ってないのだと思います。代理母などもそうでしょうが、同様の事は沢山あると思います。
私は政治家ではないので、既にある法の範囲で、日々診療を行って行く必要があります。
ご理解頂けませんか?
【 】(12)については【どの部分が無駄なのでしょうか?私は、現在ある健診は、無駄では無いと思います。】(22)
コレも、決めるのは政治家でしょうが。
早期発見、早期治療のために、自覚症状の無い緑内障の検診は無意味ではありません。
治る事は無いですし。
【思うに岡本さんが、政治家になられたら、良いんじゃないですか?それであなたの思いを、法制度化して、
国益に繋がる様、国民の為に頑張って下さい。】(23)
【 】(13)については、正しい事は1つでは無いと思います。

岡本 さん
>貴眼科のある市内のメガネ屋の中から優秀な店を選ぶ方法があります。
>http://www.ggm.jp/ngk/news/examination.html
>これは眼鏡技術者の実力テストです。
>市内(あるいは県内)のメガネ屋にこの問題をやらせてみればいかがでしょうか。
>私が採点してさしあげます。そして上位の店を眼鏡処方店として紹介すればよいのです。 HARI

あまり現実的な話ではありませんね。要は、患者にとって有益になる様に、考え行動する事が大事だと思いますので、
現在の法的解釈は、さほど重要とは考えていません。

岡本さん
>それなら「眼鏡屋で処方されている事自体は、法的にはいささか問題がある」などと、最高裁の判例などあやふやなことを言って、
>メガネ屋にオドシをかけたりすることはやめてください。

HARI
最高裁の判例は見た事があります。
詳細を覚えてないですが、「まさか!」と思ったので良く覚えています。かなり昔の判例でした。存在しないですか?
脅しではなく、眼鏡士の否定もしていません。
ただ、明らかに、患者の不利益に繋がる様な事、または、考えをもっていたら、問題があるという事だけです。
メールのやり取りでは、情報がネジ曲がる場合もありますし。
また、ご存じない事も少なく無い。
例えば、いくら斜位矯正しても、ドライアイの患者は、非常に疲れますし、波面収差も最近話題となっております。
これは、眼科で無いと判りません。
提案ですが、いかがでしょう?
眼科学会に出て来て、発表されるなり、もっと我々の分野で、広く伝えた方が、良いと思いますが?
そして、眼鏡士の知名度を上げて頂きたい。
そうすると、法律ももっとはっきりと変わるかもしれませんし。


              
眼科処方箋で葛藤が

岡本
どういう内容かは知りませんが、HARIさんがおっしゃる最高裁の判例は、あるのならそれを示していただかないと……。
メガネ屋の検眼の法的検討については、HARIさんもお読みいただいたようですが、このHPに書いておきました。
【 】(14)については、あ、そうでしたね。
ただ、眼鏡士でもピンキリです。あの5段階の分類ではBとAは少ないです。
【 】(15)については、それもありますが、一番困ることは、眼科処方を尊重するか、当方で測った、
お客さんにとってよりベターな度数で作るのかということで、よくわれわれやお客さんに葛藤がおきるのです。
眼科にそのメガネを持っていかないのなら話は簡単なのですが、何らかの理由で眼科へそのメガネを持っていくという場合に難しくなるわけです。

【それなら眼科へ電話で聞いてくれればいいじゃないか、とおっしゃるかもしれませんが、それをすると、ほとんどの眼科は
「眼科処方に文句を言ううるさいメガネ屋」ということでその眼鏡屋を嫌い、ひどい場合には患者さんに処方箋を渡すときに
「あそこへは行かないように」と言う眼科もあるのです。】(24)

【 】(16)については、どちらにしろ、オートレフ頼りの処方者が過矯正をしがちです。
それと「眼鏡処方の拒否は、医師として法に触れる事になります」とのことですが、【いやいや、目に病気があるかどうかの
診察やその治療は医行為ですから、それは拒否できませんが、その結果、たとえば、いろんな検査の結果、この目は単なる老視だ、
(単なる近視だ)、となれば、そこから以後に行なう眼鏡処方は、医療にはあたらない特別サービスなのです。
それを望まれて拒んだとしても、「正当な事由なくしての医療の拒否」にはならないのです。
そこがこの問題のキーポイントなのです。】(25)

