事例報告
 
 
 

                 眼科で乱視過矯正の処方箋をもらって

 この記事は、本会にメールで相談をかけてきたKさんからのメールを中心に、本会会員が話をしたものです。

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   コンタクトの処方箋は出さない、と

 K:  T大MOT・F研のKです。
     貴会のHPを拝見させていただきました。
     眼科で検眼をしてもらい、メガネとコンタクトの両方の処方箋をもらおうとしたら、
     「コンタクトは、当院から買ってもらうもののみで処方箋は出さない。」と。
     コンタクトのテストレンズいれて検査もしたのに、です。

     これについては、別に処方箋を出してくれる眼科に行けばいいことだと思い、怒りを収めました。
     たまたま、父の知人であるということもあります。
     例え正当であっても文句つけて人間関係が悪くなるのも嫌でしたので。
     私の場合職業柄パソコンの利用時間が長く、車も運転するので近用と遠用の度数を作ってもらいました。 
     完全矯正の度数から-0.75Dすれば1.33mまではピントがあうハズですので。

     これについては、このことも説明し、意図通りでした。
     ただ、乱視が両目C=2.00と過去の数値よりも強い数値でした。これまではC=1.00程度でしたので。
     C=2.00でメガネ作ってみました。とてもじゃないけどまともに見れないメガネになりました。
     これはおかしいと思い、別途調べてもらおうと思い、ネットで調べて頼みました。
     どこかはいいませんが、検眼に1時間以上かけて色々調べてくれました。

     過去のメガネなども持参し、全部チェックしましたが、やはりC=1.00で、 
     眼科医での処方が間違っているとしか思えませんでした。
     結局、C=2.00で作られたメガネは掛けることなくタンスの肥やしになってます。

     レンズを入れ替えて使おうかと、今色々とレンズの種類を含め、調べています。 
     先程検眼したところは、どこのメーカーのどのレンズを使うのかなど全て公表してくれてますし、
     レンズが入っていた袋も証拠としてくれるところなので。

     私が気になっているのが、眼科が特定のメーカーのコンタクトを値段と共に提示し、
     処方箋は書かないというのが、正当な行為なのか?医師法違反ではないのか?ということと、
     乱視の数値が明らかに違い結局レンズを無駄にしてしまった場合、
     レンズの交換を眼科に請求出来るのか? ということです。

     もうその眼科に行くつもりもありませんし、今後は丁寧に検眼してくれて、レンズの種類、
     性質もきちんと説明してくれる眼鏡屋さんにであったので、しばらくはそちらを頼ろうと思っていますが。
     以上、宜しくお願い致します。

                                  ● 
 永光:眼科で処方箋だけをもらいネットで安く購入する人が増え、それでは眼科は儲からないので、
     処方箋の発行はやめているようです。
     【処方箋だけを発行してくれるのんきな眼科はいないのではないかと思います。】a
     コンタクトを購入したければ眼科より専門店のほうが、
     技術、サービスとも優れていてユーザー本位の接客をしてくれるでしょう。
     ただその場合本物の眼科医が常駐しているお店を選んでください。

     それと、【眼科の検眼は概してレヴェルが低いので、良いメガネを作りたかったら行かない方が賢明です。】b
     そして、医療機関内で物品販売をして余禄を得る行為を恥じないような
     倫理観のない眼科医に文句を言っても徒労です。

     コンタクトレンズの処方箋を出さないということが、不当行為なのか医師法違反なのか、
     私にはにわかに判断できませんが、すくなくともメガネの処方箋を出して、
     その通り作ったメガネの具合についての結果責任は、専門職にある眼科医にありません。
     ですからその尻拭いを「奴隷として眼科医に仕えている」性根のない眼鏡屋に押し付けているわけです。
     それで、親切な方のメガネ屋さんに頼るのが正解と思います。
 
 岡本: Kさんから来たメガネについてのご相談に対する私の考えを書きます。
     方法は、まあ、下記のどちらかでしょう。
      (1)眼科はあきらめて、詳しく測ってくれた店でレンズだけを入れ替えてもらう。
         この場合は、レンズ代金はもちろん余分にかかりますが、よくある解決方法です。
      (2)眼科へかけあいにいく。
          眼科で詳しくこれまでの経緯を説明をし、うまく見える度数の控えも見せるわけです。
          「眼鏡処方箋は眼科医師の権限と責任で発行されるのですよね。だったら、
          そのとおりにメガネを作ってうまく見えないのなら、眼科が責任をとるべきですよね。
          どう、責任をとってもらえるのですか」と尋ねる。

          すると、眼科は、再測定再処方をするでしょうが、
          (おそらく、また検査代金はかかると思います。医療とは、そういうものです)
          レンズ代を眼科で弁償するということはせずに一回目に処方箋でメガネを作った店に
          電話で連絡をして、無料でレンズの入れ替えをしてくれるように頼むでしょう。

          そして、その店は眼科医に憎まれるのはイヤだから
          おそらく無料入れかえを承諾するでしょう。

          そうするとKさんにメガネでご損はないわけですが、
          詳しく測ってくれた店に申し訳ないという気持ちになると思います。
          その場合、その店に行くか電話をするかして
          「今回はこういう事情でおたくには手間だけをかけたけれど、
           眼科で処方箋をもらうことのデメリットがよくわかったので、
           次回からはおたくで測ってもらってメガネを買わせてもらうので、
           今回は、申し訳なかったです。
           詳しくは測ってもらって有り難うございました」

           と言えば、その店の人は快く了解してくれるでしょう。

      万一、眼科が開き直って、「あのときにあんたはこの度数でいいと自分自身で言ったから
      この度数で処方をした。うちに落ち度はない」などと言って、善処を拒むようであれば、
      その旨、当方に言ってくだされば、
      当方からその眼科に公開質問状を出します。

                               ●

 CL技術者A:この相談者がお尋ねのコンタクトの処方箋の件ですが、
         処方箋を切らない眼科は保健所へ訴えられると、保健所と眼科医は対応に困ります。
         つまり正当ではありません。よって仕方なく保健所は発行の指導をせざるをえません。
         コンタクト処方に携わるには専門のスタッフの人件費が必要です。

         しかし検査料金は削減に次ぐ削減で検査料金だけではとても成り立ちません。
         きちんとした検査をするとコンタクト検査料金ではマイナスになります。
         コンタクトレンズとの収入と合算でようやく成り立ちます。
         これは眼科医も業界人も保健所も皆承知していることのようです。

         地域ごとの眼科医師会で「処方箋発行は義務ではない」と申し合わせをされているようです。
         コンタクト処方箋なるものは聞こえは良いですが、ユーザーのエゴ丸出しのものとして
         普通の”良識ある眼科”は嫌います。
         この辺の感覚はCLユーザとは確かに大きくかけ離れていると思います。

         止むを得ず発行する眼科もありますが……
         極めてルーズ(一生懸命にやりたくないのでいい加減)な検査です。
         そしてユーザーもいい加減な方が多いのです。

         2週間のレンズを平気で3ヶ月以上も、ワンデーのレンズを1週間装用し続ける傾向が高いのです。
         眼科に付随する販売店がこうした事へのチェック機関なわけです。
         自由になったユーザーは結局トラブルうを抱えて眼科へ駆け込むことになるようです。 

         それも自分が被害者であるかのように振舞います。
         またそうした(いい加減な)ユーザーは値段で選ぶので
         処方箋規格で最も安いモノをネットで購入される傾向にあります。

         うっとうしいのでレンズの取り扱いを止めた眼科も増えています。
         そうした微妙なバランスの上に成り立っているのが実情です。
         レーシックとコンタクト処方箋は同じレベルで嫌われています。

         時に処方箋発行する眼科は……その分でも患者を欲しがる眼科です。
         眼科で指定された販売店で購入されるかたの安全性は非常に高い。
         また眼科が特定のメーカーを指名するのは安心出来る一流メーカーの信頼できるレンズだからです。
         利益の大きいオリジナルレンズを販売主導するのではありません。
         以上は、眼科擁護派の自己弁護に聞こえるだけでしょうが……。



       みなの思惑がくい違って

 岡本:お話を聞きますと、結局は、業界は売り上げを上げたい、医療の側も損したくないし、
     できればCLで利益を得たい、ユーザーは安全性よりも安く使いたい、
     行政はユーザーからの突き上げ(監督不行き届きという文句)をもらいたくなくて
     しかも医療費を節減したいという、4者の思惑の交錯するところで、
     なんか、妥協的にできあがっているのが、いまの制度のようですね。

     ユーザーも技術面価格面で満足し、医療側も文句が無く、業界もえびす顔、
     行政も医療費の点で心配しなくてよい、なんていう、みながウインウインの制度なんて、絶対に無理でしょう。

     誰かが、何かで辛抱しないといけません。

     では、いまの我が国でコンタクトの処方や販売における制度は、どうあるべきかといえば、
     もしも、業界の売り上げ向上よりも、ユーザーの目の健康を第一に考え、
     医療費財政をムダに使わないという観点で考えれば、眼科でその適応検査だけして
     (それは健康保険を適用しない)、CL店でその適応証明を持ってきた人にだけCLの測定処方販売をする、
     アフターケアーは主としてその販売店でやり、必要な場合には眼科で、というのが、
     ユーザーの目のことを考慮すれば一番良いシステムだ(売り上げ向上はまた別にして)と言えるのでしょうか。

     それで、私が思うに、CLを医療器具だと見なすのがそもそもの間違いで、CLは危険器具だと定義して
     その危険物を取り扱うにはそれなりの公的資格がいって、その資格者がいなければ、
     CLの測定処方販売の店は営業できない、としてしまえばよいわけです。
     CLを医療器具だとみなすからこそ眼科での検査処方ウンヌンから、
     現実的とは言えないおかしな制度になってしまうわけです。

 永光:Kさんからメールで返事が来ました。
                              ●
 K:  了解しました。確かにそうでしょうね。結論としては(1)にしようと思います。
     理由としては、レンズ交換を強いられたら眼鏡屋さんに申し訳ないこと。
     おかしいなと思って2本で5000円と安いメガネで作ったので、ダメージが小さいこと。
     それにその眼鏡屋さんは移転していること。

     レンズのことを色々勉強した今は、多少高くても良いレンズを使いたいという気持ちからです。
     それと、父親の知り合いであるということもあります。その人間関係に悪影響を与えることは避けたいので。

     けどユーザー本位の眼鏡処方を考える会のトップページを見ると、同じようなことが起きているのなら、
     眼鏡は眼鏡屋で作るのがいいのかも知れません。

     千葉県に住んでいるので、大阪まで眼鏡を作るというわけにはいきませんが、
     今後は丁寧に検査し、理由もきちんと教えてくれるところにお世話になろうと思います。

     丁寧な返答ありがとうございました。




   眼科処方に疑問 モニターレンズで比較実験

                              松山市 ・ J.O.

  1995.10.10 当店測定 81歳女性
  遠用 R=0.00
      L=S−0.75

  近用  R=S+2.25
      L=S+1.50

  近見視力はRLともに0.7。
  このときは近用を作製しました。

  2009.6.2 眼科処方にて下記の近用メガネを作製しました。  
      RLともにS+4.00   2009.7.31 

  同上眼科で遠用メガネを勧められて下記処方で作成しました。
      R=(0.8×S+1.00 C+1.00 Ax180)
      L=(0.8×S+0.75 C+1.50 Ax180)  

  私は上記2例の眼科処方に疑問を持っていましたので、来店時に視力測定をさせてもらいましたところ、
  以下の度数になりました。
  2009.11.9 R=  (0.8×S±0.00)
          L=0.7(0.8×S+0.25 C−0.25 Ax105)  近用加入 RLともに3.00D  

  その後、2010.4.27の来店時にセイコーキャスター(RLともに遠用S−0.75加入2.50)の在庫レンズがありましたので、
  室内用メガネとしてモニターしてもらいましたところ、
  テレビや台所仕事などに上記眼科処方のメガネよりもよく見えると言われましたので、
  私は「眼科処方の遠用メガネは使わない方がよいと思います」と言いました。  

  そうするとお客さんも「私は遠用メガネは必要ないので使っておりません」とのことでした。



    白内障手術でやりなおしをされた当店のお客様       アイトピア  岡本隆博
 
   立石益得(たていし よしのり)とおっしゃる税理士の先生で、71歳のかたです。
   (お客さまのご意思により、お名前とご身分を明示しています)

  2006年4月に当店にご来店になり、メガネを作製しました。
  そのときのデータは下記の通りです。

  5m完全矯正
  R=(1.5×S−4.25 C−4.00 Ax80)
  L=(1.2×S−4.25 C−3.75 Ax94) 1△B.O.

  調製度数
  R=S−3.75 C−4.00 Ax80
  L=S−3.75 C−3.75 Ax94

  これは支障なくお使いいただき、
  2ヶ月後に同じ度数でサングラスもお作りさせていただきました。
  2008年1月に、また測定をして遠用眼鏡をお作りしました。

  5m完全矯正
  R=(0.6?×S−4.25 C−3.75 Ax86)
  L=(1.2×S−4.00 C−3.25 Ax94) 1△B.O.
  調製度数
  R=S−3.75 C−3.75 Ax86)
  L=S−3.25 C−3.25 Ax94)

  このときに、右眼の矯正視力が安定しなかったので、眼科受診をお勧めしました。
  それから約1年後の2008年12月に「少し前に右眼の白内障を手術をしたのですが、
  眼科で『もうメガネを作ってもよいです』と言われたので、メガネを作りに来ました」と、来店されました。
  手術のときに若い医師が先輩医師から注意をされながら執刀したことで不安を感じたことや、
  一度目は結果がおかしくてやり直したこと、そして、いまの(前から掛けている)メガネでは見え方が
  たいへん具合が悪いことなどを話されました。

  12.19の完全矯正
  R=(1.5×S−0.50 C−3.75 Ax90
  L=(1.0×S−4.00 C−3.00 Ax90)
      R1.75△BD 18△B.O.


  この上斜位も強度の内斜位も、眼内レンズのズレが原因かもしれないということを申し上げますと、
  眼科ではそういうことについては何も聞いていなかったとおっしゃいましたので、
  私は、眼科では目を左右別々にとらえても両方での共同作用(両眼視機能など)については配慮が
  足りない傾向があることを申し上げました。

  すると「そういうことではいけませんね。今後は眼科にはそのへんのことを勉強してもらわないと」とおっしゃいました。

  そして、右の目の度数については、「左目はいまのところ手術の予定はないので、自分は手術の前に
  『右眼の手術の結果、右眼と左眼とで度数がかなり変わると具合がよくないので、左眼とあまり変わらないような
  近視になるようにしてほしい』と言っておいたのに、そうなっていないのですね」と、ご不満をおっしゃっていました。
  それで、処方度数ですが、複視をなくして一応両眼での融像視をなんとかできる程度のプリズムということと、
  かなりの不同視矯正となってしまうので、右眼で遠見、左眼で近見というモノビジョン的なねらいで下記の度数にしました。
  これだけの不同視では普通の遠近両用は難しいことも申し上げました。

  調製度数
  R=S−0.50 C−3.75 Ax90
  L=S−2.50 C−3.00 Ax90 
    R1.75△B.D. 16△B.O.

