東京都渋谷区・株式会社ジェイアイエヌ様 田中仁様
東京都港区・エムスリー株式会社様 谷村格様
東京都渋谷区・株式会社ジェイアイエヌ様 田中仁様
東京都港区・エムスリー株式会社様 谷村格様
2012.7.24 眼鏡公正広告協会 岡本隆博
株式会社ジェイアイエヌ様とエムスリー株式会社様が、2012年7月に連名で発表されました
臨床試験の報告書
「累計販売本数35万本のNo.1機能性アイウエア臨床試験において
VDT症候群患者に対する眼精疲労改善効果を実証」
http://corporate.m3.com/press_release/2012/file/20120718_02.pdf(2012.7.23現在)
の記事を拝読しました。
このたびの臨床試験については東京大学名誉教授・増田寛次郎先生が監修医だそうですが、
この報告書はジェイアイエヌ様とエムスリー様の連名で公表されたものですので、
両社様に対して、このご報告を拝読しての当方の疑問点をお尋ねいたします。
質問1
この試験で使用された「JINS PC」は、
下記のうちのどちらなのでしょうか。
1)2012年6月以前から発売されていたもの
(2012年7月現在のジンズの公式HPには掲載されていないもの)
2)2012年7月以後に発売されたもの
(2012年7月現在のジンズの公式HPに掲載されているもののうち、薄茶つきの方)
質問2
この報告書によると、(引用はじめ)二重マスク並行群間比較試験:被験者・担当医の眼鏡に対する
プラセボ効果を排除するため、試験期間中、どちらの眼鏡であるかの情報は提供しない。(引用おわり)
とのことですが、
プラセボとして使用されたレンズの外見(レンズの色調や濃度、表面コートの色)はどんなものでしょうか。
質問3
プラセボのレンズと試験対象のPCレンズとは、外見上区別がほとんど不可能なほど似ていたのでしょうか。
質問4
もしもプラセボのレンズが無色か、または茶色以外の色であった場合、
ネットなどの情報により、既に発売されている青色カットレンズの外見については、
かなりの人がどういうものであるかを知ることが可能である現在において
どちらのレンズが青色カットのレンズであるかをモニターが知ることは比較的
容易なのではないでしょうか。
質問5
プラセボのレンズの分光透過率曲線はどのようなものだったのでしょうか。
質問6
この臨床試験においては、協力された5軒の開業眼科に対して、
比較した双方の試料レンズの分光透過率曲線を示されたのでしょうか。
質問7
ジンズPCの発売以前にも青色カットをうたうレンズはいくつかのレンズメーカーからいろいろと
発売されていましたが、それらの「先行の他社の青色カットレンズ」と当該レンズとの比較を
されなかったのでしょうか。
もしも、青色光線を減らすことが眼精疲労の軽減に効果をもたらすという想定なのであれば、
たとえば東海光学のCCPのLYレンズ(黄色で、オフィスでも使えそうな色です)では
500nm以下の光線を90%以上カットしているのですが……。
質問8
当該青色カットレンズと先行の他社の青色カットレンズとの比較をされなかったのであれば、
その理由についてお尋ねします。
質問9
パソコン作業による眼精疲労については、
http://www.minamiaoyama.or.jp/bluelight/(2012.7.24現在)
で井手医師も指摘しておられるように、目の調節の問題が
かなりのウエイトをしめます。
ですので我々はPC作業による目の不調を訴えられた場合には、
まず屈折や調節の状況を把握して、眼鏡による矯正がよい効果をもたらすとの
自覚的な返答を得られれば、まずその矯正を眼鏡で行います。
ところが、
今回の試験においては、試料レンズはすべて度なしのものを使用されたそうですが、
そのことに関してお尋ねします。
1)今回の試験のどの被検者も、それまで屈折矯正や調節の補助などの機能のある眼鏡やコンタクトレンズを
使用せずに、裸眼または度なしのメガネでこれまでパソコン作業をしていた人なのでしょうか。
2)そうであったとするのならば、その人においては度つきのメガネなしでパソコン作業をするのが
眼にとって良好であるかどうか、ということを調べる検査をして、その結果「それで良好である」
との結果が出たので、裸眼の上に度なしのレンズでテストをしてもらう……ということにしたのでしょうか。
3)あるいは、そこまでの検査はせずに、単にこれまで裸眼でパソコン作業をしていた、
という状況(理由)だけで、今回の試験も度なしのレンズのみを与えて試験をされたのでしょうか。
質問10
もしも上記の質問9の1)に対して「ノー」であった場合には、下記の
4つの質問をいたします。
1)今回の被検者の中には、試験開始までにはコンタクトレンズを使用してパソコン作業を
していた人も混じっていた……のでしょうか。