それで、そのあとをメガネ屋に委ねれば、眼鏡処方箋を巡って患者やメガネ屋が困惑することがなくなるのです。
【 】(17)については、それで再処方をするのはよいとして(もちろん、また検査料金も徴収して)
【そのレンズ入れ替えの費用は誰が負担をするのですか? 】(26)

それから【 】(18)については、いまから30年ほど前の話を聞いているようです。
当店では、老視のあるお客様のうちの8割以上が累進眼鏡を使っておられます。
他の店でも同じくらいでしょう。
私も累進眼鏡がないと仕事も家庭生活も不便でどうしようもないです。
HARIさんは、まだ老視になっていないのですね。
【 】(19)については、【初診の人には必ず斜位くらいは見てあげないと……。そんなに手間がかかることでもないですよ。
なぜ「したりしなかったり」なのですか。実際には「ほとんどしていない」でしょう。】(27)

【白内障術後に眼内レンズの位置ずれで数%の人に上斜位が見られると、梶田雅義医師が以前にどこかに書いておられました。
どこに書いておられたかは忘れましたが、確認されたければ梶田医師にお尋ねください。
実際、その上下斜位による眼精疲労や複視は多いですね。】(28)
【 】(20)については、それなら眼鏡士に眼鏡処方をさせるほうが患者さんのために良いことです。
眼科できっちりと両眼開放屈折検査をしないのはなぜだかわかりますか。
日常の眼科のルーチンとしての屈折検査では両眼開放は不要だからです。
各眼でそれぞれに視力がいくらまで出るかを調べるのが眼科の通常の屈折検査です。
それに加えて両眼視力を調べたところで、それはつけたしでしかないのです。
【毎日そういう屈折検査しかやっていなくて、ときどきある眼鏡処方のときにだけ正確で緻密な両眼開放屈折検査
(これは、いわば眼鏡処方のための屈折検査だと言えます)を実施するなんてのは無理でしょう。
私の言う「緻密」とはどういうものか、それは、拙著書『快適眼鏡処方マニュアル』を読んでいただければわかります。
HARIさんが、眼科へ来る患者さんのためを思うのなら、眼科に検査員のかたに、同書を読ませてあげてください。
http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/books.html】(A)
【 】(21)については、では、【HARIさんの近辺でメガネをかけている人たちはみなさん近視や老視という「病気」
「疾患」を持ちなのですか。】(29)とお尋ねします。

【 】(22)については、【仮に眼の健康診断を全国民が保険で受けたとします。
結果として膨大な医療費や時間のムダになります。
そして、そのうち早期発見早期治療でなんとかなった、」ということになる人間もいるにはいるでしょうけれど。
そのわずかの人のためにそれだけの費用を公費から使い、国民に手間ひまを強いるなんて、凡そ非現実的な発想です。
ましてや緑内障は、早期発見で、本当に失明時期を遅らせることができるのかどうかは、まだ立証ができていないと思います。】(30)

白内障の早期発見というのも、なんだか……ネ。
自覚症状がないのに健康診断を受けたい人は自費で受ける。それで十分です。
緑内障の怖さをキャンペーンするのも自由ですが、それなら私と平野医師が話した問題に対してきっちりとした答えがほしいですね。
【すなわち、緑内障(いわゆる、急性ではないもの)の治療は、実際に失明をどれだけ遅らせることができるのかという答えを。】(31)
【でも、そういう研究調査をして万一「失明時期を遅らせる効果がほとんど認められなかった」とか「平均3年ほど遅らせる程度だ」とかいう
答えが出たら、眼科にとってはあまりにもダメージが大きいでしょうから、本腰を入れてそういう研究調査をする眼科医師はいないでしょう。】(32)

【 】(23)ということは、【「眼科では、眼科でしかできない眼鏡処方だと見なしたものでなければ、眼鏡処方はしないのがよい」という
私の主張に賛成なのですね。
では、それを実行してください。違法ではありませんから。】(33)
【それと、メガネ屋にテストを受けてもらう件については、眼科として、近隣のどこのメガネ屋が調製技術が優秀なのかを知っておくのは
当然だと思います。ピンからキリまであるということはご存じなのでしょうから。】(34)