  装用テストのときに、「これまでのメガネとは全然違うものですから、すぐにはなじまないかもしれませんが、
  とにかく、ものが一つに見えることを優先するとこうなります」と言ってご了承いただきました。
  約1週間して出来上がった新しいメガネ(レンズのみ入れ換え)でものを見てもらいますと「左のぼやけが気になる」
  とおっしゃいましたが、しばらく様子を見ていただくことにしました。
  すると、その2日後に「左眼のぼけと、クラクラ感が、どうも慣れそうにないし、ものが二つ見える」ということで
  ご来店になりましたので、もう一度測定してみました。
  すると、なんと内斜位が大幅に減っていました。

  12.28 の完全矯正
  R=(1.2×S−0.75 C−3.50 Ax87)
  L=(1.0×S−4.00 C−3.00 Ax92)
    R1.50△B.D. 8△B.O.

  眼の中で眼内レンズの位置が変わったのかな、と思いました。
  それで、左眼のボケを訴えられましたので、左眼もなるべく視力が出るようにし、プリズムも減らして、
  下記度数のレンズに換えました。

  調製度数
  R=S−0.75 C−3.50 Ax87
  L=S−3.50 C−3.00 Ax92 
   R1.50△B.D. 6△B.O.

  とにかく、斜位も変化するような状態ですので、遠近両用も近見専用も作らずに、とりあえずは遠用のみとして、
  パソコンには+1.50の、読書には+2.00のローグラスで近見はとりあえず間に合わせていただくことにしました。

  それで、正月が過ぎた1月6日に御来店になり、前回に御来店のときに、このサイトと日眼研雑誌に
  掲載させていただくためにということでお願いしてあった手記をいただきました。
  なお、見え方としては「じっとしてものを見る分には遠くでも近く(ローグラスを併用)でも問題はないが、
  顔を動かすとまだ少しくらくらする」とのことでした。
  以下は、このたびのことに関する、このかたの手記です。


            白内障手術を受けて

  白内障手術がこんなに大変だとは夢にも思っていませんでした。
  調べたところによると、入院せずに日帰りで10分の手術で終わります。
  また病院・医院によると2泊3日の入院が必要というものなどです。
  ところが私が手術を受けた兵庫医科大学病院は3泊4日で完璧を期す処置が施されることで有名と聞いていました。

  1.手術で不安を感じたこと
    私が手術を受けたのが昨年11月19日。右眼の手術です。
    主治医は30歳(?)ぐらいまでの女医(えらい若い先生やなぁというのが実感)で、
    執刀には先輩の男性医師が立ち会い主治医に指示をだしていました。
    「浅いもっと深くとか右へとか左へ」という声が聞こえてくるんです。
    手術を受けながら大丈夫かなぁと心配になってきました。
    手術時間は30分以上だったように思います。

  2.手術して今ひとつ信頼がおけなかったこと
    翌20日の午前中に別の先生(女医)の診察を受けました。主治医が他の医院に行っているので代診ということでした。
    モニターに映し出された眼球を診ていた医師がループがきちんと入っていないと言ったのです。
    モニターに映し出された瞳の横から黒い紐みたいなものがたれているのです。これをみて私もびっくり。
    再手術をしないといけないと主治医に連絡されました。
    午後に急遽主治医が帰ってきて診察。しかし、再手術は別の男性医師でした。

  3.術後のものの見え方
    術後1ヶ月ぐらいは、ものがはっきり見えなくてもこんなものだろうと大して気にしていませんでした。
    しかし今までの眼鏡でも裸眼でも物が横に二つみえるようになっており、ものすごく肩がこるようになりました。
    手術後1ヶ月が過ぎたら眼鏡を作り直してもよいといわれたのでアイトピアさんに頼みました。
    できたメガネで片方ずつならものすごくよく見えるんです。両眼で見ると物が横に二つ見えます。
    物が一つに見えるようにしてもらうと足元が浮いたようになり、頭がくらくらします。
    結局、眼鏡では補正ができない状態になっているのではないかと疑念をもっています。

  4.気になること
    右眼と左眼の近視の度数に極端な開きがあり、裸眼でのぼやけかたがかなり違うこと。
    これについてはあまり差がないように頼んでいたのですが。

    それに眼内レンズがきちんと入っていない恐れがあるということ。
    左向きではないかと思われることなどです。
    まだ現役で仕事をしていますので仕事にものすごく支障がでてきています。
    さて再手術しないといけないのか主治医でない医師の再診断を受けようと思っています。

               立石益得(たていし よしのり)  71歳
                     (税理士 中小企業診断士 ファイナンシャルプランナー)

    +++++++++++++++++++++++++++++++

    なお、このかたはご自身のブログを公開しておられまして、
    http://blog.goo.ne.jp/y2723t/m/200812
    その中の12月22日(術後はじめてメガネのための検眼をしたあとの時点。
    一回目のメガネができる前)の記事で、下記のように書いておられましたので、ご紹介をさせていただきます。

    ++++++++++++++++++++++++++++++

         眼の手術は失敗だった

   先月の19日に兵庫医大病院で右目の白内障手術を受けて1ヶ月が過ぎました。
   手術後、めがねが合わなくなり、まためがねなしでも物がよく見えない。
   片目ずつだとよく見える?。
   両目だと物がぼやけて見える?。
   ものすごく肩が凝って昼からは目が痛くなることが多くなった。
   字が横に二つ見える。
   病院でもうめがねを作り直していいですよと言われたので行きつけのめがね店に行った。
   このめがね店の社長は、眼鏡士の技術指導をしているベテラン中のベテラン眼鏡士である。
   右目、左目の眼鏡調整をしてもらうと矯正視力はそれぞれが1.5あった。見えすぎや!
   これ 別別に見た場合だ。
   ところが両眼で見ると、物が二つや三つも見える。
   いくら調整しても物がきちんと一つに見えない。
   何のことはない。
   眼内レンズがきちんと入っていず左向き斜位になっていると。
   両目の焦点が合わないようになっているらしい。
   手術をやり直してもらった方がいいですよと言われた。

   19日の手術が失敗でループがきちんと入っていないと、20日の朝の別の医師の診察で言われ、
   20日に急遽再手術。
   大学病院はよい先生がそろっているといわれるが、
   経験の浅い先生の実習の材料にされたのではないかと思えて仕方がない。

   めがね店の社長が、現在私に合うレンズはありません。
   メーカーに頼んで特別のレンズを作ってもらえれば調整できる可能性があると。
   眼科医は白内障の手術で白内障が治ればいいと考えている人がかなりいる。めがねをかける人の両目の焦点が
   合うことを考えて手術をしてくれればいいんだけど。
   めがねやと患者さんが困るんだよねー。
   なんだか無性に腹が立っている。

     ++++++++++++++++++++++++++++

   このあと(1月8日)に、このかたから下記のメールをいただき、すぐに返事をしました。

     +++++++++++++++++++++++++++

   ところで昨日私の行く付けの眼科医から兵庫医大の眼科の講師に直接紹介状を書いてもらい、
   週1回の診察日がきのうでしたので、行ってきました。
   講師の先生はさすがによく知っておられ私の疑問にきちんと答えられました。レンズはきちんと入っており問題はないと。
   ただし右眼は近視の度数が少し弱くなっており像が大きく見えるようになっていると。白内障手術の場合はこういったことが
   起こり、眼鏡での矯正が難しい場合があると。私の場合左の矯正視力を少し弱くすると眼のくらみが和らぐといわれました。
   しかし、完全な矯正は難しいかもと。

   なお、その診察の際に、私の再手術をした医師が呼ばれていました。
   結論は左眼も手術する方が視力矯正にはいいということになりました。
   兵庫医大病院での入院手術はずっと詰まっているので再手術をした医師が他の病院にも勤務しているので
   そちらで2月に手術をすることに一応決まりました。

                                             立石益得

   +++++++++++++++++++++++

   岡本
   眼内レンズがきちんと入っているという、その医師の判断基準は、あくまでも物理的なもので、
   光学的なものまでは含まれていないようです。
   もしも、光学的に正しい位置に収まっていれば、手術前には1△しかなかった内斜位が術後に6△以上に増えていたり、
   前にはなかった1.5△の上下斜位が生じていたりはしないはずですので。
   それで、左の矯正視力を弱くして、くらくら感がましになるかどうかは、一概に言えませんが、
   両眼でものを見た場合に左目でのぼけが気になってしまうこともあります。
   一度テスト枠にテストレンズを入れて、それがどうなのかを見ていただきましょう。
   おひまを見て一度ご来店いただきましたら幸いでございます。
   次の手術までの間だけのことでも、やはりくらくら感は少ない方がよいですので。

   * そうしたら、「左目の手術まではこのままでいくます」とのお返事をいただきました。



                      
 [ML談義]

   川崎で市立病院とオグラメガネの癒着が


 香田 今日の産経新聞神奈川県版のところに、「眼鏡店店員が視力検査−市立川崎病院 白衣着用で営業も」
     という見出しで記事が載っていました。
     昨晩のNHKのラジオの7時のニュースでも報じられていました。(以下に、記事を紹介します)
                                  ○
     
川崎市川崎区の市立川崎病院の眼科外来で、眼鏡業者の店員が20年以上も患者の視力検査をしたり
     病院内で患者から眼鏡受注の営業活動をしていた。市健康福祉局が3日明らかにした。
     市地域医療課によると、眼鏡店チェーン「オグラ」(東京都千代田区)から派遣された店員が、白衣を着て
     外来検査室に入り、視力検査や眼圧検査などをしたほか、看護師らが患者のカルテを店員に渡していたという。
     また、医師が患者の希望者に店員を紹介し、患者が眼鏡を店員に発注していたという。
     病院側は平成18年に視力検査などを行う国家資格の「視能訓練士」を1人臨時採用して検査を担当させたが、
     店員の検査はそのままにしていた。
     19年1月、「川崎病院で紹介された眼鏡の度が合わない」という市民の苦情が市にあった。
     市は同月の立ち入り検査で事態を掌握し、病院に店員の検査中止などを命じた。
     病院は視力検査は認めたものの眼圧検査やカルテ閲覧、眼鏡業者紹介の事実は否定した。
     市は医師法違反容疑などを視野にいれ、病院に対する調査を進めている。

                                   ○
 永光 読売新聞にも載っていました。大筋では同じようですが、細部は若干違いますね。
     まあ、公立の機関でこういうことをしたらいくら釈明してもダメでしょう。
     贈収賄を視野に入れて捜査して欲しいですね。
     それで全国の公立機関からメガネ屋の出張検査員が引き上げれば眼科の屈折検査はさらにレヴェルが
     下がると予想されますが、反面ORTは就職しやすくなってその点では良いのではないでしょうか。
     産経新聞神奈川県版には『19年1月、「川崎病院で紹介された眼鏡の度が合わない」という市民の苦情が
     市にあった。』とありますが、そんな苦情で立ち入り検査をするとは思えません。

     医師法違反に対する競合同業者の告発か、「オグラ」の内部告発ではないでしょうか。
     それともう一つ、この書かれ方では、メガネ屋の出張員が検査しているから度が合わないメガネに
     なってしまった、という印象です。
     いつのまにかメガネ屋が技術の劣る悪者になっており、釈然としません。
     以下に読売新聞の記事を紹介します。
                                ○
     
川崎病院で医師法違反の疑い
        眼鏡店員が眼圧検査か
     川崎市川崎区の市立川崎病院の眼科外来で、民間眼鏡店チェーンの店員が20年以上、患者の視力検査を
     行っていた問題で、川崎市が3日、記者会見し、店員が眼圧検査をした疑いがあることを明らかにした。
     医師法で禁じられている医療行為にあたる可能性があり、市は事実を調査したうえで、同法違反の疑いで
     刑事告発も検討する。
     市によると、眼科外来に出入りしていた眼鏡店チェーン「オグラ」(東京都千代田区)の店員らは、「連絡ノート」
     を作り、引き継ぎに利用。このノートには、カルテに検査結果を記すように指示する文言があったほか、
     眼圧検査を指す「NCT」という用語を使い、検査を指示する記載があった。

     店員はいずれも医療行為をする資格はなく、医師法違反の可能性がある。
     市が今年1月、同病院を立ち入り検査した際、ノートは眼科外来の検査室にあった。
     市は病院から任意提出を受け、参考文書として保存していた。病院は「店員間で使っていた連絡ノート」と
     認めている。病院は、「単純な(視力)検査で医療行為には当たらない」と釈明。
     オグラ営業部は「ノートは破棄し、店員が書いたノートかどうか確認できない」と話した。
     (2007年3月4日3時5分 読売新聞)

                                ○
 岡本 少し前の補聴器の横浜市の公立病院の耳鼻科の袖の下事件のときには、その報道にあわてた、
     公益法人である補聴器の「協会」が緊急に全国の会員店に「ヤバイぞ」通達を出しましたが、
     メガネの「協会」は、おそらく何もしないでしょう。
     この事件の場合、賄賂性はあっても、直接医師に金品がわたった証拠がなければ、その線では
     立件できないのではないでしょうか。
     お手伝い(ただ働き)を、賄賂と認める、ということになるかどうかは、微妙ですが……。
     それで、報道では医師法違反云々と言っていますが、もしも、視力検査や眼鏡処方が医師法17条で
     いうところの医行為であるなら、眼科の中と外の違いはあっても、我々も同じことをしているのですから、
     我々も医師法違反になってもおかしくはないと言えます。

     ただ、この場合、眼科で看護婦やORTなど医師でないものが視力検査や眼鏡処方を行なうのならば、
     医師の指導監督のもとで行わなければならないのだがこのメガネ屋はそれを怠ったからいけないのだ、
     という理屈なのかもしれません。

     そして、おそらくこれは不起訴になり、結局は、人の噂も75日、となってしまうのではないでしょうか。
     でも、オグラメガネや他の眼科に出向している業者には、少しはいいクスリになったかもしれません。
     それから、「単純な視力検査だから医療行為ではない」という主張が通るのであれば「単純な眼圧検査
     だから医療行為ではない」とも言えるでしょう。
     医師法に言う「医行為」とは、最近の判例により「医師が行わなければ危険性があるもの」ということに
     なっていますから。眼圧検査の結果をどう判断するかということは別として、その検査そのものが医師の
     手によらなければ危険なものだと言う人はいないでしょう。

 永光 読売新聞紙上の記事で問題視されてていることは、「店員が市と契約がないまま患者の視力検査をおこ
     なっていた」ことと、「店員が検査結果をカルテに直接記入し、医療行為にあたる眼圧検査を行っていた
     疑い」さらに「病院内で患者の眼鏡を受注する営業活動をしていた」ことです。

 岡本 なるほど。契約をきちんとしていないのが問題だとしても、では契約をしたとしても、店員が行なう視力検査
     自体も問題視されているのですから、どう転んでも悪いようにしかとられないようですね。
     なお、眼圧検査は、看護師やORTもするけれど、彼らは、医師に従属した位置付けであっても、一応は
     公的資格を持っているのだからかまわないという行政の解釈かもしれませんね。
     また、眼科内での業者の営業活動については、公立病院の中でいけないのであれば、民間の病院の
     眼科や個人開業眼科でも、医療法人という公益法人の中でのことになるのですから、
     やはり問題だと言えそうですね。
     でも、これで我が国全体の流れを変えるところまで行くかどうかとなると、ううん……、行けばいいのですが、
     無理なような気もします。