2)もしそうであれば、そのコンタクトの装用度数が、パソコン作業をするのによい度数であるかどうかの
検査をしたうえで、「それでよい」との結果となった人にのみ、度なしの今回の試料レンズを与えた、
ということでしょうか。あるいは、そういう検査はせずに現在のコンタクトを装用状態で、
そこに度なしのPC用(プラセボも含む)レンズを与えたということでしょうか。
3)今回の被検者の中には、
それまで度つきの眼鏡装用によりパソコン作業をしていた人も混じっているのでしょうか。
4)上記の3)で、もし混じっていたのであれば、
まさか、これまで使用の度付のメガネの使用を中止して今回の
度なしのメガネだけでパソコンを見てもらった、などということはないと思いますが、
その「これまで使用の眼鏡の度数」がその人がパソコン作業をするのに
適切な度数であるかどうかの検査をし、適切であるとの結果が出た人にのみ
これまで使用のメガネの上から使用できるオーバーグラスなどでPC用レンズ(プラセボも含む)を
与えたのであり、不適切な度数のメガネを使っていた人は、
今回の試験の被験者にはなってもらわなかった……ということでしょうか。
質問11
今回のテストに患者さんに協力してもらうために、
試料メガネを患者さんに渡すときに、
どのように言って渡したのか、ということに関してお尋ねします。
1)もしも、「眼精疲労を軽減する効果が期待されるレンズです」
と、言ったのだとすれば、青色カットではない方のレンズを
渡される人もいるのですから、これは道義的に好ましくない言い方だと思います。
2)あるいは、「眼精疲労の軽減が期待される青色カットのレンズの
効果を試験するテストに参加していただきたいのです。
ただし、あなたにお渡しするのは、その青色カットのレンズか、
そうではないレンズかは、私にもわかりません。
それでよければ4週間の試用に参加協力していただけますでしょうか。
なお、あなたのレンズが青色カットかそうではないものかという確率は半々です」
といって、モニターになってもらったのでしょうか。
そうであれば、私なら、半分の確率で偽物を4週間も使うことになるかもしれない
モニターにはなる気がしませんが・・・・
3)上記の1)、2)のどちらの言い方でもないのであれば、どういうふうに
言って試料メガネを、現にVDT症候群を持つ患者さんたちに渡したのでしょうか。
4)このテストに参加協力してもらうときに、患者さんに対して
メガネの料金を支払ってもらいます、と言って試験をした……
ということはないと思うのですが、
テスト開始の前に、そういうことについては
下記のうちのどのように言ってメガネを渡したのでしょうか。
テスト終了後に
( )使ったメガネを回収します。
( )試験終了後に謝礼の代わりに、全員に青色カットのメガネを贈呈します。
( )試験終了後に謝礼の代わりに、試験に使用したメガネを贈呈します。
( )試験に使用したメガネが具合が良ければ買ってもらってもけっこうです。
( )その他( )
質問12
試験に使用したメガネは試験が終わってからどうなされたのでしょうか。
( )全員にPCレンズを贈呈した。
( )その人の試験に使ったメガネを全員に贈呈した。
( )試験に使用したメガネは誰にも渡さなかった。
( )その他( )
質問13
フリッカー値の比較で、当該レンズではそれが有意に改善がある傾向が見られたという
結果だそうですが、それはあくまでも平均値での考察であって、
個別には改善が見られなかった例もあったのですね。
それで、平均値での差が有意かどうかを判定する基準となる標準偏差が
この報告書には示されていませんが、標準偏差はどうだったのでしょうか。
質問14
フリッカー値の変化を示す棒グラフが、ゼロ点が示されておらず、
その変化が非常に拡大して示されていますので、
それにより視覚的に変化が実態以上に誇大に感じてしまいます。
例えば、専門家が集まる学会での報告でも
こういうふうなゼロ点表示のないグラフの表示をなさいますでしょうか。
質問15
定性テストの結果が、いきなり数値処理をした平均値で示されており、
たとえば、PCレンズでの作業の後でも「眼の疲れ」を「少し感じる」とか
「とてもそのように感じる」と答えた人が全体の何%いたのかが
全然わかりません。
我々メガネ屋や一般ユーザーにはそれが非常に関心のある点なのです。
今回の試験の定性テストの結果においては、
18の項目における、それぞれの回答の比率を表示する円グラフの
表示があってしかるべきだと思うのですが、なぜその表示がなされていない
のでしょうか。
質問16
この臨床試験においては、モニターの人たちに試験に参加したことに対する
対価(謝礼)を支払われたのでしょうか。
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