          
屈折異常は疾患だという解釈も

HARI
【 】(24)については、お互いにうまくやる必要がありますね。
良い関係を築く必要もあるのでしょう。
【 】(25)については、【法解釈の違いでしょう。
1.生活保護の方が、国(県)から眼鏡処方に関して補助金を貰う時、上記の病名などが無いと、お金はおりません。
2.国が定めるICD10の病名分類にもしっかり入っております。
3.例えば近視性乱視の病名で、患者は保険を使って受診しております。
つまり日本では、「疾患」として位置づけていると考えております。】(35)
【また社会通念上、患者が眼鏡を欲しいと言っているのに、出来ませんや、嫌ですなどの返答は、理解を得られる事は少ないと考えます。】(36)
【 】(26)については、
【そこは、病院と患者の問題だと思います。】(37)
【私は、必要が無いと判断した場合は、検査コストは取っておりません。これも本当はイケナイ事でしょうが。】(38)
【 】(27)は、【これは誤解があります。
初診時に眼位のチェックは行いますが、眼鏡処方の際に、全例において検査員は施行していないとの意味です。】(39)
文章では、正確に伝わりにくいですね。

【28】については、【今と昔では手術方法がカナリ異なりますが、いつ頃の論文でしょうか?
昔は、テノン嚢下麻酔や球後麻酔をしてましたから。切開する方向や大きさも違いますので。】(40)

それと、眼鏡士に眼鏡処方をさせるほうが患者さんのために良いとのことですが、そう思いますね。
しかし、対象施設が少ないのと、立地があまり良くありません。
【それを公に求めるのであれば、全ての眼鏡店のある一定以上の技術獲得が必須とは思いませんか?】(41)
【】(29)については、学校での書類でも、診断名を記載する覧があり、その箇所には、近視性乱視などを記載します。
診断名ですので、疾患ととらえる事もできます。
逆に、岡本さんが言われる事ももっともです。オカシイ法の元で議論しても仕方がないのでは?
解釈が違うだけです。
【 】(30)は、なるほど一理あります。
【ちなみに、がん検診はどう思いますか?初期の緑内障で、結果失明する人はまずいません。多くの失明している方々は、
治療が遅れたり、適切な治療を受けていない為です。
前向き研究は、この場合人道的にできませんね。】(42)
あなたが医者であれば理解出来る事だとおもいますが。
「白内障の早期発見」は意味がありませんね。

必ずなるし、進行を止める事も出来ないし。
【 】(31)については、【点眼効果を立証する論文は沢山あります。だから厚生省が認可して発売しているのでしょうし。
眼圧を低くすると、視野障害の進行が、有意に抑制出来たとの報告も沢山あります。これは、常識だと思っています。
何の為に治療しているのだと思いますか? 】(43)

【あなたなら、自分が緑内障になっても放置ですか?】(44)
【 】(32)については、何が言いたいのか、意味が良く判りません。
【 】(33)については、原則として賛成ですね。
ただ、違法でないとの確信もありません。グレーゾーンの話だと思います。
私から、病院で通常の眼鏡を勧める事はあまりありません。
希望があったときのみです。
ただ、信頼出来る眼鏡士が判りません。患者がどこに行くかも判りません。
ですから、病院で処方箋を出しています。
あなたがた、眼鏡店全体の問題も大きく絡んで来ると思います。
そこがはっきりするまでは、現状を変えるつもりは、ありません。
ただ、今回知り合う事が出来た、ある眼鏡士さんの、近所に患者の住所がある場合は、こんな所もあると、伝える事はあるかもしれませんが。
選択するのは、患者の自由です。

【 】(34)については、【ですから、何回も述べた様に、患者がどこの眼鏡屋に行くかは判りませんので。決して指定もしませんし。】(45)
眼鏡を調節する技術以外にも、客が眼鏡屋に求める物はあります。
それは、接客であったり、内装であったり、値段であったり、品揃えなどです。
それら全てを客観的に評価する事は難しい。
患者の眼鏡の好みまでは判らないし。
患者(客)は、完璧な眼鏡を求めるよりも、もっと安い者が良いのかもしれないし、よりファッショナブルな方が良いのかもしれないし。
いくら調整技術が良くても、感じ悪いかもしれないし、値段が高いかもしれないし、色んな要素があります。
患者の価値観で決まるでしょう。
私は、調整技術はそこそこでも、安くてオシャレな眼鏡が良いですね。



             
専門職とサービス職

岡本
前回の私の【 】Aに対しては無視しておられるようですね。
検査員さんたちに、より良い眼鏡処方技術を勉強させたいというお気持ちがHARI先生にはないのだと
解釈させていただいていいでしょうか?(質問1)