 香田 確かに読売と産経では、細部が異なり、ニュアンスが違いますね。
     苦情の件は読売には入っておらず、産経の書き方だと、おっしゃるとおり、メガネ屋が技術が劣る印象に
     なっていて腹立たしいですね。

 岡本 眼科処方のメガネで困ったことがあるとかの経験がある人でなければ、眼科(医)の方がメガネ屋よりも
     確かな眼鏡処方をしてくれると、思っている人が多いのが実情です。
     当店でそういう話題が出たときに私はお客さんに言います。
     「眼科では眼鏡処方がうまくなっても患者さんの数を増やすことに繋がらないので勉強意欲が湧かないし、
     再処方をした場合でも自腹を切らないの損がなく、一部の例外を除いてはどこも眼鏡処方はうまくないのです。
     レンズや枠のことも詳しく知りません。

     一方メガネ店では、眼科よりも多少は処方技術の善し悪しが損得につながる面があるので、眼科よりも
     上手な店も、けっこうあります。ただ、メガネ店でも処方のうまさが売上げ増につながるということは、
     他の営業面や店作りや品揃えなどに比べると少ないので、低レベルの店の方が多いわけですが」





 
    [ML談義]  遠視の女の子に眼科がとった対応は 

        目薬を渡されて

 ワクワク 14才の中学生の女の子ですが、最近黒板の字が見にくいと言うことで眼科に行き、そこでは、
       遠視だとは言われず、目薬だけ渡され、しばらく様子を見ましょうと言われ、このままでは学校の授業で
       不自由さをきたすということで当店に来られました。
       測ってみると下記のようなデータ−が出ました。
          片眼完全矯正
       RV=0.6(0.8×S+1.50 C−0.50 Ax180)
       LV=0.6(0.7×S+1.00 C−0.75 Ax180)

          検査中特に左の度数が不安定だったために下記の雲霧した度数を30分ほどがけてもらい、
       R=S+2.50 L=S+2.50 
          そこから、両眼で0.6見える度数が下記でしたので
       R=S+2.00  L=S+2.00 BV=(0.6)
          この度を元に ハンフリス法から両眼調節緩解テストで、下記の値を得ました。
       RV=(0.8×S+1.50 C−0.50 Ax180)
       LV=(0.8×S+1.50)               BV=(1.0)
          そしてこの度数で装用テストしたら、すぐにきついと言う反応。それで下記の度数だと気に
          ならないとおっしゃるので、そのままこの度数で眼鏡を作りました。
       R=S+1.00 C−0.50 Ax180
       L=S+1.00 BV=1.0

       眼科が、遠視とは言われないまま、只様子を見ましょうと言ったのは、何か意味があるのでしょうか? 

                                        ●

  岡本 オートレフの値はどうでしたですか。眼科でも当然オートレフをやったでしょう。その結果が、
      もしも弱度近視(乱視も入る)だったのなら、眼科では、オートレフの結果を見て、遠視だとはわからずに
      弱度近視だとみなして、ミドリンなどの点眼でなんとか近視度数が戻るのではないか、と思っている……
      という可能性もありますね。
      メガネを作らせないで点眼の継続で眼科に通わせて保険点数稼ぎを狙っている……のかどうかまでは
      わかりませんが、なかにはそういう眼科もあるかもしれません。
      なお、もうひとつの可能性としては、眼科で「調節(過)緊張」との疑いを持っている、ということもあるの
      ですが、それなら、その場でサイプレなどの調節まひ剤を使っての屈折検査をするはずです。

      もし、眼科でそういう検査がなかったのなら、単なる弱度近視だとみなしたという可能性が高いと思います。
      どちらにしても、眼科で遠視だと分かったのなら、眼鏡処方をすると思いますが……。
      それと、この女子の場合、近見視力はどうだったでしょうか?(『よくわかる眼鏡講座』の下巻をお持ちでしたら、
      P.158〜162をお読みください)
      それと、この眼科が調節まひ剤点眼による屈折検査をしたのかどうかということも知りたいです。
      とにかく、その女子がメガネ屋へ来たのは、その眼科に対する信頼感の不足があるからに相違なく、
      なぜ信頼できなかったのかというと、眼科での説明が足りなかったからではないかと思います。
      北出さんや伊達さんは、このケースについては、どう思われますでしょうか。

      それと、ワクワクさんは今回の一件をその眼科に報告をしておけばいいのではないでしょうか。
      ただ、ワクワクさんは自営ではなく勤務者の身なので、そういう出過ぎたマネはできないかもしれませんね。
      もし「上」にお伺いをたてたら、「上」の人は当然「そんな、眼科を刺激するような
      ことはやめなさい」と言うでしょう。

          オートレフではどう出た?

 伊達  私が思うことはすでに岡本さんが書き込んでおられますので、私の出る幕はありませんが、
      一番思うことはやはりオートレフの値です。
      岡本さんがおっしゃるように、オートレフで軽度の遠視か近視となっていて、それで矯正視力が1.0未満と
      なると、調節麻痺剤点眼後の視力検査を必ずやると思います。
      今回渡された目薬は多分ミドリンMだと思いますが、眼科では1週間くらいの点眼後に再検査を考えて
      おられたのかもしれませんが、次回の診察の予約や予定などは言われなかったのでしょうか?

ワクワク 店でのオートレフの値は、すでにプラスの値が出ていました。(数値は、+0.75前後あたりで、あまりよく
      覚えていません)眼科でのオートレフのことは、聞いておりません。
      今回こちらでは近見視力までは、測っておりません。(すみません)
      ただ、装用テストの段階で新聞など見せて違和感や見にくくないかということのチェックはしました。
      調節まひ剤の件は、女の子に「眼がまぶしくなるような目薬は、さされなかった?」と聞いたら
      「いいえ」とのことでした。

      調節まひ剤点眼による屈折検査は、おそらくされていないと思います。
      今度眼鏡のお渡し時にもう一度詳しく聞いてみます。

 岡本  そちらのオートレフで遠視だったのなら眼科のオートレフでもプラスが出ていたのではないか、と思うと、
      そうであるならば、まずは、調節まひ剤での屈折検査がなされるべきだったと思います。
      でも、ワクワクさんは両眼開放でうまくやってけっこうな遠視の度数を出されたのですから、結果としては、
      よかったとも言えます。

      それにしても、矯正視力が不充分という点が残っていますから、まだ、この眼の状態の全貌はつかめて
      いないという可能性があるわけで、子供の眼に精通している眼科がそちらにあれば、その眼科に行って
      もらったらよいのですけどね。

 北出  その眼科では、中学生くらいだと調節力が充分にあると考えて、弱度の遠視のときに(それもちゃんと
      測らないと分からないのですが)すぐに処方しようとしないのでしょう。
      主訴があることから考えて、このようなかたには眼鏡処方をしてあげるべきなのですが、研修医のときに
      「こういう場合は様子を見ましょうと言いなさい」と教わったのかもしれません。

 岡本  中高校生の遠視を放置すると、近業の持続困難(不快)→ 勉強嫌い → 遊び好き・非行化、ということに
      陥ることもあるそうですが、眼科医はそういうことも考えないでしょう。
      とにかく、遠視とわかれば、早急に屈折矯正にとりかかるべきでしょうし、この場合には特に裸眼視力の
      低下が生じている遠視ですので、「様子を見ましょう」はいただけませんね。

 北出  あるORTの先生にお聞きしたのですが、非行に走る子供の90%に何らかの視機能の問題があるそうです。
      最低でも主訴の原因が何なのか、つきとめて、何とかしないといけないでしょうね。医師なのですから。
      その中学生はワクワクさんにしっかりと検査をして貰えてよかったですね。
      ワクワクさん、またその方のその後の様子など教えてください。

 岡本  もう20年くらい前に、遠視の少年に非行に走る子が多いというのを書いた本がありまして、
      (いまその本を探しても見あたらないのですが)池田某という著者のメガネ屋さんは少年院まで行って
      それを確認したそうです。

              次回の検査日も言われずに

ワクワク 本日眼鏡を受け取りに来られ、改めてま尋ねたのですが、眼科の方でもオートレフと視力検査と目の前に
      レンズはあてられたけど、それで特に何も言われなかったそうです。
      次回の診察の予約はなかったのですか?と聞いたら、特にいつ来てくださいといういことではなく、
      目薬がなくなった頃に来てくださいということだったそうで、それで自分で3週間ぐらい様子を見ていたそうです。

 岡本 視力が出にくいというこの状況で、点眼薬を渡していながら、次回の来院日を言っていないというのは、
      いささか無責任な感じですね。

 伊達 過矯正でも何でも視力が1.0出ていればいいのですが、視力の出が悪いのに放置するかのような対応は、
      まったく無責任だと感じます。

ワクワク はい、患者さんに対して不親切ですね。

 岡本 14歳の女の子には、メガネの常用を勧められたと思いますが、それによる各眼の矯正視力の回復を確認したい
     ところです。ワクワクさんは、次回またいつ頃来て下さいとかいうことはおっしゃいましたでしょうか。
     この年齢でしたら眼鏡による矯正視力がいまよりもずっと良くなるのは案外早いのではないかと思うのです。
     矯正視力が良くなるまで、毎月1回でも来てもらったらよいのではないでしょうか。
     それで、何か結果が出ればまた教えてください。

ワクワク 本日電話で眼鏡の使いごこちを聞きました。
      黒板の字も見やすく、教科書の本も楽に見えるようになったという事でした。
      それで私は、近視と違って、普段から掛けてあげた方が眼に負担をかけずに見える眼鏡だから、
      なるべく、いつも掛けといて下さいといったのですが、年頃なので守ってくれるかどうかが心配です。  



           [座談会]
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   去年の夏から左眼が異常に疲れて
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  眼科処方の眼鏡は効果なし

 林 眼科処方で遠近累進と近用眼鏡を作り、ご不満だったお客様のご報告です。
    Uさん(59歳)とおっしゃるお客さまが、下記のワープロ文書を持参されました。
----------------------------------------------------
  私のメガネの選択に関する経緯
   1.1999年に遠近両用メガネを購入し、2005年になるまで問題なく使っていた。
   2.2005年7月頃から朝会社に出勤し自席に到着すると、左の目が異常に疲れているという現象が出てきた。
      (今考えると朝通勤電車に中で新聞や本を30分程度読んでいたのが原因かもしれない)。
   3.8月中頃に眼科に行き、現状よりも遠方が少し弱いレンズのメガネに変更するように推奨され、
     そうした(8月30日引渡し)。 しかし、その後も左目が疲れるという現象はほとんど変わらなかった。
     なお、歩いていてゆれを感じることはなかった(歩くのに支障はなし)。
   4.眼科から3ヶ月後に状況を調べるために来院するようにと言われていたため、11月29日に眼科に行く。
     事前に看護士から視力を調べられるが、依然として目が疲れることを訴える。
     種々レンズを換えながらの検査があり、看護士からどうするかと問われる。
     中近、近近、手元メガネなどがあるとの説明。
     それらの違いの説明があったものの、私が納得出来るような説明ではなかったが、
     手元メガネに決め当日のうちにメガネを作った。
   5.その後、使用してみると仕事中に机の書類を見る時は良いが、パソコンを見る時は良く見えないことに気づく。
     そのため、そのメガネをかけた時は、少し前に乗り出すような姿勢をとっている。
     本や書類を長時間見るときは、もう1つのメガネ(遠近)よりも格段に見やすく、眼が疲れない。
     手元メガネをして床に広げた新聞を見ると手元の記事は良いが少し離れた記事は読みづらい。

  ※このようなメガネを作りたい※
   1.仕事(ほとんどオフィスでの仕事)で最適なメガネを作りたい。
     特に見たりパソコンを使う時間が多い。時には書類を20分とか30分とか見ることもある。
     また、ときどき会議があるが、それは少し遠   方の人や白板を見ることがあるので、その時も
     使えるメガネにしたい。
     印刷要求してプリンターのところに歩いていく時は、事務所全体の様子が見えるのが望ましい。
   2.見る距離は次の通り(良く見えて欲しい重要度は上から順)
     1)パソコン画面を見る時:62〜72cm
     2)机の上の書類を見る時:37cm
     3)会議中の他人や白板まで:1〜5m
     4)オフィス内を歩く時:2〜20m
   3.御社のWebサイト「遠近両用累進屈折力レンズ」を見させていただいたところでは、
     中近両用レンズが自分の希望にあった効果があがるのかなと思います。
             2007年1月17日 U
------------------------------------------------------
   上記のUさんのご要望を踏まえて検眼してみました。
     現在眼鏡(昨年8月13日眼科処方)
    遠近両用眼鏡
      R S−1.00           Add1.75
      L S−2.00 C−0.50 Ax30  Add1.75
      OCD63
      レンズ名 HOYA GP16S−H
    近用眼鏡(11月29日眼科処方)
      R S+0.50
      L S−0.50 C−0.75 Ax30 PD59
    自覚的屈折検査
      R=(1.0×S−1.00)
      L=(1.0×S−2.00 1.5△B.UP)
        PD R=31.5 L=30.0
     +1.75加入での近点が20cm、
     +1.00加入で60cmでR=Gとなり、70cmの視距離でも文字がハッキリ見えるとのお答えでした。
    上記度数に+1.75加入で遠近累進と中近を比較してもらいましたが、パソコン画面と近見はあまり変わらず、
    どちらも現在眼鏡より見やすくなるとのお答えでした。
    中近は遠くがボヤけるので、遠近累進のほうがよいということでした。
    去年の7月までは、遠近累進でパソコンも具合が良かったことから、遠近累進でレンズ交換することになりました。

    処方度数
      R=(1.0×S−1.00 0.75△B.D. Add1.75)
      L=(1.0×S−2.00 0.75△B.U. Add1.75)
        PD R31.5 L30.0
      レンズ ホヤ GP1.6S−H
     【見えにくさの一番の原因は上斜位と思われ、その他にも現在眼鏡には広すぎるOCDと、
      開散気味のレンズ加工も見えにくさや疲れの原因になっているように思われます。】A

   そのうちに上斜位がなくなるかも

  岡本 貴重な事例をありがとうございました。林さんの測定処方技術の確かさが如実に感じられます。
      そして、眼科で上斜位(上斜視、ではない)についての知識がなく、その測定もできないところが
      多いことがこういう結果を生むのでしょうネ。
      この人、ある時期突然に、複視が起きるよりも少し弱めの、一番困る上斜位になったようですが、
      これは寝違いによる頸椎の歪みが原因かもしれません。
      しかし、それならたいていは、一過性なのですが、それ以来ずっと続いているという点が珍しいように思います。
      こういう「ある時期突然」というものであれば、またそのうちに上斜位がなくなるかもしれません。
      そうなったら、いまのメガネがまたしんどくなるでしょう。
      当然そのことはお客さまに、言っておかれたと思いますが、お客さまにとっては、
      先のことは神様以外にはわからないから、とりあえず、いま楽にならないと……、
      という気持ちになるのは当然ですから、それはご承知の上でメガネをご注文になられたのだと思います。
      それで、このかたの場合、この年齢で近視低矯正ではない遠近累進でパソコン画面もOKとなったのは、
        ・パソコン画面の高さが低めで、見下ろす感じで見る。
        ・パソコン画面の高さは低くないが、画面が大きめで視距離が長い。
     上記のどちらかだと思います。どちらだったのでしょうか?
  永光 【 】Aについては、私もそう想像します。
      今月来店された50才の女性(教師)は、普段はコンタクトレンズで過しておられますが、
      帰宅して眼を休ませる時の眼鏡が欲しいと言われ、検査すると3△の上斜位でした。
      「時々夕方など遠方の視界が霞んだり、にじんだりしませんか?」
      「また字を読んでいて行を飛ばしていたり、疲れたりしませんか?」
      と尋ねると、思い当たるとのことでした。
      このかたは近視ですが、遠用度数を、0.50D弱めて近用加入度数を1.50Dにし、右2.0△BUで
      遠近累進を試してみました。
      感想は、すべてのものが綺麗に見えて気持ちが良いとのことで、日頃からどうも眼の調子が悪くて
      おかしいと感じていたが、原因がこの上斜位にあると納得できた、と言われました。

      それから、眼科では上斜位の検査はまずやらないようです。
      それどころか、患者が使用しているメガネの度数にプリズムが処方されていることすら分らないようです。
      あるいは分っていても無視するようです。

      昨年末に眼科処方を持ってこられた当店のお客さまは、6△B.O.の遠近累進を常用していますが、
      その処方箋には勿論プリズムは入っていませんでした。
      おまけに今回の原さんの検査結果と同じようもので、眼科処方では右眼に0.50の乱視が入って
      いましたが、どう検査しても乱視は無くて、入れるとかえってボケるとのことでした。

      加えて左眼にはあるべき乱視はなく、オーレフだけに頼っていると思われる単眼検査もおそまつと
      いわざるをえません。このかたの場合、プリズムを入れないと複視になりますので、眼科では両眼
      の見え方がどうかなどは確認していないし、また複視を訴えても「そのうち慣れます」とか言って
      ごまかすのが通例のようです。

      それで林さんにお尋ねしますが、これまで眼科処方でプリズム処方をされたものをご覧になった
      ことはありますか?

   林  (岡本さんに)このかたの場合、また変わるかもしれないので、使っていないフレームに一番安い
      CRの累進レンズをお勧めしましたが、56□16の大きめのチタノスでしたので、厚みも気にされて
      1.6累進にされました。
      それと、パソコン画面の見方ですが、Uさんは180cm以上の背の高いかたで、腕も長く、
      ノートパソコンを使用しておられます。ですから、「パソコン画面の高さが低めで、見下ろす感じで見る」
      のと、「視距離が長いため」の両方の要素があります。
      (永光さんに)まったく永光さんのおっしゃる通りで、眼科の処方箋でプリズム処方は、斜視以外に
      はほとんど見たことがありません、数年に一回くらいです。

      当店処方でプリズム入りの眼鏡を使用しているかたが、たまたま眼科で処方箋を書いてもらった時
      なども、ほとんどの場合プリズム処方はされませんので、必要と感じる場合は、こちらでプリズム処方
      をしてしまいます。
      プリズム処方の必要な上斜位があって眼科で眼精疲労や複視を訴えた場合でも、斜位には思いが
      至らずに「そのうち慣れます」「様子を見てください」ですませてしまう眼科が多いようですので。

      当方で斜位の検査をしてプリズム処方をしたお客さんに聞きますと、みなさん「こんな検査はしません
      でした」とおっしゃいます。
      また、今日ご来店の別のお客さんですが、最近近方が少々見えにくくなり、眼科で測ってもらったら
      「斜視のようです」と言われて、「様子を見てください」と言われて処方箋は書いてもらわなかったと
      のことでした。
      それで当方で検査をしましたら、弱度の近視で、1〜2△程度の外斜位があり、十字やワースでも抑制
      は見られず、偏光の両眼開放屈折検査でも抑制は全く起きませんでした。

      眼科のかたは、そのお客さんの外見を見て斜視と言われたそうです。
      しかし、そのかたはお顔が細いわりにはPDが広めで目が離れているように見えるのですが、
      カバーテストをやっても少々外斜位の動きをするだけです。
      眼科の人が外見だけで外斜視だと勘違いされたのか、あるいはカバーテストの結果、
      外斜位とおっしゃたのをお客さんが斜視と聞かれたのかわかりませんが、とにかくその眼科のかたが
      よくわかっていないのは事実のようです。

      いささかおそまつな話ですが、眼科の処方箋ではちょっと不安になることが時々あります。

    眼科処方にP付きは僅少

  永光 当方で、過去に眼科処方でプリズム処方があったのは、当店のお客さまで既にプリズム入りのメガネを
      常用している人がもらってくるものだけです。
      新規のお客さまでプリズム入りの眼科処方をもってこられたかたは、いまだ私の記憶にありません。
      大半の眼科では斜位検査の必要性も感じておらず、その能力もないのでしょう。
      あるいは、能力があってもやらないとなれば、これは背信行為です。それでは患者さんの眼の健康に
      対して適切に対処できているとは言えません。
      それなのに「処方箋どおり作っていない」などと言う眼科もあります。
      ときには「乱視は度数を半分にして入れることになっている」と、言ったりします。
      そんなのは場合によるわけですが、いつだれがそんなことを決めたのか……、
      ORTの世界ではそんな取り決めがあるのでしょうか。
  北出 「複視」で検索すると、ネット医科大学というQ&Aサイトで、このようなページがありました。
      http://health.nifty.com/cs/catalog/idai_qa/catalog_050803002073_1.htm
       ***********
      複視の原因が分からず困っています。(その2)

  相談: (36歳 男性)
      返事ありがとうございます。未だに症状は変わらない状態ですが、複視はどちらか片目に
      すると正常にみえます。どちらの目をふさいでも片目にすると正常に見えます。
      眼科では左の動きが悪いといわれました。
      病名は何もいわれてません。はじめに眼科にいき、神経内科にまわされましたが、
      どちらとも病名は言われず、検査だけして診察してもらっていました。
      一応来週、薬がきれるので病院に行く予定です。
      先生にどんな事を聞けばいいのか、とも考えています。
  回答:眼科 教授 
      これは両眼性の複視です。どちらか一方の目の神経がおかしくなっており、その為左右の目を
      共同で同じところが見られないために起こっている症状です。
      一番考えられるのが、滑車神経麻痺でしょう。
      これは、麻痺のある目の反対側(健側)に首をかしげる事で複視が軽減するか、
      解消するかで診断できます。自分でやってみて下さい。

      首をかしげても治らない場合、動顔神経麻痺か外転神経麻痺を考えます。
      いずれにしても、脳の神経の病気ですから治すのに少し時間がかかると思ってください。
      【ストレスなく生活をする事が必要と考えます。】B お大事に。
         ************
  北出 【複視の原因を調べることも必要でしょうが、とりあえず複視を解消することもやらなければならないことです。】C
      複視によって生活が困難になってしまうことや精神的におかしくなってしまうこともあるのですから。
      そういう人は非常に多いのではないでしょうか。
      視覚機能研究会のページで皆さんの事例を紹介できたことは良かったと思います。
      これからも積極的に情報を発信していきます。

  永光 【 】Cは、まったくそのとおりです。
      プリズム入りのメガネで患者の不満が解消できるなら、これこそ安全無害で、身体に対する侵襲もなく、
      副作用があるかもしれない薬剤を使用するより、即効性のある対処法です。
      回答者はその原因をいろいろ述べるだけでなく、早急に不具合を取り除く施策をとるべきです。
      「お大事に」だけでは、まるで他人事で、なにをか言わんやです。

  岡本 【 】Bに対しては「そんなこと、誰でも言えるけど、それができたら苦労はない。
      あなたはどうなのですか?」と言いたいです。                         



   [体験談]  商売本位で、どんどんメガネを勧める眼科医師

    東京都府中市 日本メガネ 塚本満

    弊社隣町にありますW店(某大手眼鏡店のフランチャイズ店)の商売の仕方が余りにも消費者の
   気持ちを裏切るやりかたで、目に余るものであり、その被害を受けるかたが多いのです。

    そのW店は眼科医師とガッチリ手を組み、それはもう聞くに耐えない状態です。お陰で当店は、
   今ではその町の医師から名指しで「日本メガネでは買うな……」と約3人の医師から嫌われている次第です。
   その眼鏡店、W店の行為は、実際今でも堂々と行なわれている有るまじき行為ですので、以下に具体例を
   あげて御報告させて頂きます。

    私の店の2つ駅向こうにW店が御座います。
   この町には眼科が割と多く、6〜7ヶ所ございます。その95%がW店の息がかかっております。
   (毎月のリベートが凄そうですが……)
   W店には店員が沢山います。すなわち眼科に入り込み患者さんを検眼しているのです。
   当然殆どの患者さんはそこでメガネを作らせられるのです。

    あるちょっとした事件がありました。
   古くから御家族で当店の最高顧客として10年以上もお付き合いさせて頂いているA様がWの息の
   かかった眼科に白内障の診察を受けに行かれました。
       医師「貴女、メガネを作りなさい!今のメガネでは眼を悪くするワ!」
       A様「私はメガネを作りに来たんじゃないんです。それに最近日本メガネさんで作って頂いたばかりだし、
           調子が悪い訳でもありません。作るにしても日本メガネさん以外では作るつもりはありません。」
       医師「……あっそう!じゃもういいわ」
       A様「ハァ? 何ですかそれは。先生はW店で作らない患者にはそんな態度何ですか! 
          息子に相談します。サヨナラ……」

     そのかたは翌日当店にワザワザそのことを御報告に来て下さいました。
     80代のご高齢で悪く自転車も乗れないかたです。
       A様「これこれこういう事があったのよ。私悔しくて悔しくて。
          私は信用している貴方からメガネを作りたいの。
          あそこの医師は日本メガネの名前を出したら豹変したワ! 
          息子が文句を言いに行くそうなの……でも止めたワ。
          だって貴方に迷惑がかかるんじゃないかって思ったから……」

       私はそれを聞いてその場で泣きました。

     お客様の前で泣いたのは初めてです。痛い足を引き摺りながらも坂を上がってワザワザ報告に
     来てくださる……もう私は感動と怒りで泣き崩れました。

     その町の違う別の眼科にその息子さんが行きました。全く同じ内容でケンカして帰って来られました。
     上記の話は特別なものではなく、私は既に数え切れない報告をお得意様から受けております。

   まだまだあります。昨年の事です。
   B様がその町の眼科に充血で診察を受けに行かれた時の事です。
       C医師「貴方、どこでメガネを作っているの?」
       B様「日本メガネさんですが……」
       C医師「あ〜、だからかな?」
       B様「私の充血はメガネのせいなのですか?」
       C医師「ん〜そうかもネ、メガネを作り変えて見たら直るかもネ」
       B様「……帰らせて頂きます」

    実はこのあとまだ続きがあるのです。
    このかたは私が薦めた少し遠い眼科で再度診察を受けました。網膜剥離及び緑内障で即手術でした。
    C医師は、ロクに診察もしないで(出来ない)メガネを売る事ばかりが頭にある医師なのです。
    昨年だけで私の手帳には13件の診察ミスがあります。その町の眼科ではなんともないと言われ、
    私がどうしても納得出来ないので、少し遠い眼科に紹介状を書いて再診してもらったところ、
    実は即治療または手術を要すると診断を受けたかたが13人ですよ!

    これでは適当に患者を扱っているとしか言いようがございません。医師が商売をするなんて寒気がします。
    しかも、弱い立場の患者さんを相手にしてですから、これは許せないと思います。
    私は今までこの現状を自分なりに把握し、相手に届かない抗議をしていました。
    今後、私自身が一刻も早く力をつけ、自分の町を救いたい気持ちで胸が詰まります。

  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  永光 貴重なご体験を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
      私のこれまでの体験では、この患者さんのように医者に対してはっきりモノをいうかたは珍しいと思います。
      ほとんどの人は医者のご機嫌をそこねてはいけないと考えて、不承不承言われるままになり、
      その結果不幸な事態を招いてしまいます。

      「ユーザー本位の眼鏡処方」を推進すればお客さま、眼鏡店、眼科が三位一体で幸せになるのですが、
      拝金主義の医者が権威を振りかざすと、患者と真面目なメガネ屋はそろって不幸になります。
      私も塚本さんと似たような環境で、周囲の眼科のブラックリストに載っていて、廻状も出まわっている
      のではないかと想像します。
      あの店は、眼科処方を勝手に変えてメガネを作るフトドキな店だ、と。



   [ML対談] このくらいでガマンしろ、と言った眼科医

     
「みんなガマンしている」と

  永光 Kさん、52歳、男性の話です。
      一ヶ月ほど前に作ったメガネの見え具合がどうも芳しくないからということで眼科に行き、
      もっとよく見えるようなメガネがないかと相談したら、先生みずから検眼して、
      「度数はこれで合っている、このくらいでガマンしろ、みんなそうしている」と言われ、
      こりゃダメだと思って、当店に来られました。
      このかたは営業職で、日中ほとんど運転ばかりしている人です。
      その眼科医に合っていると言われた、ご持参のメガネの度数は
            R=(S+1.00 C−0.50 Ax2)
            L=(S+1.00 C−0.25 Ax41)……(1)
      当店処方
            R=(1.2×S+1.75 C−0.50 Ax40)
            L=(2.0×S+1.75 C−0.50 Ax90) ……(2)
      このメガネを掛けたKさんは、私の眼でも見えない遠くの看板の字を読んで、「良くみえるようになった」
      と満足されていました。
      またこの眼科医は、当店に来られる中高年のかたのなかで最も良い視力の出る(左右とも2.0)
      75才のご婦人に対して「あなたは白内障のケがあるから月一回来院し、目薬を1日4回さしなさい」
      と言ったそうです。

      そのかたは「自覚症状も無いし、メガネでよく見えるし、そんな面倒なことはしたくないし」と
      悩んでおられました。儲けにならない仕事はおざなりで、儲けになりそうな事には医者の権威で
      病気にして、人心に不安を与える、そういった拝金主義の眼科医がいるのは嘆かわしいことです。
                                    ○
  岡本 前の眼鏡店で調製された(1)のメガネは、どのような理由でこの度数になったのかということについて、
      永光さんのご推察をお聞かせいただけませんでしょうか。(乱視軸は、処方ではRは180度、Lは40度でしょう)
      それと、この(2)の度数は、5mでの完全矯正値でしょうか。そうではないのでしょうか。
      すなわち、このかたの場合、5mでの完全矯正と、遠くの看板をもっとも鮮明に見える度数は
      一致したのでしょうか。それとも前者の方が0.25D分プラス側だったのでしょうか。

      それから、そのご婦人に対して永光さんはどういうアドバイスをなさったのでしょうか。
      「そんな目薬はやめて尿点眼にしては?」とはおっしゃらなかったでしょうけれど……。(^_^)

  永光 (1)のメガネは、この男性が7、8年程前に作ったメガネの度数をそのままコピーしてもらったものだそうです。
      それから、(2)の度数は5mでの完全矯正値です。遠視系の人の場合、私は必ず5mの完全矯正値を
      もとに30m先の看板の字をみてもらい、−0.25Dを負荷して見え具合を比べてもらいます。
      このかたは特に運転中に遠くが見にくいという訴えがありましたので、それはおこたりなくやりましたが、
      5m完全矯正値に−0.25Dを負荷しても変わらないという返答でした。

      この比較では、たいていのかたは「−0.25Dを負荷した方が見え方がくっきりする」とおっしゃいますが、
      たまに、このかたのように「変わりがない」とおっしゃるかたもおられます。
      次に、この75歳のご婦人の水晶体を直像鏡で観察しましたが、20代の娘のように綺麗です。
      年配のかたでも時折こういった眼をお持ちの場合があります。私の母は白内障の典型的な濁りが
      ありますが、眼科医は「たいしたことはない」と言うようです。 反対にどう見てもなんにもないと思われる
      眼を「白内障だ」と診断する眼科医もいるようです。もっとも、私は眼科医でないので詳しくはわかりませんが。

      私はこのご婦人には「自覚症状もなく、不自由も感じておられないのに毎月眼科に行き、時間と金を使い、
      不必要と思われる薬剤を摂取するのは感心しませんが……」と申し上げておきました。
      どうされるかはその方の判断です。

         なぜこの低矯正がわからなかった?