* あの本をマトメ買いした眼科もあります。
【 】(35)については、ま、そう思うのならそう思っておいてください。
【 】(36)については、
あなた、専門職ですよね。
相手が欲しいと言うから与える、というのはサービス職の発想ですよ。
サービス職なら自分の仕事の結果に対して相手が満足しなければ報酬を得てはいけません。
専門職だからこそ、診療の結果のいかんを問わず(成功報酬ではない)参稼報酬が得られるのです。

メガネの修理をするのは専門職ではありません。
だから修理できなければ代金はもらえません。

眼鏡処方が専門職のすることであれば、相手がその結果に満足しなくとも、自分がやった事に対しては、
そこにミスがなかったのなら、弁償などしなくてよいのです。
【日によって眼の調子が違う人もいるのですから。再検査はもちろんきちんと報酬を得るべきなのです。】(46)
その仕事の結果に文句を言われて、弁償を考えないといけない、というのならはその仕事が本質的に医療ではないからです。
医療を普通にやっていて結果が悪かったら弁償、なんてことになったら医療などできるわけがないのです。
【 】(37)については、HARIさんはレンズ代の弁償をされたことがあるのですか?(質問2)
ないのでしょう。

10万円近い遠近両用のレンズの弁償などできませんよね。
そうなったら患者さんが泣くか、そのメガネを作ったメガネ屋が泣くか、のどちらかですよね。
だから、そもそも、眼科がそんな眼鏡処方をすること自体、おかしいのです。
よけいなことをするからあとがややこしくなるのです。
【 】(38)については、そうです。いけないことです。
【そして、医療でないことを医療の人間が業務として行なうということはもっといけないことです。
眼科でしなくともよい眼鏡処方を求める患者に対しては、医師の権威と見識で、その矛盾を説くべきです。】(47)

【 】(39)については、その場合の眼位検査というのはカバーテストでしょう。
カバーテストで1△の上斜位がわかりますか?(質問3)
1△の眼の動きは0.1mm程度ですが。

【 】(40)については、2年ほどまえだったと思います。詳しくは梶田医師にお尋ねください。

片眼にIOLの入った眼に、上斜位がよく見られますね。その実例は日本眼鏡技術研究会雑誌にこれまでに何例か載せました。
HARIさんは白内障術後に、上斜位の検査はなさらないのですか?(質問4)

【 】(41)については、業界ではいろいろやっています。
眼鏡学校を出た人も増えてきていますし、大手のチェーン店は社員教育をまあまあやっています、
ですから、たとえば20年前よりも平均的なレベルはずっと上がっていると思います。
ところが眼科では、眼鏡処方のレベルを挙げるための努力などしているように見えません。
最近眼科に来た看護婦さんに平気で眼鏡処方を見よう見まねでさせているところもあります。

ですから、眼科が眼鏡処方を今後もやめないのならその眼鏡処方の腕前を上げることの方がよほど必要で重要です。
多くの患者さんは「眼科ならきっちり処方をしてくれるだろう」と期待しているのですから。
そして、困ることは、眼鏡処方の下手な眼科は患者さんだけでなくメガネ屋にまで迷惑をかけるのです。

【しかしながら、眼科の眼鏡処方がうまくならないのには構造的な理由がありますから、まあ、無理なのです。
ですから、われわれはああいう主張をしているのです。】(48)
【 】(42)については、がん検診についてはこの議論とははずれますので省略しますが、公費を使わないのならどうぞご自由に、と私は思います。
【 】(43)については、【平野医師との話の中でも私が言いましたが、眼圧を下げるなどの治療をして「視野欠損の拡大がほとんど
止まっている」と観察できたとしても、個々の症例だけだと、治療開始以前の進行速度が不明な以上、それが治療による進行の
遅延なのかどうかということを明確に立証しにくいということがあるわけです。】(49)

それと、治療をしても視野欠損が広がっていく人、そして、結局失明に至る人もいますが、その場合には「治療をしなければ
もっと早く失明しただろう」と解釈するわけですね。
そう思わなければ治療などできませんしね。

【 】(44)については、それは程度によります。
そして、緑内障の検診を受けようとは思いません。

【 】(45)については、【眼科なのですから、もし良い技術のメガネ店を紹介してほしいと言われたら、それに応えてあげるくらいの
準備はしておくべきだと思います。その場合、メガネ店によって技術がピンキリまであるのを知りながら「どこへでも行って」では無責任でしょう。】(50)
それと、「ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会」のHPには大事なことがいろいろ書いてあるのですが、どうも部分的にしか読まれずに
私と話をされているようです。
あのHpのすべてに目を通していただいたのでしょうか?(質問5)