  岡本 (1)のメガネはそういうものでしたか。永光さんのおっしゃりようでは、最近測って作ったメガネのように
      受け取れたのですが……。
      そういうことであれば、あの度数は、測った当時では丁度良い度数だったのでしょう。
      本人が7〜8年とおっしゃったのであれば、もう10年くらいたっているのかもしれませんし。
      もしあれが最近測ったものであれば、オートレフで得た値をほとんどそのままに作った、
      ということなら、あの度数もあり得るかな、と思ったのです。オートレフはほとんどの場合片眼遮蔽ですから、
      老視があっても、調節が介入して、あの度数になったのかなと、私は推測したわけです。

      それで永光さん、この(1)の度数で合っていると言った眼科医は、なぜこんなに明白な低矯正が
      わからなかったのでしょうか。(質問1)

      それと、永光さんもなさっている、5mと30mの違いのチェックは、遠方視力の良い人や遠方視力を
      要求する人の場合、たしかに大事ですね。
      もちろん、5mの値で決めて何ら問題ない人もいるわけですが、とにかく、老人性遠視の人における
      この0.25.Dは、遠視系のシニアメガネの処方における、永遠の課題の一つだと言えるのではないでしょうか。

  永光 質問1については、眼科処方では遠視はおおむね低矯正となっていることが多いようです。
      遠視眼はじっくり時間をかけて検査しないとホントの値がすぐには出てこないことも多いと思います。
      そんなに時間をかけられないのでしょう。
      また、中には、乱視は最初から完全矯正値の半分にすることになっている、という眼科もあります。

  岡本 質問1に関する私の推測としては、前眼鏡で(調節により)けっこう良い視力が出たということも、
      当然あるのでしょうが、この医師は、
      ・オートレフで、現在眼鏡に近い値が出た。(片眼遮蔽なので調節が入っていた)
      ・遠視の自覚測定を片眼遮蔽のみで行ない、その際に単眼検査であったがための調節の介入があって、
       遠視が弱めに出て、両眼調節バランステストも両眼調節緩解テストも行なわなかった。
       (この場合は特に両眼調節緩解テストが大事)

      というようなことで、こんなに低矯正の値なのに「これでよい」と見なしてしまったのではないかな……
      と推測をする次第です。
      しかし、眼科の処方箋では、逆に、老人性遠視で、低矯正ではなく、5m完全矯正となっており、
      遠くをハッキリ見るための遠方視のチェックをしないままの、遠方に対しては過矯正の処方度数と
      なっていることも、往々にしてあります。

      いずれにしても、屈折矯正というものを、しっかりと勉強してマジメに細かく考えて、
      真剣に患者さんの身になって取り組んでいる眼科スタッフは少ないでしょう。ですから、
      少なくとも眼鏡処方に関しては眼科のスタッフは手出しをせずに、本会の会員のような優秀な
      眼鏡技術者に任せている眼科というのは、まだマシだと思います。            



     [検眼談議] 眼科はもっと患者さんの身になって

    5分の近業で眼が疲れる

   ●岡本 
    インターネットの「あそう眼科の相談掲示板」

    http://doctor-navi.com/sos/net-doctor/rental-boad/gb.cgi?room=asou
    に下記のようなやりとりがありました。

   ●遠視 相談日:2005/09/19(月) 16:25  [愛知県]
    22歳、女です。5年ほど前からですが、文字を読み始めて5分程たつと見づらく、非常に辛いです。
    家の近くの眼科に午前中に診てもらったところ、軽い遠視だけどひどくはないからその都度目を休めること、
    と言われました。

    しかし、目の検査をする前は待ち時間で、近くのものを見ていなくてそれほど目が疲れていなかった
    からだと思います。遠視というのは朝起きたときから近くが見えないことだけでしょうか?
    私のように、近くのものが少し時間が経ってから見づらくなるのは遠視じゃないのでしょうか?
    今度他の眼科に診てもらおうと思うのですが、そのときはわざと目を疲れさせてから検査を
    受けたほうがいいのでしょうか?

    【回答】
    近くを見続けると疲れやすいのは、遠視や乱視の人で多い症状です。
    メガネなどで矯正すると楽になる可能性があります。
    眼科受診のために目を疲れさせる必要はないと思います。
    [アドバイザー: あそう眼科 http://www.asou.or.jp]

     +++++++++++++++++

   ●岡本 
    この女性が行った眼科に「もっと患者の身になって対処しなくちゃ!」と言ってやりたいです。
    「近業5分でつらくなる」と言っているのに、「その都度眼を休めること」なんて、冗談もいい加減にしなさい、
    と言いたいです。 おそらく眼位や輻輳力なども検査していないのでしょう。
    この眼科で検出した遠視の度数も、実際よりも少なめなのではないでしょうか。 
    こういう人にはオートレフなんてまるっきり当てにならないし、自覚でも両眼開放をやらないといけません。
    ホント、眼科は眼の病気にしか関心がないのですね。
    「この患者は眼疾患ではないので今後引っ張れるわけではない。
    まあ、一回の検査で保険点数を稼いだらそれでおしまい」という認識なのでしょうか。 

   ●永光 
    私はこの例に限らず調節性眼精疲労のことで眼科に適切な対処を求めても無理と思っています。 
    眼鏡処方においても適切な対応ができない構造的な欠陥が土台にありますから、患者の身になって
    親切にできるわけはないのです。特に中高年齢者は冷遇されていると思います。 
    私は、この隙間を埋める役目がメガネ屋にあると考えています。お客さまの眼になって視生活を改善し、
    体調の不良を取り除くことのできるメガネを提供する役目です。 そしてメガネに何ができるのかを
    もっと積極的にPRするべきではないかと考えています。 

   ●岡本 
    このかたは22歳ですが、5分の近業でもしんどいということですから、きっちりと両眼開放で測れば
    おそらく1D前後かそれ以上の遠視があるのではないかと思います。 調節力や眼位、輻輳力なども、
    どうだかわかりませんが、年齢からして遠視を全矯正すれば、(矯正が必要な斜位があればそれも矯正して)
    長時間の連続的な近業でもできそうな気がします。 この眼科の見立て違いの第1は、オートレフの値に
    惑わされて遠視の値を実際よりもかなり弱く見たことではないでしょうか。 
    私は日本眼鏡技術研究会雑誌64号のP.26に30代の遠視の女性のデータを載せました。
    20〜30代の人に遠視のメガネを処方することは少ないですが、永光さんも、印象に残っている人がいますか。


    
老視以前の遠視の事例、2つ 

   ●永光 
    いますぐというと一人だけ思い出しました。記録を見ると昭和57年に、
    近業をすると非常に眼が疲れるといって来店されました。
    彼女が27才の時です。遠方用のメガネとして
         R S+1.00 C−0.50 Ax80
         L S+1.50 C−0.75 Ax80
    を処方しました。 現在は中程度の遠視になって遠近累進を使用しておられます。
    今年の夏には、セイコーファンクリックで近業専用も作っています。 

   ●岡本 
    遠視で、この9月17日に来られたかたの例を思い出しました。31歳の男性です。 
        現在眼鏡
        R=S+0.50 C−0.50 Ax92
        L=S 0.00 C−0.25 Ax90
    今年1月に他店で調製。近業がしんどいそうです。当店での測定では
        両眼開放屈折検査の一次矯正値(5m)
        RV=2.0(2.0×S+0.50 C−0.25 Ax85)
        LV=2.0(2.0×S+0.25 C−0.25 Ax80)     眼位正常 

    ここから球面度数を雲霧して両眼調節バランステストをすると、
    左右の球面度数を同じにしたときにR=Lとなります。
    こういう正視に近い人ほど左右の0.25の違いで快適さがかなり違ってくるものです。 

    それで、両眼開放屈折検査の最終結果(両眼調節緩解テスト)としては、次のようになりました。
        R=(S+0.50 C−0.25 Ax85)
        L=(S+0.50 C−0.25 Ax80) BV=(2.0)

    これで処方調製をし、装用テストのときとお渡しのときにパソコン画面や手元の見え方を、
    現在眼鏡とこの度数で比べてもらうと、はっきりと差を認められました。
    こういうかたには両眼調節バランステストを適正にできない検者はこわいと思います。 
    それを適正にできる眼鏡技術者はさほど多くはないのですが、
    眼科の処方検査人の場合にはさらに少ないでしょう。




 
               [事例報告] 突然複視が起きた人  永光 勝之

        眼科から総合病院へ

   平成17年7月19日、
   Yさん(68才)は突然の複視にみまわれた。
   眼に入る全てのもの
   が二つになって見える。
   尋常ではないのでとりあえず近隣の眼科に駆け込んで診察を受けたが、そこは以前に私の知人の
   虹彩炎を高血圧と診断した藪医者、納得のいく説明も処置もされなかったので、日を置いて次に
   白内障手術で賑わっている別の眼科の診断を仰いだ。

    そこで言われたことは、脳神経関係の異常かもしれないので総合病院でCTやMRIの検査を
   した方がよいとのこと。紹介状をもらって検査に行くことにした。

                           ●

    Yさんは奥様とともに当店のお客さまで最終来店日は平成10年3月、
   技術者で遠近累進を使用、製図などの仕事もこなしておられる。
   7月26日、Yさんが電話してこられて上記のことを話され、これでは仕事も車の運転もできない、
   なんとかならないか、との相談です。
    私は「たぶんなんとかなると思います。検査してみますからおいでください」と申し上げたところ、
   ほどなく奥様の運転で来店されました。

   複視の状態を確認すると右眼上斜視と判断できたので左眼に3△BUをあてがい、「これで一つに見えますか?」
   と尋ねました。すると「一つになる」とのお答え。2△BUではまだ二つのままだとのこと。
    そこで「メガネで複視は解消できます。ただこれは一時的な状態かもしれません。
   また紹介状ももらっていることもありますし、万が一ということもありますからとりあえず総合病院で検査されて、
   それで何も見つからず、どうにもならなければおいでください、再検査の上具合良くなるようなメガネを作ります」
   と説明し、その日はお帰りいただきました。

    8月3日に、その後どうされたかを尋ねようとYさんのおたくに電話したところ、Yさんは病院に出かけて
   お留守とのことでした。

    8月5日Yさんより電話、病院に行き、MRI検査などを受けたが、鮮明に見えていた二つの像のうちの片方
   の像が薄く見え出したとのことです。
   「それはおそらく二つに見えるのは具合が悪いので抑制が生じはじめているのではないかと思います。
   放置しておくと両眼視ができなくなる可能性があります」と申し上げました。

    Yさんは、後日検査結果を聞きに病院に行き、またそこの眼科でも診察を受けるので、
   それから来店してメガネを新調したいということでしたので、「ではお待ちしております」と申しあげました。
   お盆のあけた8月18日、Yさんはまた奥様の運転で来店されました。そのときの会話です。

   私「まだ二つに見えますか?」
   Yさん「二つに見える」
   私「MRI検査の結果はいかがでしたか」
   Yさん「何にも異常はないとのことだった」
   私「で、眼科ではどう言われましたか?」
   Yさん「いろんな検査をして、『これは斜視だな』と言われた」
   私「それで何か処置してくれました?薬をくれるとか、メガネの処方箋をくれるとか、
                                     あるいは何らかのコメントをくれたとか」
   Yさん「なんにもない、なにもしてくれなかった」
   私「それじゃ、物が二つに見えるという不具合は全く解消されず、ほっちらかしですね」
   Y「そうだ、眼科も病院も全く役に立たない」
   私「では当店でなんとかしましょう。検眼します」

   4△の上下プリズムで複視が解消

   結果は、右に4△B.D.負荷で遠近やってみるとのことでした。
   8月23日にできあがったメガネを
   取りにこられました。このときは自分で運転して来られました。

   複視状態に慣れてきたのか、それとも抑制が生じてしまったのかのどちらかでしょう。
   私は最初に「まだ二つに見えますか?」と尋ねましたら「そうだ」とのことでした。
   新しいメガネをかけてYさんはおっしゃいました。
      「これで元のように一つに見える、近くの見え具合もよさそうだ」
   私は「とりあえず今日からメガネは外さないようにして下さい」とアドヴァイスしてお帰りいただきました。
   そろそろその後の具合を電話でお尋ねしようと思っていた、8月26日にYさんが来店されました。
   汗をかくとちょっとずり落ち気味になるとのことでした。鼻パッドをシリコンに交換して、「これで大丈夫と思います、
   ところで具合はいかがですか?」とお伺いをしますと「ずっと掛けている、具合はよい、ただ外すと、
   前より明瞭に二つに見える感じがする」とおっしゃいました。
   おそらくそれは、しだいに抑制が生じ始めた眼の信号が生き返ったのではないかと思えます。

           眼科はなぜ複視を放置

    一ヶ月以上複視に苦しんだ
   Yさんの件はとりあえず一件落着ですが、ここで不思議に思うのことがあります。
   患者は複視を訴えてその不具合を解消してもらうために眼科に出向いたのに、
   眼科はおろか紹介を受けた総合病院も何の手立てもしないということです。
   たとえば手に怪我をして出血し、痛さに難渋している人が外科を訪れたら早速に止血をし、
   傷みを和らげるよう処置するでしょう。

   そういうことをしないで怪我をした原因だけを聞きまわり、怪我を放置することなどありえないことです。
  患者の主訴は「複視」ですから、とりあえずそれを解決するのが第一ですが、そんなことは放置して
  原因の追求ばかりに時間をかけ金を使わせるとは、まったく患者不在、責任放棄の仕業と言わざるをえません。
  こういう眼位異常による突然の複視については、眼科は無力というより無能と言われてもしかたがないと思います。
  なぜなら眼科では日常的に斜位検査やその矯正処方が行なわれていないため、たった3△で複視が
  解消できるのにそういった簡単な処置さえできないという現状があるのではないでしょうか。

   幸いYさんが当店のお客さまで、相談にこられたから事なきをえましたが、「突然の複視でそれを放置しておくと、
  そのうち片眼に抑制が生じてしまい、両眼視ができなくなって、大変なことになりますよ」と言いたくなりますし、
  またおそらくそうなってしまって気がついていない中高年のかたも相当数存在するのではないでしょうか。  
  


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   [ML談義] 眼鏡処方なんかで損したくない!      NEW

  眼鏡処方に無関心の眼科

ケント 昨日、約2年程前に白内障の手術をされたかたが来店されました。
     最近、近くの文字が見えづらく、手術をした眼科へ行って調べてもらおうと行った所、
     医者が「よく見えているからメガネなど必要がない」と言ったそうです。
     「検眼はしてもらったのですか」と尋ねると、していないとおっしゃいました。
     検眼もせずに「よく見えている」とは、どういうことでしょうか。
     お客様は、仕事で伝票等を書く時に不自由なので、このままではラチがあかないと、来店されました。

     検眼の結果 RV=0.4 LV=0.2
     自店処方調製度数
      RV=(0.8× C−0.50 Ax90 Add3.00)
      LV=(0.5×S−0.25 C−0.50 Ax90 Add3.00)
     メガネの掛け変えが面倒なので遠近累進にしたいと言われたので、そのように調製しました。
     術前も遠近累進を使用されていましたので要領はよくご存知です。
     この眼科の白内障術後の処方箋を持って当店に来られるお客様がときどきおられますが、
     皆さん開口一番「先生に度数がすぐ変わるから一番安いメガネにしなさいと言われた」とおっしゃいます。
     度数がすぐ変わるから、と患者に言うのであれば、患者が困っているのだから検眼すべきなのではないでしょうか。
     患者が多くて面倒くさかったのか、自分の手術に自信を持っているのかわかりませんが、矛盾した話です。
     老齢で人の良いおとなしい患者であれば、先生にメガネは必要ないと言われれば、不充分な見え方で
     不自由に過ごしておられるのかと思うと、お気の毒と言わざるを得ません。

岡本 この事例の場合なら、眼科でひとまず検査はするべきですよね。そして、「メガネがいるかいらないかはあなたの
    感じかた次第ですから、どこか近くの信頼できるメガネ店でもう一度測ってもらってメガネを作ったらどうですか」と
    言えばよいし、術後日が浅いときなら「そのうちに度数が変わるかもしれませんが、とりあえずメガネを作ってもいい
    ですよ。ケントさんのお店なら信頼できますよ」というふうに言ってもら うとやりやすいんですけどね。
    それから、メガネ屋の中には、とにかく高いレン ズを売ろうとする所もあるのも事実だと思いますので、
    眼科医がそういう所に対する牽制球を投げるの も悪くはないと思いますが「一番安いレンズ」なんて言わ
    なくても「あまり高いものはいらないかも」 程度に言っておけばよいですのにね。
    どうも、業者性悪説を信じている医師のような感じもしないでもありません。
    メガネ屋でも眼科でも、ピンからキリまであるということを分かってほしいですね。

浜田 「度数がすぐ変わるから一番安いメガネにしなさい」という医師からのアドバイスは全国共通なのでしょうか……?
     高知でもよく聞きます。
    このアドバイスは患者さんの経済的な面を医師がおもんばかって言うのでしょうが、
    そんなことは患者さんの意思にまかせればよいと思います。ま、だけどこのアドバイスは患者さん側に
    立った考えだとすれば許せます。
    困るのは、「度数が変わりやすいから、保証のある店へ行きなさい!」と経済的な面のみを強調して、
    そのメガネ店へ行くように指示する眼科医です。
    この指示は患者さん側に立っているように見えて、実は全然そうなっていませんよね。
    眼科医であれば、「調整をキッチリやる店で、信頼がおけてアフターケアがしっかりしている店を選んでください。
    その上で保証もあったほうが・・・・」と光学的、力学的など総合的な面から判断をして、患者さんにアドバイスを
    するべきだと思います。

岡本 この「補償(保証、保障)の有る店で」というアドバイス(?)は当然、再処方となった場合にレンズ弁償などの
    心配を眼科がしなくてすむようにということですが「どのみち儲からない眼鏡処方なんかで損をするなんて
    バカバカしい」と、その眼科医は思うのでしょう。だから眼科にとっては、再処方の場合にハイハイと無料で
    作り直してくれる眼鏡店の方が都合がよいわけだし、そういうところを指定したくなるのも当然です。
    そして、処方箋さえあれば作る技術なんてどこでも大してかわらないと思っているのでしょう、
    こういうことを言う眼科は。

    これは結局、眼科と眼鏡店の関係をどうとらえるかということです。
    患者さんに迷惑がかからないようにという建て前のもとでお互いに持ちつ持たれつでうまくやって……
    といっても、こういう「補償」なんてのは、眼鏡店が眼科に一方的に奉仕している(良く言えば、協力している)わけです。
    しかし、この「補償つきの店で買うようにすすめる」ことは「患者さんに負担がかからないように」と一応が
    大義名分は立つので、自分はよいアドバイスをしている親切な医者だ、業者は粗利の高い商売で儲けているの
    だからタマにはそのくらいのサービスをすればいいんだ、と本気で思っている医師も多いと思います。

    そして、この措置には違法性はなく、商道徳的にも悪いものではなく、患者側から見ても、技術などは
    どこがどうよいのかなんて分からない以上、補償をしてくれる店で作りたいと思うのももっともなのです。
    こういうことを言う眼科医も感心できないけれど、それに応じる眼鏡店があることが、より以上に感心できません。
    眼科にこういうことを言わしめるのは、目先の売上げを欲するゆえに不合理な要求も受け入れる眼鏡店が
    多いからで、要するに眼鏡店は「眼鏡士」という武士のプライドよりも「損して得取れ」、商売なんだから、ということです。

  眼科が眼鏡処方をやめない限り

岡本 何度でも言いますが、こういう問題の根底にあるものは、「眼科でしなくてもよい眼鏡処方を眼科でやる」
    という不合理な行為なのです。それをやめなければ、そこから派生するもろもろの問題は永久に解決しません。
    こういう眼科に対しては、眼鏡店が意地を見せなければ、患者さんに対するこの種のアドバイスは今後も
    増えることはあっても減ることはないでしょう。

    その場合の「意地」とは、もしも処方箋を持参したお客さんから「おたくは保証をしてくれるのですか」と
    聞かれた場合には、眼科でそういうことを聞いたということを確認してから、その眼科へ「なぜ小売店に
    何の責任もないのに、再処方の場合にレンズ代を眼鏡店が負担しなければならないのか」と問いただすことです。
    しかし、それができる小売店は、大変少ないでしょう。

    日本と中国(あるいは北朝鮮、韓国)じゃないですが、言うべき事を言わないと、いつまでたっても甘く見られるだけですネ。

    それでもし私が眼科医で、眼鏡店からそう問いただされたらどう答えるか……。
    なぜ眼鏡店が再処方のときのレンズ代を負担しないといけないのかという合理的な説明はできませんから、こう言うでしょう。
    「無理にそうしろと言っているのではありません。いやなら構いません。保証してくれる店で作るように勧めるだけです」
    こうなったら眼科に説教しても無意味で、その眼科に奉仕する店が1店でもあれば、どうにもなりません。
    結局は「眼科では普通のメガネは処方しない」ということしか根本の解決策はないわけです。
浜田 眼科に問いただしても岡本さんがおっしゃったように「保証をしてくれる店へ行くように」と言うだけでしょう。
    しかし、田舎では「他の店に」と言われると困るお客さんもおられます。
    そんなお客さんが自店でメガネを購入してくれるわけですが、「眼科が保証のことを言っていたけど、
    おたくさんは」と聞いてきますね。
    そんな場合、お客さんが大人であれば、自店で度数を確認させていただいて自店処方に変えていただくことは
    よくありました。「自店処方で不具合でしたら無料交換します」と。

    困るのは学生さんです。眼科処方と自店処方を比べてもらってどちらを選択するのかをせまるのは困難ですし、
    親御さんにそのこと(無料交換の理不尽なこと)を口頭で説明してもらちがあきません。
    こちらが、不信に思われるだけでした。
    それで、このような説明書を作ってお客さんにわたすようにしています。
----------------------------------------------------------------------
      <学生さんの保証制度について>
    学生さんは、身体の成長とともに目の度数も進行しやすいということが言えます。
    そんな学生さんにレンズの保証制度がございます。
    お買い上げ後1年間内に度数が変化してレンズの交換になった場合。
    ・3ヶ月以内であれば無料交換いたします。(一回のみ)
    ・1年間以内なら定価の半額で交換いたします。
     (平成   年   月   日)での矯正視力(メガネを掛けての視力)は
      右目(     ) 左目(      ) 両眼(      )です。
      この視力より変化した場合保証いたします。
      その他の要因で一年間以内にレンズの交換になった場合は、定価の半額でいたします。
    ・お客さまの都合で本来の度数よりかなり弱めていたが、もう少し見やすい度数にしたい。
    ・レンズにキズをつけてしまった。
    ・眼科処方箋の場合での度数記載ミス。 など。

     なお、自店処方でレンズ度数が不具合だった場合は、自店とお客様の共同責任になりますが、
    自店の責任として無料交換いたします。
    眼科処方箋で作られてレンズ度数が不具合だった場合は、処方箋発行の眼科にも責任があります。
    本来ならこの場合責任をとるのは眼科だと思いますが、自店の調製責任として定価の半額にて交換いたします。
    また、眼科医さんの中には「メガネの保証があるメガネ店がいい」と、経済的な面のみを強調して、
    そのメガネ店へ行くようにアドバイスをされるようです。
    そのこともメガネ店を選ぶ一つの要素ではありますが、大切な目のためのメガネですから、
    「調整をキッチリやる店で、信頼のおけるアフターケアのしっかりとした店を選んでください。
     その上で保証もあったほうが……」と光学的、力学的など総合的な面から判断してアドバイスをするのが
     目を守る眼科医さんの役目ではないでしょうか。 大切なメガネを作るメガネ店はそう考えます。
---------------------------------------------------------------------- 
    これで、お客さんの中には、ヘンなことを言うメガネ屋だ。もうここではメガネを買わないようにしようと
    思われるかたもおられるかもしれません。しかし、それはそれで仕方のないことでしょう。

    なんでもかんでも無料交換なんて、そんなオカシなことがまかり通っているから、JRや三菱などのような
    一連のオカシナことがおきるのだと訴えていくしかないですね。
岡本 浜田さんは、けっこう用意周到なのですね。こういう詳しい説明書の用意までされているのですか……。
    それなら、学生さんのメガネを求めて来店されたお客さんも安心されるでしょう。
    でもけっこう思い切ったことを書いておられますね。だって、視力なんて、ご承知のように同じ日でも変わるし、
    その日その日の調子でも変わりますから、
    「……この視力より変化した場合保証いたします」なんて、よく請け負うなあ、と感心します。
    「1年以内なら半額」ということですが、当店での一応の規準は、1ヶ月以内の度数交換は明らかに
     顧客の側に100%責任がある場合を除いては、(そういうことはめったにありません)無料で補償します。
    それ以外はたいてい初回販売のときと同じだけいただいています。
     たまにあるのは、メガネを買ってから辛抱して使っていたけれど、どうも辛抱しにくい、ということで
    お見えになったのが2〜3ヶ月後という場合ですが、その場合も、販売後のご本人の目の度数の変化とは
    まず関係なさそうですから、場合によっては無料でのお取り替えもあり得ます。

    中学生くらいのお子さんで、たまに1年前後で度が進んで度数を変えるということもありますが、
    そんなのはもちろん普通にいただきます。これは理由がはっきりしているわけで、
    当方に落ち度のある可能性がほとんどゼロでしょうから。

浜田 この説明書は苦肉の策といえます。まだまだ改良の余地があると思います。
    「視力が変化した場合は……」なんて岡本さんがおっしゃるようにあやふやなもんです。
    ただ、こうとでもしないと「度数が変化しやすいから保証のある店へ行きなさい」と眼科医に指示されたけど、
    ウチでメガネを作りたいというお客さんが納得しないのではないかなと思った次第です。

    眼科処方では度数の変化なんて、完全矯正度数がこちらにはわかりませんのでやりようがありません。
    それで、仕方なしに「視力の変化と」して、眼科処方度数での視力をこちらで確認しといて、あきらかに
    この視力よりも落ちていたら、その時は交換しようと考えています。
    なんだか姑息な手段かもしれませんが……。
    それよりもそんなことを言う眼科はオカシいのだとお客さんにわかってもらいたいのです。

   正邪ではなく快不快や損得で

岡本 ううん……。そのお気持ちはよくわかるのですが、ほとんどのお客さんにとって関心があり
    大事なことは、メガネ屋と眼科が処方箋をめぐってどういう考え方で望むのかというような、
    「何が正しいのか」ということではなく、どのようにしてもらえれば自分は満足できるのか、得なのか、
    ということですからねえ……。
    経済行動における選択は、正邪ではなく、快不快と損得でなされるものです。
    理屈はどうであれ、自分は気持ちの良いメガネを損をすることなくゲットしたい、ということです。

    眼科から保証(補償)云々を聞いた以上は、それに応じてくれるメガネ店でメガネを作ろうとするのが
    当然だと思います。
    そうであれば、眼科にそういうことを言わせないようにするのが良いわけで、
    そのためには技術者協会あたりが、眼鏡「士」のプライドを持って眼科と折衝をすべきなのでしょうが、
    岐阜県の小売組合などは、眼科から言われもしていないのに、商売商売で、こちらから入れ替え補償
    のことを言い出したのですから、これはもう組合系の人間が上にワンサカいる技術者協会では無理でしょう。

    となると、結局は、眼鏡士としての矜持を持とうとすれば、眼科処方箋のお客さんにはあまり期待しない、
    ということしかないですね。
    浜田さんのその説明書には、半ばその覚悟は感じられます。なかなかのものですワ。
    商売商売なら、難しい理屈なんか言わずに、度数入れ替えなんて常に起こることじゃないから、
    前もって聞かれたらハイハイと気安く請け負っておくのが得策というものです。
    でも、あえてそうはしないところが浜田さんの良いところだと思います。
浜田 どうやら高知の専門店組合も入れ替え補償をやるようになったそうです。(問屋に聞きました)
    岐阜県の組合がお手本になったのでしょう。このようにすればよりいっそう眼科と蜜月の関係になれる、と。
    まー、もともと組合と眼科は結びつきが強くて、昔は、半ば強引に指定店へ行くように患者さんに
    指示をしていましたが、(アソコのメガネ屋で作るなら処方箋は書かないとか)最近は強引なことが
    やりづらくなっていたのでしょう。ですから、この入れ替え補償の方法を思いついたのでしょうね。

    「指定店なら保証がありますよ。よその店で作って、具合が悪かったら知りませんよ」と言えば、
     患者さんは、指定店へ行きますからね。

    高知の小売組合も岐阜に倣って

岡本 高知県も、組合の店は岐阜県に倣いましたですか。これはいずれ全国に広がるでしょう。
    そうなると我々非組合員の店は、どう対抗しましょうか。
    眼科から指定店に行く人については、これはどうにもならないから、まあそんな需要はあてにしない
    ということでよいとして、我々の店に来て保証云々を言う人に対しては、まったく無策で回れ右をさせて
    しまうというのもおもしろくないわけです。