 * 今回は、無視してほしくない問いかけに対しては、質問番号を振らせていただきました。



           公立病院の看護士は、プロ根性がイマイチ

HARI
(質問1に対して)【まだ、読んだ事の無い本が、どんな本かは判らないでしょう?
まず学会なので陳列されていれば、手に取って見、良いと感じれば買うと思います。】(51)
正直、自書を本人に勧められても、あまり気は進みません。
また、個人病院でない場合、看護士のモチベーションの問題があります。
実際は、個人病院程、協力的ではありません。
プロ根性もより少ないと感じておりますし、不満も沢山あります。
これは、外来だけでなくて、手術場や病棟でもそうです。
【また、本は既に簡潔なものを個人購入して数冊渡しましたが、本の購入=技術の向上には繋がらないのが現状です。
本の内容の問題だけではないと思います。
これは、大変頭を悩ませている現状です。】(52)
それから、【医師は、サービス業で専門職と思っております。】(53)
調べてみて下さい。
【 】(46)については、これも正確でなくてゴメンナサイ。
検査する必要の無い人のケースでした。

(質問2)については、【経験がありません。それは、予想できる理由無しに、眼鏡が合わないとの報告がありません。】(54)
【 】(47)の件は、平行線をたどりますので、これ以上の議論は無用と考えます。
認識の違いですね。

(質問3)については、【「わかりますか?」は様々な捉え方ができますので、的確に表現して頂きたい。
仮に、「判断出来ますか?」であれば、世の中、「判る」ものは判るので返答出来ますが、「判らない」ものは、判定出来ていないので、
判らないと思います。いいかえると「無い」と言うのは非常に難しい。答えとしては、判らない場合も判る場合もあると思います。】(55)

(質問4)には、【特に理由が無い限りしておりません。
眼科の中では定説でないと思います。
その実例を、なぜ?眼科学会で報告されないのですか?
また、梶田医師とは? 論文のタイトルをご存知ですか?】(56)

【 】(48)に関しては、【なるほど主張は理解出来ます。ただ、岡本さんからみた眼科は、私からみた眼鏡屋にあてはまります。
これも、どっちにも問題がありますので、これ以上の議論は有益とは考えません。】(57)
【 】(49)については、【その為に、「統計学的有意差」があるのですが? 科学的に立証出来ていると思います。】(58)
【 】(50)については、そうですね。それも正しいとは思います。
しかし、情報が無いし、前回と同じ内容の説明は避けたいので、この事も、今後の議論は好ましく無いと思います。
(質問5)については、【初めに、「全て目を通してから質問を。」とあれば、質問もしてなかったと思います。そんな事は聞いていないし、
但し書きもありません。

あなたのHPにクレームが発端ではありませんし、あなたと議論するつもりで書いた訳でもありません。
何か勘違いされてないですか??】(59)

少し疑問に思った事に対して、質問のメールから問い合わせをすると、コレだけの内容に膨らんでしまう。
そこまで、思う事があれば、眼科学会で述べるなり、厚生省に問い合わせるなり、もっと大きなアクションをされたらいかがですか?
一介の雇われ眼科医といくら議論しても、あまり有意義とは思えませんが。私にとっても。



           
眼科関係者の書いた眼鏡処方本は

岡本
【 】(51)についてですが、【あなたが「緻密な眼鏡処方とは? 」とおっしゃるから、「この本を読めばわかります」と教えてあげたのですよ。
私とのこれまでの話で、その本の内容のレベルやタイトルからする実用性の推測ができないようなHARIさんだとは思われないのですが……。
「メガネ屋が書いた本など眼科関係者が読めるか」というのであれば「傲慢」ですし、眼鏡処方をする身でありながら勉強意欲もない
というのであれば「怠慢」です。】(60)

【 】(52)については、【簡潔なものでは、実際にはあまり役に立ちません。
医師やORTが書いた眼鏡処方の本は実用性はゼロに近いのです。
以前に、あるORTが書いたその種の本を、2度ほど私は批判してそれをそれぞれの著者にお送りしたことがあります。
その詳細は「日本眼鏡技術研究会雑誌」に載せました。