    では、どう対応すればよいかということになりますと、浜田さんの方法も悪くはないのですが、
    こういう場合には、客観的に「何が正しいか」ではなく、「あなたがリスクから逃れるには」という内容の話を
    するのが効果があると思うのです。

      客「おたくはレンズの保証は?」
      店「あ、眼科の処方箋をお持ちなんですね。でもね、奥さん、その保証はあまり意味がないですよ」
      客「え、どうして?」
      店「だって、眼鏡処方が下手な眼科は何度やりなおしても下手ですから。
        二回目なら上手になると言うことは考えられません。
        レンズ入れ替え無料の補償はあっても、再処方でうまくいくという保証は全然ないのです。
        前によその店で眼科処方でメガネを作ってうまくいかず、そういう補償でタダでレンズを
        入れ替えてもらったけど、それでも目の疲れが取れず、やっぱりダメだったということで
        当店へおこしになったかたがおられました。
        たとえば、ほとんどの眼科がやっていない斜位の検査というのがありましてね、云々云々……」

     と言って当店でうまくいった例を言ってあげる……のもいいかもしれませんネ。(^_^)

ケント 当店でも「入れ替え補償」を言われたことがあります。
     眼科処方箋にてレンズ入れ替えしたお客様が、後日、来店されて見え具合が悪いので無料でレンズ度数を
     変えて欲しいと真面目な顔で言われたので「えっ」と思いました。
     処方箋で作ったメガネの具合が悪いので眼科にいくと、眼科ではもう一度処方箋を書いて、
     「メガネ屋で無料でレンズを替えてくれるからこれを持って行きなさい」と言ったとのことです。(A)
     無理ですから、と良く説明して納得してもらいました。
     しばらく、そのまま使用されていたのですが数ヶ月のち当店で検査してレンズを替えましたが、
     諸般の事情を考慮して特別価格にさせて頂きました。

     具合の悪い場合は当店が責任を持って再調整して交換致しますとお伝えしました。
     最近は余り露骨に指定のメガネ店へ行きなさいと言う眼科は少なくなってきた様に思いますが、
     昔は、ひどかった。

     指定店で作らなければ今後治療しないと言われたおばあさん。処方箋を発行するその場で、
     今から○○さんがいくからとメガネ店へ電話する医師……。
     あるお客さんが当店で処方箋でメガネを作ってから「眼科で調べてもらった所、度数が合っていない」と
     怒って来られました。調べると間違ってないので、その場で眼科へ電話しました。

     数分待たされた後、医師が電話に出てきて「当方の間違いです」とおっしゃいました。
     古いカルテと見間違えたとのことです。「患者さんには言わないで」と言われたのを記憶しています。
     別のお客さんのときには、持参された処方箋が以前のデータに比べるとRとLが逆軸になっており、
     作る前に眼科へ電話すると書き間違いですと言われ、こんな事はよくある事だと開きなおられました。

     この種のエピソードはまだまだきりがないですが、最近のお客様は情報量も多く、又、
     世代の入れ替えもあり強引な指定店への後押しには不信感があるようです。

岡本 その(A)のお客さんの場合で、もしケントさんが眼科に「こちらに連絡もなく、なんで勝手にそんなことを
    おっしゃるのですか」と問いただしたとしましょう。
    そうすると、そういう勝手な眼科は「えっ?そんなことを言ったメガネ屋は、おたくが初めてだよ。
    あんたの店はサービスが悪いね。たいていは無料で替えてくれるもんだけどね」と言うでしょう。
    ですから、そういう場合には今後は次のように対応してみませんか。
        客「眼科では『メガネ屋でタダでレンズを替えてくれる』と言ってたよ」
      こちら「えっ? 眼科がそんなことを言いましたか!
          たいていの眼科ではレンズ代の弁償をしてくれるもんですけどね。
          自分の不手際をメガネ屋にかぶせるなんて無責任な眼科ですねえ」……
    と言って、レンズ代のみの領収書をお客さんに渡して「これを持って眼科へ行ってみられたらどうでしょう」と言う。
    患者さんは眼科へそれを見せに行ったりはしないでしょうけれど、仮に行ったとしましょう。
    それを患者から見せられた眼科医は「こんなことなら、もう眼鏡処方はやめて、メガネ屋にまかそう」と思う……、
    となればよいのですが、おそらくそうはならずに「ひどいメガネ屋だ。今後はこのメガネ屋だけには行くなよ、
    と必ず患者に言おう」というふうになるかもしれません。

    ですから、結局、眼科の意識が変わって眼鏡処方の基本方針を変えない限りは、
    いつまでも同じ問題が残るということですワ。

    保証を尋ねるお客さんがいま店に!

浜田 なるほど、「リスクから逃れるには」ですか。ううーん、難しいですけど……。
    と、書き込みをしていましたら、なんといま、実際に「保証はあるんですか」と聞いてきた
    学生連れのお客さんが来店されました。
    私は「一応、保証はありますけど・・・自店の保証はお買い上げ後1ヶ月間内に度数が極端に変化すれば、交換します。
    1年間内でしたら、定価の4割引きですが・・・」(B) と歯切れの悪い返答をし、
    「どちらの眼科でそのように言われました」とお聞きしましたら「〇〇眼科です」とおっしゃいます。
       その眼科はことのほか保証を強調する眼科だったので、
    「あー、あの眼科さんはそれしか言わないですね。保証保証と口癖のように。
     でも、なんでもかんでもメガネ屋が無料補償するなんてオカシナ話ですよね。 
     自店には何の落ち度もないのになぜ、無料で交換しなければいけないのでしょう。
     あの先生は自分とこの尻拭いもメガネ屋に求めているのですよ。商売熱心な眼科医さんですね。
     眼科医であれば、保証のことよりもメガネをキッチリ調製できる店をすすめるべきではないでしょうか。
     私はあの先生はキライです!」と興奮ぎみに言いました。

     そしたら、「こちらさんで、メガネは作りたいのでこちらで測ってください」とおっしゃいました。
    私はてっきり「そしたら、けっこうです」とお帰りになるのではないかなと思っていましたけど、
    ありがたいお返事をもらえました。

     あとで調べてみたら、そのお母さんも子供もお得意さんだったのでウチで作ってくれたのでしょう。
     「あなたがリスクから逃れるのには」という上手な内容の話にはほど遠いですね。トホホホ……。
     なお、自店の保証書の内容は上記の(B)のように改めました。

ケント 今後そういうケースがあれば、岡本さんのアイデアを一度試してみます。
     余りいろいろ書くと誹謗中傷になりそうで嫌なのですが現実にあった事例であり、私のような小さな店が
     ストレス発散できるのは、信頼が出来て自由に書き込める、このMLのおかげです。

     これまでで一番強烈な思い出は、指定店と完全癒着型の眼科の話です。
     ある時、当店でメガネを作られたお客様が「あんたの所で作ったメガネのせいで、こんなになった」と言われ、
     顔を見ると、右半分が腫れてピクついています。

      その眼科で度数が合っていないせいでそうなったのだと言われたそうです。
     私は納得できないの で、その場ですぐに眼科に電話しました。しばらく すると医師が出てきて
     「そのかたはメガネのせいではなく顔面神経痛です」と言われました。

      とにかく指定店以外で作ったメガネに対しては変 な先入観を持って、徹底的にあらを探そうとしたり、
     患者に対して店側を悪者扱いにするという眼科もあるようです。

岡本  浜田さん、その親子連れのかたは、浜田さんが力説した正論を理解してくだったということも
     あるかもしれませんが、それより以上に、これまでに蓄積された浜田さんのお店への信頼感が
     ものを言ったのだと思います。

     ケントさん、その顔の腫れた人の話は、眼科による店へのレッキとした営業妨害ですワ。
     今後そういうことで腹に据えかねることがあれば、ぜひおっしゃってください。
     「ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会」から眼科へ公開質問状を送りますから。

     なお、たとえば自店の店内で「お客さん、あの眼科はやめといた方がいいですよ。なぜなら……」
     と、その眼科の下手な処方で困った患者さんの話や、見立て違いや医療ミスなどで
     泣かされた人の話などをするのは営業妨害とか名誉毀損とかにはなりません。違法性はゼロです。
     公益のために事実を述べたのですから。

                                 ☆


         眼科でも他店でも上斜位を見逃して            山村和胤

 過日来店されたご夫婦(ご主人81才、奥様79才)は揃って仲良く上斜位でした。
しかも基底方向、度数も同じでした。 奥様はだいぶ昔のメガネというだけでしたから大幅に
度数が変わっていただけですが、問題はご主人の方です。

 ご主人は、最近両眼とも白内障の手術をし、眼科処方を持って指定のメガネ店でメガネを新調したそうです。
ところがこれが具合が悪くとても掛けていられないので、大手チェーン店でまた新しく購入されました。

ところがこれも具合が悪く、当店に相談に来られました。

どういうところが不満ですか、とお尋ねすると「遠くも近くもよく見えない」ということです。
それでご持参のメガネを調べてみました。

●眼科処方によるメガネ(バイフォーカル) 
  OCD 64.5mm   R S−2.25 C−1.50 Ax180 Add 3.50   
                L S−2.25               Add 3.00

●大手チェーン店のメガネ(バイフォーカル) 
  OCD 66.5mm   R S−2.00 C−1.50 Ax180  Add 3.50
                L S−2.00               Add 3.00

 大手チェーン店には眼科処方のメガネが具合が悪いと言ったそうですが、結果は五十歩百歩、
何の解決にもなっていないやっつけ仕事です。

そこで当店で検査の結果、以下の度数でメガネを新調しました。
使用レンズは14mmの遠近累進レンズで、奥様も前はBFでしたが、強度の遠視性倒乱視でしたので
これも14mmの遠近累進にしました。


◎当店処方 PD62mm RV=(1.0 ×S−0.75 C−1.25 Ax170 Add 2.75)1△BU
                LV=(1.0p×S−0.50 C−0.75 Ax165 ADD 2.75)1△BD


 仮枠テストの時からお二人とも満足されていましたので、受け取りに来られた時開口一番、「今日は楽しみにしてきた」
と言われました。 そしてフィッティングが終了し、見え具合をお尋ねしたところ、お二人とも、「夜が明けたようだ、
遠くも近くもよく見えて気持ちがいい」と異口同音にいわれました。

 そこで私は「なぜ前のメガネの具合の悪さを作ってもらったお店に言われなかったのですか、こんな短期間に
3個もメガネを作ることになって……」とお尋ねしたところ、「あんなメガネしか作れないようでは、言っても無駄だ」
とのお返事でした。

確かにこのご夫婦の眼を測るのは、上記2店では「言っても無駄」ですし、眼科を含めて、
高齢者に対し、無責任な仕打ちをする状況はいつまでたっても変わらない日本だな、と思いました。
 
 
 
[ミニ事例] 
    眼科処方箋の近用PDを替えて説明書もつけた例
                                                    岡本隆博

 74歳の男性。
大阪市北区の大阪中央病院眼科の眼鏡処方箋を持参された。(2004.2.24)

[処方箋度数](近用)
R=S+5.00 C−0.75 Ax90    矯正視力 0.8
L=S+5.50 C−1.50 Ax90  矯正視力 0.8  PD62

 眼科でこの度数で2〜30分くらい試してみたとのことで、度数を当方で再測定するのは不要とおっしゃった。
ただ、外見からして、「この人の目で近用PDが62というのは少し広過ぎる感じ
だ。度数が強いプラスの近用なので、なるべく狭めにPDを入れてあげたい。
(理由:その方が基底内方負荷による輻輳補助の効果が出る)」と思ったので、PDを測定してみた。

自店測定PD(遠見) R=31.3 L=33.0 (合計64.3)

この眼鏡は視距離が33cmだとのことなので、62のPDは感心できない。

試しに、この度数をテスト枠に入れて、PD62と56との見え方を比較してもらった。
(ハセガワビコーのPD可変式のものだから、ワンタッチで相互比較ができる)

すると、56のほうが「ハッキリ見える」とのこと。
このかたは「眼科へできたメガネを見せに行きます」とおっしゃる。

 それで、眼科に電話した。初めに女性(おそらく看護師)が出てこられた。
遠用PDの数値を左右別に伝えて、だから近用で62は広すぎるということや、輻輳補助のことを説明したが、
よく理解出来ない様子で、「先生に代わります」とおっしゃり、男性医師が電話に出てこられた。
それでなるべくわかりやすく説明したが、やはり理解してもらえない。
それで、「ではこちらで適切なPDで作って解説書を付けておきます」と言ったら、
それで了承されたふうで、互いに電話を切った。

それで私は、PD(OCD)を、左右どちらも遠見PDよりも各4mmへらして、
R=27.3  L=29.0 で作った。

(このレンズの径と枠((顔の割に小さめのをすすめた))の大きさの関係では、これが最小PD)

これだと、近用PDに合わす方法よりも約1.2△の輻輳補助効果が出ている。
逆に処方箋のとおりに62で作ると、0.8△ほど余分な輻輳を要求するメガネとなる。
差引きすると2△の差であるが、その差をご本人は装用テストで即座にハッキリと
感じることができたのである。

 2日後のお渡しのときには、当方での調製結果と理由も書いた説明書をつけ、さらに
下記のものも大きい封筒に同封した。

○日本眼鏡技術研究会雑誌59号に私が書いた記事
    「眼科処方箋に記載の近用PDが遠用PDに比べてあまり狭くない理由」
○私と野矢正氏との共著書『眼科処方箋百年の呪縛を解く』
○「ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会」のホームページのご案内
 
 
 
 
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    通院中の人の眼科処方箋を無断変更して調製した例
 

                                                   岡 十朗

岡  78歳男性のお客様の事例です。

   (1)1998.11.19
   RV=(0.9×S+1.00 C−2.00 Ax75)
   LV=(0.9×S+0.25 C−1.25 Ax90)BV=(1.0)

   当店で測ってこの度数のままで眼鏡を調製しました。その後このかたはレンズの傷
   が気になったので、白内障の治療で通院中の眼科で下記の処方箋を発行してもらって、
   その日のうちに来店されました。

   (2)2003.10.30発行の処方箋
    R=S+2.25 C−1.75 Ax90
    L=S+1.25 C−1.25 Ax100 

   当店でこの度数での矯正視力を測りますと、RLどちらも0.5で両眼では0.6でした。
   それで、前眼鏡(1)で矯正視力を測ってみますと、Rは0.6、Lは0.7でした。

   私は「処方の度では前眼鏡よりも見えにくい」と思って、このかたは親しくしてい
   ただいている顧客でしたので、私にも測らせてくださいとお願いしてご承諾をいただ
   いて屈折検査をしてみました。すると

   RV=(0.6×S+1.75 C−1.75 Ax85)BV=(0.7)
   LV=(0.7×S+0.75 C−1.25 Ax100)

   となり、お客様にどちらを選ばれるかをお尋ねしたところ、当店測定の度を選ばれました。
   調製後は満足してお使いいただいております。(処方箋は破棄しました)

                          ●
 
岡本  この例の場合、眼科であえて雲霧した眼鏡を処方したとか中間距離を見やすいよう
     にしたとかいうのであれば、眼科でその旨の説明を受けておられるはずですから、岡さんが
     5mでの矯正視力を確認したときにそのことをお客様がおっしゃるでしょう。
     それを何もおっしゃらずに、自店で再度屈折検査をすることを了承されたわけですから、
     岡さんに手落ちはないと私は思います。

     ただ、ひとつだけ疑問に思ったのですが、このかたの場合、まだその眼科へ通われるようですが、
     処方箋で作ったメガネを眼科で調べられる可能性があると思うのです。
     こちらで処方箋を破棄しても、眼科に控えはあるはずですから、調べたらすぐに
     「処方通りに作られていない」とわかります。そういうことに対しては何らかの善後策を講じられたのでしょうか。

岡  この処方箋を発行された眼科は、20年くらい前に松山で開業された眼科で、ご夫妻
    共に眼科医ですが、このときは奥様の先生が処方をなさいました。
    私は面識はなく、指定されているわけでもありませんが、ときどき処方箋がまわってきます。
    そして、処方箋の通りに作ったときには私がお礼の葉書を出しております。
    お客様との相談で私が再検して私の処方で作ったときには、もちろんですが礼状は出しません。
    他の眼科の場合も同じです。

    そのようにしてきてこれまで一度も問題はありませんでしたが、貴兄のご質問を読みまして
    今あらためて考えさせられております。 

    松山の眼科医の多くは、眼鏡店が処方通りに作ったかどうかを調べておられないのかもしれません。
    眼科の眼鏡処方箋自体が法的な裏付けを持たず、処方箋を受けてそれに従ってメガネを作るべき
    と言われている立場の我々にも法制資格はないので、眼科の眼鏡処方箋に従って作る責任(法的責任)もない、
    我々にあるのはお客さんから喜んでもらえる責任だと私は考えます。

    眼科でメガネを調べて「処方通りにできていない」と分かった場合に、当方へおし
    かりなどいただければ、顧客(患者)中心の話し合いの場などができるのでは?などと思っております。

岡本  その場合、眼科から何か言ってこられればそれをきっかけに何らかの話し合いもできるかもしれませんが、
     店へは何も言わず、眼の前にいる患者さんに当ったりされる眼科も中にはあるようです。
     (処方度から変えて作ってあった場合で、指定店以外の店で作った場合には、特に気分を害されるようです)

     そういうことがあり得ますので、眼科処方を変えて作る場合に、そのお客さんが眼科とそこで縁が切れるとか、
     まだ眼科へ通う人でも、そのメガネを持って眼科へ行くことはないというのであればよいのですが、そうでなく、
     眼科でそのメガネを調べられる可能性がある場合に、眼科に無断で処方度を変えるのが難しくなるわけです。

     なお、こういう場合、自店で測定した時点で、すぐに自店処方はせずに眼科へ相談をかければどうなるでしょう。
     たいていの眼科は「患者さんにもう一度眼科へ来てもらってください」と言います。

     それでそのようにしたとしても具合良く話が進展するかどうかはわからないし、自店で測定した度数で作ったとしても、
     眼科によってはわだかまりが残るでしょう。当方が眼科から悪く思われても平気、というのであれば、
     度数を変えて作って、その連絡書を眼科に郵送しておく、あるいはすぐにそのメガネを眼科に検査に持っていかれる
     のなら、その連絡書をお客さんに渡して眼科に持ていってもらうということもできますが、どちらにしてもお客さんに
     対する眼科の見方が変わってきそうです。

     まだそことつながりのある医療機関に対しては、「患者」の立場は弱いものです。
     眼鏡処方箋の問題は、眼科、患者、眼鏡店の三者の利害関係や思惑が交錯しますので、
     実に難しいものになるわけです。 
 
 
 
 
 
   
                 

      眼科のヘンな処方で
    危うく落第メガネを掛けそうになった女性
       永光勝之 
                                                      

  
 78歳のKさん(女性)の事例です。
 Kさんは、左眼に白内障手術がなされ、現在IOLが入っています。 
【ご持参眼鏡処方箋】 
 R= 現在Rレンズ
 L=S+0.50 C−1.50 Ax 100
 装用目的 遠用 装用方法 必要時 PD58mm
(視力の記載なし、というより、記載場所が元から設けられていない)
 Kさんは当店で上記眼科処方箋を差し出され、左レンズの入れ替えを所望されました。

 そこで現在掛けられているメガネを検査したところ以下のような度数でした。
【現在眼鏡】 遠近累進 常用 OCD 57mm
R= S−1.00  C−1.00  Ax 70  Add 2.75 
   ( 平成14年 白内障手術 IOL )
L= S−0.75  C−1.00  Ax 130  Add 2.75
 Kさんのメガネは古いものも含めてすべて遠近両用メガネで、遠方用だけのメガネ
は持っていないそうです。

 現在眼鏡も遠近累進ですが、処方箋に書いてあるのは遠見の度数だけで、近用加入
度は記入漏れではなく、装用目的の欄に、<遠用・近用・遠近両用>とあり、遠用を○で囲ってありました。

 そこで私は、もしこの眼科処方箋どうり左レンズだけを入れ替えたら、とても掛け
てはいられないメガネになりますよ、と説明し、実際に具合が良いと思われるメガネ
と比べて見ますから、判断してからお決め下さい、と進言したら了解されましたので
検査に移りました。

【検査結果】
 (調製度数も同じ、眼位正常 OCD57mm)
RV=(0.9×S±0.00 C−1.50 Ax70 Add 2.75 )
LV=(1.0×S+0.50 C−1.50 Ax105 Add2.75)
 上記検査結果の度数と、眼科指定でできあがる下記度数との比較をしました。
R = S−1.00 C−1.00 Ax70 Add 2.75 
L = S+0.50 C−1.50 Ax 100
 Kさんの感想は明白で、眼科処方箋度数のメガネは、遠くも近くもさっぱりダメということでした。

                               ●

 ではなぜ眼科はこんな処方箋を書いたのでしょうか。なお検査したのは25歳くらいの女性だったそうです。
  これについては次のようなことが想像できます。
 1.Kさんのメガネ歴には無頓着であった。
 2.Kさんが遠近両用メガネを常用していることを聞かなかった。
 3.Kさんのメガネが遠近累進メガネであることを調べなかった。
 4.Kさんがどんなメガネを欲しているかは意に介さなかった。
 5.度数決定の権限がある眼科医に遠近両用メガネに対する偏見がある。
 6.年寄りのメガネは遠用と近用を分けて使うほうが良いと決め付けている。
 7.遠近累進レンズは不完全なものと考えている。
 8.片眼に累進レンズ、片眼に短焦点レンズを処方しても不都合は生じないと思っている。

 いずれにしろ右度数を精査していないことは明かで、これでは全くの手抜きです。
 前眼鏡の視力は0.6pで、しかも字がダブって見えるとの訴えがすぐ返ってきました。
 もしこのような処方箋を他のめがね屋に持ち込んで、そこで処方どうりのメガネを
作られたとすれば、Kさんの悲劇が始まるに違いありません。めがね屋と眼科の間で
翻弄されるKさんの姿が眼に見えます。

                               ●

 こういうような、技術も知識も経験も未熟で、思慮の浅い者が行なっている眼科の
眼鏡処方は一刻も早くやめるべきです。
 なお、Kさんが「出来上がったメガネを眼科で見せなければいけないけれど、どう
しましょうか」と相談されたので、私は「どうぞ堂々と見せてください、そしても
らった処方箋には重大な問題があり、メガネ店で測りなおして作ってもらいました、
とても快適になりました、結果責任はすべてそのメガネ店が持つということですか
ら、何か疑問があればそのメガネ店に連絡してください」と報告するように言っておきました。

 なお、この処方箋を発行したのは町立病院の眼科で、O大学医学部附属病院の関連
病院であり、眼科医師はO大の医局から派遣された勤務医です。 

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             《 解説 》  岡本隆博

 この永光氏の事例は、処方をなした眼科における明白な処方ミスである。
 眼科における眼鏡処方が、ほとんどの眼科が主張するとおりに、もしも医療である
というのであれば、これは議論の余地なく医療ミスとして弾劾されてしかるべきであろう。
  眼科における処方者は、永光氏に心から感謝すべきである。もしこれがナミの眼鏡
店であれば、どうなったであろうか。

 一級眼鏡光学士の中でも最優秀に属する永光氏が、「眼鏡店でもできる眼鏡処方は
眼科ではしないのがよい」という「ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会」の理念に
共鳴され、従来から眼科の発行した眼鏡処方箋に無条件に従うのではなく、極力それ
でよいのかどうかというチェックも出来る限り行なう……という姿勢を持っておら
れ、今回もそのとおりのことを実行されたからこそ、落第メガネが作られてしまうこ
とが未然に防げ、こういう見事な前後措置が講じられたのであると、私は思う。

 たとえば、この処方どおり作ったメガネで眼精疲労が生じて肉体的及び精神的な苦
痛を生じたとして、患者が眼科医を相手取って損害賠償の裁判を起こしたら、九分九
厘勝てると思う。
  実際のところ、片方の眼に単焦点を入れ、他方の眼には累進を入れるという眼鏡
(処方)もなくはないから、「その処方をうけたときに、片方だけに単焦点のメガネ
はおかしいと眼鏡技術者が気付くべきだ」という言訳は通用しまい。(処方者自身が
気がつかなかったことでもあるし)

 眼科医は、これまでの慣例として、眼科が処方した処方箋については、眼鏡店は常
にそれを忠実に守って眼鏡を製作することを念頭に置いており、それが必ず実行され
ることを要求しているのであるから、この例で、眼鏡技術者が特に疑わずに処方箋の
とおりにメガネを作ったとしても、裁判において眼鏡技術者には過失は認められない
はずである。
 何しろ眼科の中には、処方箋を受けた眼鏡店で、その度数で装用テストをしたと聞
いただけでも「よけいなことをする」と、ご機嫌が悪くなるところもあるくらいなのだから。

 それで、なぜこういうことになったのかということについては、永光氏もご自身の
想像を書いておられるのだが、少しそれを捕足する意味で、私の推測を書いておきたい。

 その処方者がこの患者さんに対して屈折検査で求めた度数は、永光氏の測定された
度数とほぼ同じであったのであろうが、眼科の処方者は、現在眼鏡に入っているレン
ズが遠近累進であるとは気が付かずに、レンズメーターで右レンズの中央部付近を見
たところ、屈折検査の結果の度数とあまり違わないようであったので(累進の場合、
幾何学中心付近では、遠用度数よりもややプラス側に寄った度数が出る)「右はこの
ままでよい」と判断したのかもしれない。

 その場合、昔ながらのマニュアル式(アナログ)のレンズメーターで測ったのであ
れば、不規則なコロナ像が見えて「おかしいな……、あ、これは累進レンズだ」と気
がつくのであるが、この場合はおそらくオートレンズメーターで測っており、デジタ
ル表示の数値で読みやすかったために、累進眼鏡だとはわからなったのではないかと
私は思うのである。

 アナログのマニュアル式レンズメーターに比べて、デジタルで表示されるオートレ
ンズメーターは、たしかに累進レンズでも比較的度数がわかりやすくてよいのだが、
物事には何でも長短があり、オートレンズメーターにはそういう思わぬ陥穽もあるの
だということを、我々も改めて認識しておく必要があるのではないだろうか。 

 
 
 
 
 

                           

      高齢者の普通免許更新               岡 十朗

80歳の男性の事例です。
このかたは私の剣道の師のお一人で、古武士の風格のあるかたで、
ベトナムのジャ ングルで軽機関銃を手に戦ったそうです。
先日自転車に乗って来店され、「車の免許の更新があるのだが、あと3年間は車に乗りたい」
とおっしゃいまして、自動車教習所での高齢者講習で渡されたメモを示さ れました。

 そこには、静止視力0.4、動体視力0.3(30km/h)夜間視力通常0.6、
視力回復時間64秒、75歳以上で普通、と書かれていました。
そのとき、右眼の視力が0.6だと言われたので眼科へ行くと「白内障もあり、お歳ですから……」
と言われたとのことでした。  
当店での過去の度数控では、下記の通りです。
(1)2000.10.27 RV=(0.7×S−3.50 C−1.50 Ax95)
             LV=(0.7×S−2.70 C−1.25 Ax85)BV=(0.8)
(2)2003.2.15 RV=(0.7×S−4.25 C−1.70 Ax85)
           LV=(0.7×S−4.25 C−1.25 Ax85)BV=(0.7)

あとの記録のときから、まだ半年あまりなのにそんなにも見え方が悪くなるのだろうか
と思って、屈折検査をしてみました。

(3)2003.10.25 RV=(0.8×S−4.25 C−2.50 Ax85)
            LV=(0.8×S−3.50 C−1.75 Ax87)BV=(0.9)  

なお、(2)の眼鏡では、R=(0.6)、L=(0.8)となりまして、これでも 左眼は以前よりも矯正視力が上がっています。
(2)の眼鏡のままでも免許更新は可能でしたが、ご本人の希望でRのみレンズを換えて、眼鏡の度数を  
R=S−4.25 C−2.50 Ax85  
L=S−4.25 C−1.25 Ax85
としました。  

その後、11月8日にお電話があり、「昨日合格した。ありがとう!
検査官に 『どうだった?』と聞くと、『よく見えました』と言われたよ」と喜んでおられまし た。  
なお、右眼の度数の変化は白内障の進行のせいだろうと私は推測しています。

岡本隆博
いつも貴重な事例をありがとうございます。
このかたが「視力が0.6しか出な い」ということで眼科に行かれたときに、
眼科ではそれ以上の視力を出せなかったよ うですね。  
前眼鏡の乱視度数よりも、乱視が強くなっていることに気がつかなかったのか、
それとも、白内障のせいで他覚(オートレフ)では度数がうまく出ずに、
テスト枠と テストレンズによる自覚的屈折検査に移り、そのときに乱視軸を正確に測定できなかった
ということも考えられます。  
眼科ではクロスシリンダーを用いるところが少なくて、放射線の視標で乱視を測る ところが多いです。

 その眼科では何度刻みの放射線を使ったのかはわかりませんが、
どちらにしてもそ れをうまく使いこなしている人が意外に少ないように思います。
 乱視の強い人の場合、乱視軸が5度違っても視力に影響するものです。
たとえば、 このかたの右眼ですと、乱視が2.50Dもあるのですから、
5度軸がずれると、0. 5Dほどの残余乱視が生じてしまいます。
眼科でも、もっとしっかりとした屈折検査 ができるようになってほしいものですね。
眼鏡処方は眼鏡店に委ねてよいとしても、せめて屈折検査くらいは、きっちりやっ てほしいです。

 眼科での普段のルーチン検査では、ま、ある程度大ざっぱもよいとしても、免許更 新云々とかの、
気を入れてやるべきときには、厳密なことができてもらわないと困り ます。 
私が主張している「眼科は、眼鏡店でもできる眼鏡処方はやめてほしい」ということは、
「眼科では屈折検査はヘタでもよい」ということではありません。
それはきっ ちりできてもらわないといけません。
ただし「眼科は眼鏡店でもできる眼鏡処方は上手になる必要はない」
なぜならそれは眼鏡店に任せればよいのだから」とは言えると 思うのです。