要するに眼科の人たちには「より上手な眼鏡処方をしなければ」という気がないのだと解釈せざるを得ません。
それでも昔からの習慣に従って眼鏡処方をなさるのです。】(61)
【 】(53)については、【サービス業の要素はあっても、医師はサービス職ではなくて専門職なのです。
だから参稼報酬を得るのです。

相手が満足しようがしまいが、自分が仕事をしたことによりキッチリと報酬を得られるのです。
弁護士もそうです。依頼人が敗訴しても弁護料は得ます。
医師の場合も、患者が亡くなっても診療報酬は得ます。
それが公的資格を持ち身分保障のある専門職です。

弁護士、弁理士などには成功報酬もありますが、
医師には成功報酬は皆無だと思いますから、もっとも専門職らしい専門職ですね。
だからこそ、患者に親切にするのはよいが、おもねったり迎合したりしてはいけないのです。
患者様、という言葉は、専門職の何であるかをわきまえない情けない言葉ですね。患者さん、で十分です。】(62)

【 】(54)については、ではこれまでに貴眼科で、短時日のうちの眼鏡再処方があった場合(皆無であった、なんてことはないでしょう)
常にその入れ直しのレンズ代金は患者さん負担だったのですか?
そういう下世話な話は看護婦さんと検査員で処理して「先生」のところまでは上がってこないのでしょうか。
それだったらHARIさんが知らないのも無理はないですね。
【 】(55)については、私の毎日の測定状況では上斜位は、0.5△のものまで含めると、屈折異常を持つ人の2〜3割、
というところで、1△以上の人も数%はいますね。
1△の矯正でも屈折異常が少ない人の場合には眼精疲労緩解に著効をもたらすことがあります。
2△なら複視を訴える人もいます。

それを訴えられても放置している眼科の話もよくあります。

「ユーザー本位の……」のHPにもそういう例が書いてあります。
日頃緻密な斜位の測定をやっている眼鏡技術者なら眼科の粗っぽい屈折検査や眼位検査や
斜位測定の省略には疑問を感じざるを得ません。

一つ実例を挙げておきましょう。
【眼科の眼鏡処方で、単焦点マイナス度数の近見専用眼鏡の指定PDが、遠見PDと同じにしてあるのを見たことがありません。

しかし、
(1)実際にはその場合は遠見PDのままで光学中心を設定して調製する方が、近見PDに合わせて作るよりもベターなのです。
ただし、
(2)遠見PDよりも広く設定するのは、特殊な場合以外は望ましくないのです。
上記の(1)と(2)の理由、および(2)における特殊な場合とはどういう場合か、それを貴眼科のみなさんで考えてみてください。】(63)

【 】(56)については、【梶田医師に直接お尋ねになるのが一番確実です。】(64)
お尋ねになれない理由が何かあるのでしょうか?
私は、尋ねなくてももともと承知のことですから、あらためて尋ねる必要性は何もないわけです。

【57】については、だから言ってるでしょう。へたな眼科処方は患者さんだけでなくメガネ屋にも迷惑なのですよ。

【 】(58)については、その統計には、治療開始前の進行速度は、当然ながら入っていないわけです。
すると、治療をしながらの、ある進行段階におけるある何人かの平均進行速度と、それと似た進行段階のある患者
(あるいは、何人かの患者)に対するある治療方法の進行速度を比べることになるのでしょうが、しかし、個人個人の進行速度が
もともと違うのですから、そんな統計で有意な差が出たとして、個々の患者さんに対してどれだけの説得力があるのかは疑問ですね。
だって、どんな治療しても進む人は進むのですから。

たとえば、私が初期の緑内障になったとして、私の希望のもとに、X年間は治療なしで経過観察だけ、それでもし視野欠損の進行が
あれば、以後のX年間は治療をし、それで、同じX年間でどれだけの違いがあるのかを見れば、少なくとも、ある一人の患者においては
治療による効果はどうだったか、というのは確実な事が言えます。
それでもし「治療をしても進行速度は変わらなかった」となれば、「じゃあ、もう点眼はやめる。点眼薬の副作用の心配がなくなるだけでも
助かる」という人も出てくるでしょう。
【 】(59)に対しては、【ええっ?!9月29日の20時過ぎにそちらに出したメールで私は下記のように書きましたよ。】(65)
+++++++++++++++++++++
私は別に急ぎませんので、先生がもしまだユーザー本位の眼鏡処方を推進する会のHPの全てに目を通していただいていないのでしたら、
それに目を通していただいてから、話を始めた方がよいと思います。
++++++++++++++++++++++
この場合の「急ぎません」というのは、もちろんですが、「議論は急ぎません」ということです。
【それから厚生省ウンヌンと書かれていますが、私は以前にコンタクトのことで、それを患者が望んでCLが適応かどうかを
診てもらう場合の医療費は初めから保険を非適用にすべきとの意見は厚生労働省に申しあげました。
その詳細は日本眼鏡技術研究会雑誌にのせました。】(66)



           
価値観、認識の相違です

HARI
【 】(60)については、【まず,伺ったのは「緻密」の定義です。「緻密な眼鏡処方とは」は聞いておりません.】(67)
【また,タイトルで内容を判断できるほど,特殊な能力を持っていません。まず読んで,魅力のある内容であったら購入します.
怠慢な医者は、こんなやりとりはしませんよ.

自信があるのは良いことでしょうが、それを相手に言葉巧みに強要するのは止めてください。】(68)
【 】(61)については、何回も言っていますが、眼科医に言うことは,眼科学会などで報告しないと。
また,今回の法律論は,厚生省に直接聞いてみてください。

なぜ,これらの件に関する明確な返答がないのでしょうか?

【 】(62)については、これも価値観,認識の相違ですね。これ以上は時間の無駄だと思います.
【 】(63)については、【なるほど,これは興味深い。いろいろ,話してみたいことはありますが、
きっと「本を読んでみてください」になりそうなので、今回は省略します.】(69)

【 】(64)では,【所属とフルネームを教えてください.そこで文献検索をかけてみます。ペーパーになっていないのでしたら,
見る価値は無いかもしれないので,終わりにします.】(70)
それと,統計学について,もう少し学習されてください.同様に,緑内障についても.大きい書店いけば閲覧することはできます.
【 】(65)は、そうだったのですか! 読解力が低いために,ご迷惑をおかけしました。
【 】(66)については、【その回答はいかがでしたか?】(71)
ただ、コンタクトは眼鏡と違って、非常に重篤な合併症も多く,最初からCL不適応の人も居ますから。
眼科医以外がCL診療しているのも問題ですし、訪問販売眼鏡で20〜30万円をぼったくるところもあるし、
世の中,金が絡むと難しいですね。この件も脱線しますから,返答不要です.



岡本
【 】(67)については、???です。
眼鏡処方のクラス分けのところで「緻密」と書いたのですから、その「緻密」は眼鏡処方に決まっているでしょ。
こういうおかしなことをおっしゃるかたと議論するのはイヤになってきます。
それと、HARIさんからの質問で、答える値打ちのない質問だと思ったら答えはしません。
それで、私が逃げたと思うか、変な質問だから答えなかったと思うかは、読者の判断の自由とします。
そのことは、お互い様です。

【 】(68)については、まあ、要するに、HARIさんは眼鏡処方には思い入れはないわけです。
眼科医の99%以上はそうです。読みたくなければ読まなくていいです。
どうせHASRIさんが眼鏡処方をするのではなく検査員のかたがするのでしょうから。
(HARIさん自ら、私にそれを「違法だ」とおっしゃったわけですが)

【 】(69)については、わからないから、そういうふうに逃げるのでしょう。
分かっていれば「どうだ」とばかりにお答えになるのがHARIさんです。
「本で読め」なんて意地悪は言いません。わからないから教えて、とおっしゃれば答えを書きます。

【 】(70)については、9.30の15時台のメールですでに「梶田雅義医師」と書きました。
所属は東京の梶田眼科です。まあ、論文にするほどのこともないことから論文には書いておられないかもしれません。電話で聞けば簡単です。
私らにすれば、白内障術後の上斜位なんてよくあることですがね。

【 】(71)については、そんなもの、決まっているじゃないですか。「ご意見は参考にさせていただきます」という答です。


HARI
判りました。
眼科学会での反応はもっとダイレクトにあると思いますが。
まともな眼科医も少なく無いと思います。
法的な解釈等は聞かれるまでは答えずに、症例報告か統計で術後「上斜位」を述べ、その為に適切でない処方が
多いとの報告は有益だと思いますが?
そこから、眼鏡士の技量が高いと言う事を報告出来るし、ご自身のHPに関するPRにもなりますし。
最後の方で、岡本さんの素顔らしき所を感じる事が出来て良かったです。
お体をお大事に。



岡本
ありがとうございます。HARIさんの正直な所を私は買います。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

          岡本による総括

眼鏡処方に関する問題点としては、大きく分類すれば、次の3つである。

(1)メガネ店の眼鏡処方が低レベルなところが多い。
(2)メガネ店の検査では病気の見逃しがある。
(3)眼科の眼鏡処方も低レベルなところが多い。  

この討論のきっかけ、このうちの(1)と(2)をHARIさんは指摘したことであるが、この( 1)をきっちり改善するのはなかなか難しい。  
なぜならメガネ屋さんというのは本質的に技術者というよりも商売人なので、何に力を入れたら売 上げが伸びるのか、となると、
技術以外のことに力を入れることになりがちなのである。 (2)については、メガネ店の店員は眼科医が受けたような医学の教育を
受けてはいないのだし、病 気の検査をする設備もないし、病気を発見しようという目的とは別の検査(測定)かしない。  
だからメガネの度数を合わせてもらう検査を受けたい人が、目に病気があるのかどうかの疑問を持 つのであれば、あるいは、
メガネの度数処方だけでなく目の病気があればそれも指摘してほしいとい う希望を持つのであれば、その人はメガネ屋ではなく
眼科へ行くべき、というのは日本国民の常識で あると思うし、メガネ店で病気の見逃しがあっても、それは当然のことなのである。
(もともと、メ ガネ店ではそれを見付けるために眼鏡処方のための検査をするのではないから、「見逃し」という表 現も妥当ではないだろう)

もっとも、「視力がなかなか出ない、おかしいな」と思えばたいていのメガネ屋さんは「眼科へ」 と言うものだが、視力が普通に出ていて
別におかしなことをお客さんが言われなければ、隠れた眼疾 患や全身病があったとしても、メガネ屋がそれに気がつかないことは、
当然だとも言える。医師でさ え、病気の見逃しはあるのだから。(仮に、上斜位を「病気」とすれば、眼科での「病気」の見逃しは
日常茶飯事だと言えよう)  

それでも、日本国民の間にそういう「国民の常識」が行き渡っているとは思えない、眼鏡屋での視 力検査はリスクが大きいから
好ましくない、とおっしゃるかたは、広く国民に向けてそういうキャン ペーンをなさればよいことである。(ときどき、散発的に、
その類のことはなされているようだが) それで、キャンペーンの以後、メガネ屋で測ってもらう人が減ったら、その常識を知らなかった人が
多かったということであろうし、減らなかったら、ほとんどの人が元からその常識を持っていたと いうことになろう。  

そして(3)については、眼科の眼鏡処方レベルを上げるのは、構造的に難しい。(それについて は、このHPの別のところで詳しく述べた)
(1)を根本的に改めるには、公的資格化しかないと思うが、いまのところ諸般の事情でそれは無理 。
(それについて詳しくは、http://www.optnet.org/namanokoe/kokkasikaku.html を)  

しかし、(3)は、眼科が「これは眼科でしかできない眼鏡処方だ」と思った眼鏡処方以外の眼鏡 処方をやめれば、ほとんど解決するのである。
これにはナンの制度改革もいらない。眼科が頭の切り替えをするだけでことはすむのである。  これをやめても眼科の保険収入の減少も、
ほとんどない。 これをやめることによる労力と時間の節約を考えたら、眼科の経営にとってもプラスになるはずで ある。  

ただし、ごく一部に存在する「屈折に力を入れている」眼科は、いまのままでよいと思う。  
もっとも、そこが眼鏡処方した際に患者さんを自院と縁の深いメガネ店
(たとえば、その眼科のスタッフや医師の家族などが経営する店)へ強く誘導するのであれば、それは問題だが。

それで、たとえば、これまでメガネと縁が無かった人が、遠くがぼやけてきた、とか、手元の文 字が見えにくくなってきた、
とか言う場合には、まず眼科へ言って、治療すべき疾患があるのかない のか、メガネですむことなのかどうか、ということを診てもらい、
疾患はないとなれば、眼科では眼鏡処方は受けずに、信頼できる眼鏡店でメガネの処方をしてもらう、というのは賢明な方法だと、
私は思うのである。 疲れ目に関して、その原因が眼科ではわからず、メガネ屋でたとえば上斜位のせいだとわかり、
その矯正により疲れ目がすっかり良くなった、ということも、ときどきあるのが現実なのである